
「通勤ラッシュに悩まされずに自宅でリモートワークしたい」「休日はゆっくりわが家でくつろぎたい」。オンもオフもわが家で過ごす、そんなニーズが高まっています。そこで必要になってくるのが、家族と一緒に団らんするだけでなく、仕事や趣味に没頭するためのプライベートスペース。大掛かりな変更は予算の面でも大変ですが、間取りを仕切り直すだけでも「個」の空間はつくれます。今回はそんなリフォームのアイデアをご紹介します。
使っていない和室や開かずの納戸、
見過ごしていませんか?
自分だけのプライベートスペースが欲しいといっても、どこにつくったらいい?そう首をかしげる前に、まずはわが家の現状を見直してみましょう。今のライフスタイルに合っていないために活用できていない空間がきっとあるはずです。
コロナ禍を経験して、以前よりも家で過ごす時間が増えてきた人も多いのではないでしょうか。そのような私たちにとっていま必要なのは、仕事や趣味に生かせるプライベートスペース。自宅にWi-Fiを用意することが一般的になり、スマホやタブレットさえあれば最小限の空間でも仕事や趣味をこなせるようになってきました。
わが家を見回してみれば、子どもが独立して使わなくなった勉強部屋や、使い道のないまま物置となってしまった和室、ひな人形やクリスマスツリーなどの出し入れがなくなって様々なモノをしまいっぱなしになった開かずの納戸などがあるのでは?
家に住み始めてから10年以上も経過すれば、家族構成やライフスタイルに変化があるもの。今の生活にマッチしていない部屋を棚卸しして、これからの生活に活用できる空間にアレンジしてみてはいかがでしょうか。毎日の暮らしの中で自分だけの充実した時間を過ごす場所をつくる、リフォームのアイデアをご紹介します。

2畳ほどあればプライベートスペースに。
電源やWi-Fi、冷暖房・換気への配慮が重要
私たちの生活の中にデジタル機器が浸透したことで、「個」のスペースに必要な空間は以前よりずっとコンパクトになってきています。最小限の空間でも充実した時間を過ごすために必要なポイントをご説明します。
大量にある紙のファイルや資料は、データ化してインターネット上のクラウドへアップしてしまえば、大幅にスペースを省くことが可能です。書籍なども必要最小限に整理し、電子書籍に置き換えることができれば、本棚も最低限の容量で済むはず。
リモートワークに伴う事務作業もノートパソコン、ひいてはタブレットやスマホがあればたいていのことはこなせます。デスクとチェアに、プリンタなどを置いても2畳もあれば、書斎としての機能を満たすようにしつらえることが可能です。
こうした前提で家の中をあらためて見回してみると、前述した「使っていない部屋」のほか、リビングの一角、廊下、玄関ホール、階段下などプライベートスペースとして転用できる場所がみつかるはず。
個室といっても壁できっちり囲む必要はありません。パーティションや棚などで空間を区切るだけでも簡単に自分だけの空間をつくることができます。
さらに充実した時間を過ごせるようにするためには、次のような要素に留意することをお勧めします。
- 電源
生活のデジタル化が進む現在では、以前よりも電子機器の必要性が増しています。パソコンやモニター、プリンタ、Wi-Fiのルーター、スマホなど、普段使いの機器の数を確認したうえで、プラス2~3個分のコンセントを用意しましょう。 - Wi-Fi
Wi-Fiのルーターによって家の中のパソコン、プリンタなどを無線接続できるようになり、ケーブルが届かない場所でもインターネット利用が可能になりました。インターネットゲームや動画視聴などでは大容量の通信量を使用することになるので、なるべく最新の仕様のものを選んで安定した高速通信を実現させたいものです。 - 冷暖房・換気
冷暖房機器を省エネ性の高い高性能なものに交換したり、室内窓を設置して空気が流れるようにしたりといった配慮も忘れずに。家の中の空間を仕切った後も、従来の風通しや換気、冷暖房効率を参考に快適な環境をつくります。
アイデア次第!
プライベートスペースを生み出す
リフォームプラン
プライベートスペースをつくるアイデアについて、具体的なモデルをもとに着目点や工夫のしどころをお伝えします。マンションでも戸建てでも、設計次第で快適な場所を生み出すことができます。
TDYでは、リモデルのライフスタイルを提案するプランをまとめた「TDYリモデルコレクションブック」を発刊しています。その中から、プライベートスペースをつくり出すためのプラン例をご紹介します。
玄関一体の快適ワークスペース
一般的に、戸建てよりも制限の多くなりがちなマンションリフォーム。でも、間取りをうまく再編成することで、防音、吸音にも配慮したワークスペースをつくることが可能です。このプラン例では、玄関正面の寝室を作業スペースに変更。廊下側の壁を取り除いて、一部に間仕切りを入れることで玄関ホールと一体のワークスペースにしました。(下のイラスト参照)
壁の代わりにガラスの間仕切りを入れ、空間を仕切りながらも明るさや開放感を得られるようにしたのがポイント。住居部分と区切りをつけオフィシャルな空間をつくり出しました。クライアントが来訪したときの打ち合わせなどにも使える場になっています。
天井材には残響音を抑えるものを選択。来客時はもちろん、オンライン会議の際にもクリアな音環境で会話できるようにしています。



