(写真、図版/すべてTDY)
TOTO、DAIKEN、YKK APによるリモデルのライフスタイル提案「十人十家」。
このプランをまとめたカタログ「TDYリモデルコレクションブック」がリニューアルし、新たなライフスタイルの提案を発信しています。
「TDYリフォームナビ」で、これをご紹介する記事後編で取り上げるのは「家族や友人と過ごす」「アウトドアリビング」に関する空間提案。担当したデザイナーにプランニングのポイントについて見どころを聞きました。
プロフィール
TOTO 販売統括本部
TDYアライアンス企画グループ/
担当部長
日浅 雅見(ひあさ まさみ)さん
TOTO デザイン本部
デザイン第一部 第一デザイングループ デザイナー
矢部 信弘(やべ のぶひろ)さん
DAIKEN マーケティング部
デザイン課 デザイナー
内海 春佳(うつみ はるか)さん
YKK AP 商品開発本部
デザインセンター
デザイン情報室
プロモーションチーム
田中 英興(たなか ひでおき)さん
※TDY3社から上記の方に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
リアルな「いま」の生活の感覚を
生かしたリモデルプランに
「TDYリモデルコレクションブック」(以下、コレクションブック)では、10のテーマに基づくプランを掲載。いずれも、多様化するライフスタイルを反映した「いま」ならではの内容になっています。そのプランニングの経緯についてうかがいました。
1.「いま」の価値観を反映した9つのプランが新たに追加
今回リニューアルされた「十人十家」では9つのプランを新しく加え、リモデル提案は全42に。「TDYリフォーム情報サイト」の十人十家にはすべてのプランが掲載されています。
それぞれ「食を楽しむ」「自然を感じる」「時間をつくる」「子育てを楽しむ」「ペットと暮らす」「みんなが集まる」「使いやすさにこだわる」「健康にすごす」「ゆったりくつろぐ」「趣味を満喫する」という10のテーマのいずれかから発想されたもの。
そのエッセンスをわかりやすくまとめたのが「TDYリモデルコレクションブック」です。プランを4つのパート、「毎日を健康に過ごす」「家事・子育てをサポートする」「家族や友人と過ごす時間を充実させる」「アウトドアリビングを楽しむ」に大別してレクチャーしています。
プランは、内容が身近に感じられるスケッチと精密に空間を表現したCGで表現。イメージとリアルな空間のビジュアル双方を目にすることで、読者ご自身のリモデル検討にも役立てていただきやすくなります。
2.時代性や社会の状況などを
反映してプランをアップデート
プランの作成に当たっては、TDY各社から集まった4人のスタッフを中心に、コンセプトから仕様に至るまで何度も検討が繰り返されたといいます。
「新しいプランは、現在の時代性や社会の状況なども反映して、前回よりもアップデートした内容になっています」(TOTOの日浅さん)。
そうしたアップデートを図ったなかで、日浅さんたち4人が意識したことのひとつが、シニア層の存在。「日本では少子高齢化が進んでいますから、今後、シニア層のお客様が増えていくことが予想されます。世代ごとに価値観や感覚が異なるので、例えば2世帯同居などでは、プライバシーを守りながら気配をつなげるという配慮も必要になりそうです」(YKK APの田中さん)。
シニア配慮の例としてラインナップに加わったもののひとつが、増築してどの部屋からも緑が楽しめるようにした、 中庭を囲むコの字型配置プラン「中庭を囲む家」。中庭をはさむことで親世帯と子世帯がほどよく距離をとっているのが大きなポイントです。
「食事は両方の世帯が一緒に食べるかもしれないけど、お風呂はどうだろう。シャワーブースが別にあったほうがいいのでは。そんなことを考えながら、分離するところ、共有するところの線引きを検討しました」(TOTOの矢部さん)。
ただ一緒に暮らすというだけではなく、「一緒に楽しく暮らすことが大切なのでは」という4人のスタッフの思いが込められた内容となりました。
そのほかの追加プランについても、住む人の年齢層や職業などの設定をもとに、ライフスタイルや生活シーンごとの気持ちにまで、細かくイマジネーションをふくらませて提案した内容になっています。「いまの私たち」のニーズに対応したプラン集として、リアリティを感じる提案を見出すことができそうです。
