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住まいのディテール編
Z様邸 第11回
夢は、夫婦でゆったりセカンドライフ。
非日常感あふれる、ホテルライクな住まい
お嬢様の独立を機に、ご夫婦2人のセカンドライフをかなえるべく、理想の住まいを作り上げたZ様ご夫妻。リフォームにより、自宅にいながらホテルのようにシックでゴージャスな居住空間が完成しました。今回は、Z様が描いた夢をどのように具現化していったのか、住まいのディテールに至るまで細かくお聞きしました。
33年間暮らした住まいを見直して、夢のセカンドライフを実現
奥様:このマンションを購入したのは、2人の娘がまだ幼かったころ。その後は仕切り壁を撤去したり、浴室に自動湯沸かし機能を付けたりなど、小さなリフォームを繰り返してきました。
生活の変化に合わせて、「部分的」にリフォームされてきたのですね。けれど、今回は思い切った「全面的」なリフォームです。きっかけは何でしょうか?
奥様:実は結婚当初から、「娘たちが結婚したら、大好きな空間にリフォームしよう」というのが私たち夫婦の夢でした。この住まいは気に入ってはいましたが、マンションの間取りやキッチンってあらかじめ形が決まっている「出来合い品」でしょ。そこに違和感があったのです。私は、住まいやインテリアに対して想いが強いタイプです。ですから将来リフォームするときは、「とことんこだわろう」と心に決めていました。
長年の夢とおっしゃるだけあって、随所にこだわりを散りばめた空間になりましたね。
奥様:「生活感を感じさせないホテルライクな空間にしたい」というのが、かねてからの願いでした。白と黒のモノトーンでシックにまとめながらも、ゴージャスな雰囲気を演出できたらと思っていたのです。具体的には、リビング中央にバーカウンターを設けたり、ぐっと部屋数を減らすなどして、ゆったりと贅沢な空間にしたいと考えていました。
設計段階では大枠のみを決定。「斜め壁」に心をつかまれた
奥様:設計プランを提案してもらった工務店さんは2社。その中に、斜めデザインの壁を設えたリビングのプランがあり、胸がときめきました。その工務店さんのキャッチフレーズが「夢をカタチに」なのですが、私もこの言葉が大好きでね。そこにも共感しました。
この斜め壁は下の方に空間ができるため、広々と見せる効果がありますね。その上、動きが出て遊び心を感じさせます。設計段階では、どのように細部を詰めていきましたか?
奥様:私からコンセプトをお伝えした後、工務店さんがそれに合う写真を用意してくれてイメージを共有していきました。ただ、設計段階で決まったのは間取りと大まかなインテリアのテイストくらい。細部を詰めたのは、工事が始まってからなのです。毎日現場に通って、私のアイデアを大工さんと一緒に検討し、完成度を高めていきました。
なるほど。工事段階で施主様の要望をどこまで取り入れてくれるかは会社によって異なりますが、Z様の工務店さんはフレキシブルに対応してくれたのですね。このような場合、予算が上乗せされることも多いため、これからリフォームする方は注意しておきたいところですね。
工事現場に足を運び、奥様から積極的にアイデア出し
寝室とリビングの間仕切り壁には、ルーバーを取り付けていますね。おしゃれな上、部屋を開放的に見せています。
奥様:この家には、エアコンがリビングに1台しかないのですよ。寝るときも、風が直接当たらないからちょうどいいのです。これも工事中にリクエストした物ですが、大工さんがルーバーの本数まで私に聞いてくれたおかげで、大満足の仕上がりになりました。他にもバーカウンターやTV台の上に間接照明を付けたり、玄関を斜めかまちのデザインにしたりなど、一つひとつを相談しながら決めていきました。だから、「工務店さんと一緒に作り上げた!」という感じがありますね。
工務店さんはプロの観点から提案し、奥様はご自身の好みに沿って選択を重ねていかれた。その両方が相乗効果を生んで、「夢の住まい」がカタチになったのですね。
奥様:実は工務店さんから、「奥さん、それはやめておきましょう」といわれたアイデアがいくつもあるのです。例えば、この寝室の壁紙もそう。個性的な柄模様にしたいという私の希望に対して、工務店さんはシンプルな無地がいいという意見でした。そういわれると、「無地の方がいいのかしら?」と迷ってしまって眠れなくなるのです。そういうときは、もう一度ショールームに行って見比べたり、相談役の次女と話し合ったりして、納得するまでとことん悩むようにしました。