リビングの一角を土間に変更して趣味スペースとして活用
平屋の戸建てのリモデルプラン例です。2間続きの和室を大きなLDKにまとめたうえで、もとの玄関から濡れ縁、廊下までを土間風の空間に変更して、趣味スペースとしたのが大きなポイントです。土間の趣味スペースに直行できるほか、玄関からLDKに向かう動線を設けています。(下のCG画像参照)
土間の趣味スペースでは、釣り具やアウトドアグッズを手入れすることも可能。LDKにいる家族と会話を交わしながら、趣味の時間を楽しむことができます。玄関付近に洗面台を設置しているので、帰宅してすぐ手を洗えるだけでなく、土間での作業にも水を使え便利です。
土間に沿って大きな窓を設け、庭の眺めを屋内に取り入れ開放感を演出。一方、窓を大きくすると外気温の影響が大きくなりがち。そこで、断熱性能の高い樹脂窓「APW 331 ハイブリッドスライディング」(YKK AP)を採用し、屋内の温度を保ちやすく、同時に景色を楽しめるようにしました。


使わない和室を近隣との応接スペースに活用
使用頻度の低かった和室の一部をインナーテラスに変更した例です。庭からアクセスできる窓まわりが近隣との応接間として活用されました。奥に上がることなく、 庭先から続く"縁側"のようなインナーテラスで気軽にコミュニケーションをとれるようになっています。(下のCG画像参照)
インナーテラスには、大開口の樹脂窓「APW 331ハイブリッドスライディング」(YKK AP)を入れて、断熱性を大切にしながらも開放的に。
また、暗くて寒い北側に配置されがちなキッチンをLDKの中央に配置。インナーテラスのお客様と顔を合わせながら、お茶の支度ができるようになり、コミュニケーションを育む場となりました。


透明な間仕切りで多用途に使えるマルチスペースに
リビングを仕切ってリモートワークもできるマルチスペースを生み出すというアイデアも。この例では、リビングをガラス戸で間仕切り、庭側をインナーテラスにしました。リビングとの間仕切りは透明なガラスなので、庭とリビング、キッチンまでが視覚的にシームレスにつながり、自然を楽しめる大空間に。視界は庭まで広がり、以前よりも開放感のある空間になっています。(下のCG画像参照)
インナーテラスは室内の間仕切りを開閉すると、広さが調整できます。趣味室やプレイルーム、ワークルームなど多様な使い方が可能です。


そのほか、間取りによっては
- キッチン横に2~3畳程度のヌック(=小ぢんまりとした居心地のいい場所)を設ける
- 寝室やウォークインクローゼットにデスクを置く
- 階段下の空間にパソコンデスクを造作する
- 廊下の一部を活用。狭い部屋や納戸などと合体させる
といったアイデアも有効です。
第52回TDYリフォームナビのケーススタディ8のように、部屋の一角を腰壁とガラスなどで間仕切り、ワークスペースを新設するのもおすすめです。リビングやダイニングに十分な広さがあるなら、その一部を簡易な壁や引き戸、家具で仕切るだけでワークスペースに。完全に区切らず、壁の上部をオープンにしたり、一部にガラスを入れたりすると、適度なこもり感が生まれ集中しやすくなりそうです。
プライベートスペースをさらに充実させる
断熱・防音などの工夫
プライベートスペースの居心地を高めるのが、断熱性や防音性です。さらに充実した時間を過ごすためのプラスアルファのヒントをご紹介します。
ワークスペースや書斎などのプライベートスペースをつくる際には、断熱性、防音性を高める配慮もしておきたいもの。冬の冷え込みや夏の酷暑を軽減し、静かな環境をつくることでさらに快適性が向上します。
たとえば以下のような点に留意して、プランを練ることをおすすめします。
開口部に高性能窓を入れる
築10年以上の住宅では窓の断熱などの性能が現行の水準ほどには高くないことがほとんどです。リフォームの際には、樹脂窓に交換したり、マンションで窓を替えられない場合には内窓などを設置するだけでも、部屋の断熱性が大きく向上します。気密性の高い窓や二重窓にすることで防音性も高められます。
とくに2025年では、「先進的窓リノベ2025事業」という補助金制度もあり、お得に窓まわりをリフォームできます。なお、国土交通省でのWEBサイトはこちら。
天井や壁に吸音性の高い材料を選ぶ
空間を仕切ると、音が反響して、オンライン会議のときに会話しにくくなることがあります。天井や壁に吸音性が高い建材を入れると、落ち着いた環境をつくりやすくなります。
防音性を高めるには断熱施工も効果あり
音楽や映画を楽しむホームシアターなどをつくる際には、壁や床に断熱施工を施すと、断熱性とともに気密性も高まり、室外に音が漏れにくくなります。
用途に合わせて収納や手洗い場を
趣味室などの場合は、そこで使う用具や材料を収める収納を用意しておくと、室内が散らかりにくくなります。また、絵を描いたり、工作をしたりと作業が伴う場合には、コンパクトな手洗い場を設けると水汲みや洗いものなどができ便利です。

近年は建材や設備機器のバリエーションが増え、性能が向上しているので、アイデア次第でイメージに合う快適なプライベートスペースを形にしやすくなりました。わが家での仕事、趣味の時間を有意義なものにするためにも、ぜひ一度、間取りを見直して、自分だけの空間をつくってみませんか?
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり商品、DAIKENの建材、YKK APの窓商品など、リモデルに役立つ商品をご覧いただけます。 またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。


プライベートスペースづくりに
役立つ商品のご紹介
空間を仕切る、ゾーニングする、静かで集中しやすい環境をつくるなど、プライベートスペースづくりに役立つ商品を集めました。
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TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ上質なクリスタルカウンターが輝き、暮らしに美しく調和。多彩な先進機能も兼ね備えた、心ときめくキッチンです。
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DAIKEN グラビオルーバーUB
空間に高級感を与える不燃造作材。天井・壁に立体感をもたせ、空間をグレードアップ。
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DAIKEN イエリアフロア セレクト スクエア
水まわりに対応する大判化粧床材。漆喰コンクリートなど、これまでにない新たな素材感を楽しめるフロアです。
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DAIKEN クリアトーン12SⅡ
調湿性能で住まいを快適に暮らせる空間へ。吸音性能を併せ持ち、気になる反響音も抑えます。
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YKK AP APW 331
ハイブリッドスライディング障子に樹脂、枠にアルミ樹脂複合を採用。異なる2つの材質を組み合わせたハイブリッド構造の大開口樹脂窓です。
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YKK AP アルミインテリア建材
famitto(ファミット)アルミフレームによるノイズレスなデザインと3つの素材による対応力がスタイリングの可能性を広げます。
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YKK AP マドリモ
戸建用・マンション用壁工事不要のカバー工法で、古い窓を最新の断熱窓にスピード交換。気密性が向上し防音性がアップします。
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YKK AP ウチリモ プラマードU
いまある窓の内側に新しい窓を取付けて二重窓に。1窓約60分の簡単施工で断熱性・気密性が高まります。
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TDY オンラインリフォーム
相談センターご自宅にいながら、お持ちのスマホ・パソコン・タブレットで、簡単にリフォームについてご相談いただけます。
※この記事内容は、2025年6月26日時点での情報です。ご了承ください。
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