工務店さんと意見が食い違ったとき、それを鵜呑みにすることなく、自分の目と感覚で再検討したのですね。再検討のプロセスは根気がいるものですが、そうやって一切妥協することなく進めたのが成功の鍵だと思います。
ワンポイントアドバイス
工務店さんの提案にピンとこないときは、もう一度完成イメージを思い描いてみて
工務店さんの提案と自分の希望が異なる場合、どの程度意見を貫くべきか迷いますよね。Z様の場合、「こうしたい!」と自信を持ってご自身の意見を通すことができたのは、何度も現場やショールームへ足を運んで、吟味を怠らなかったから。また、Z様は現場に毎日通われましたが、その際は飲み物を差し入れるなど、大工さんへの気遣いも忘れなかったそう。そういった配慮も、意思疎通に役立ったといえそうです。
つや感のある白い床と上質なカーテンで、ホテルライクな空間に
お宅にお邪魔してまず目に入ったのが、光沢感のある白い床。重く見えがちな黒い家具も、白い床が明るく引き立てていますね。センスのいい空間に仕上がっています。
奥様:この床はツルッとした質感で、生活感を感じさせないでしょ?汚れもすぐ取れるのでお掃除もしやすいんですよ。普段はお掃除ロボットで、たまに自分で拭き掃除をしています。
おっしゃる通り、床の質感がホテルライクな非日常空間を生むポイントになっています。ところで、「ホテルライク」というコンセプトはどこから生まれたのですか?
奥様:私はよく旅行でホテルに宿泊するのですが、そのたびに「ホテルでは、なぜこんなにゆったりと過ごせるのかしら?」と感じていました。一方、自宅では家事が気になりますし、生活感たっぷりの空間では心からくつろげません。そういうわけで、「ホテルライクな住まいに」と思いが定まってからは、どこに出かけても「こんな椅子を置きたい」「ドアノブはこんなデザインがいい」というふうに観察していました。
素晴らしいですね! もう一つ、衣類など生活感を感じさせる物をすべて、ウォークインクローゼットに収納されているのもいいと思います。だから、目に入るスペースはすっきり華やか。オーガンジーレースを内側に配したカーテンも素敵です。
奥様:これ、ちょっとお値段が張るのですが、カーテンはリビングの「顔」になるので思い切って購入しました。奥のカーテンは、バーカウンターと同じレザー調なのですよ。
本当に、奥様の「こうしたい!」をすべて詰め込んだ住まいになりましたね。
ワンポイントアドバイス
空間の印象を左右する床材。目指す空間イメージを決めてから、工務店に相談を
床は使用面積が広いため、どんな床材を選ぶかで部屋の雰囲気が大きく変わります。Z様邸では、光沢感のあるタイル調の床材によって非日常感を演出するとともに、広々と明るく見せることに成功されました。では、「床の色は薄い方が広く見えるのか」というと、そうとは一概には言い切れないのが難しいところです。また、見た目の印象以外にも、掃除のしやすさやコストパフォーマンス、経年劣化といった点からの検討も必要です。自分がカタチにしたい空間イメージを大まかに定めた上で、工務店に相談してみましょう。
プロフィール
Z様(大阪府)
2人のお嬢様の結婚・独立により、2018年春からご夫妻による2人暮らしがスタート。家族4人で33年間暮らした分譲マンションを、以前とはまったく異なるホテルライクな空間へとリフォームされました。
松月浩子氏(建築設計事務所エンピツアーキテクツ)
一級建築士。医療関係の仕事に従事後、かねてからの夢をかなえるため設計事務所に転職。研鑽を積んだ後、2014年に建築事務所を立ち上げる。シンプルで居心地の良い「普段着のような家作り」が好評で、受賞歴多数。
リフォーム情報
家族構成 | 夫+妻 | 面積 | 63m²⇒63m² | 形態 | 分譲マンション | 日数 | 50日 |
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築年数 | 33年 | 費用 | 850万円 | ||||
採用商品 | TOTO:浴室「マンションリモデルWG」 DAIKEN:床「ハピアオトユカSF45」/ドア「ハピアプレミア」 |
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担当店 |
株式会社CONY JAPAN(スペースアップ八尾店)
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