アイデア|家族や仲間と集まり趣味を楽しむ、
土間風リビング
コレクションブックのパート3では「家族や友人と過ごす時間を充実させるリモデルのアイデア」を紹介しています。自分の家で好きなことに没頭したり、仲間が集って楽しい時間を過ごしたり。豊かな時間を過ごすための工夫を説明してもらいます。
【ポイント】
わが家ならではの趣味空間を極める
家族や友人と過ごす時間を充実させたい、趣味を楽しみたい。そのような思いもリモデルのきっかけになります。音楽、スポーツ、キャンプなどの趣味を楽しむためのリモデルのポイントを下記にまとめました。
①迫力あるサウンドでの映画鑑賞
ホームシアター家電を導入し、気軽にリビングシアターで楽しむという方法も。重要なのは防音対策です。壁・床・天井には遮音・吸音性能がある材料を使用。「防音吸気口」で部屋からの音漏れ対策も忘れずに。
②おうちスポーツジムで運動不足解消に
自宅にトレーニング器具を導入する場合には、騒音だけでなく床のへこみや傷といったダメージにも要注意。防音マットや床補強は必須と考えて。
③ガレージを、趣味を楽しむ部屋に
ガレージは趣味を楽しむ場所にも活用可能です。車やバイクの整備、DIYをはじめ、スポーツジムや音楽スタジオなど用途はいろいろ。空調やインテリアなどを整えれば、長時間の滞在も快適に。
④お庭でDAYキャンプ!
自宅キャンプなら、火起こしや調理の準備もキッチンでできるので負担が軽減。ソロキャンプ用の道具なら場所をとらないので、バルコニーや庭でも十分アウトドア気分に。
Plan1-1
土間をリビングに取り込んで趣味のスペースに
「光と風のめぐる家」というプランでは、土間を取り込みながら、室内に多目的な大空間をつくりました(下記画像参照)。
リモデルの舞台は郊外にある平屋の一戸建て。釣りが趣味の夫とアウトドア大好きな妻が住むという設定です。
2間続きの和室をひとつの大きなLDKにまとめ、もとの玄関から濡れ縁、廊下までを大胆に土間風の空間に変更しました。「ポイントは、玄関からリビングにつながる動線を2つにしたところです。外から帰ってきて、土間風リビングで釣り具やアウトドアグッズを手入れすることも。その日の気分や用途に合わせて様々な使い方ができる空間を設定することで、夫婦が互いの趣味を楽しみながら、一緒の空間で過ごせます」(DAIKENの内海さん)。
土間に使っているのは、シートフローリング【ハピアフロア スクエア】(DAIKEN)。タイルのような風合いで、冬場の冷え込みが抑えられ、リビングの延長としてくつろげます。
玄関付近に洗面台を置いたのもポイント。「帰宅してすぐ手を洗えるだけでなく、土間での作業にも水を使えて便利です」(TOTOの矢部さん)。
Plan1-2
断熱性能の高い樹脂窓で大きな開口部を実現
「光と風のめぐる家」のもうひとつのポイントは、屋外の自然の心地よさを融合していること。そのため、土間に沿って大きな開口部を設け、庭の眺めを屋内に取り入れ開放感を演出しました。
「庭に面した南側には大きく窓をとり、一方、北側は窓を少なくしました。開くところは開く、閉じるところは閉じる。屋内の空間構成や窓からの眺めに変化をつけています」(YKK APの田中さん)。
窓を大きくすると、通常、外気温の影響が大きくなります。そこで、このプランでは断熱性能の高い樹脂窓【APW 331 ハイブリッドスライディング】(YKK AP)を採用。屋内の温度を保ちやすく、同時に景色を楽しめる快適な空間になりました。
また、キッチン周辺でも開放感を感じられるように、システムキッチン【ザ・クラッソ】(TOTO)は土間越しに屋外に視線の抜ける向きに設置。屋内外をぐるりと見渡せ、家族との会話や庭の様子を楽しみながら調理ができます。
土間沿いの開口部からは、広々としたデッキスペースがシームレスにつながっています。自然に囲まれアウトドアリビングとしてくつろげる場です。
屋内は屋外のようにリラックスできる空間に。屋外には屋内のように落ち着ける場を。家の内外をあますことなく家族や友人とともに堪能できるプランになりました。
アイデア|「外」を暮らしに取り込んで
地域やまちとつながる
パート4では「アウトドアリビングを楽しむリモデルのアイデア」を取り上げています。家の中にいながらも、外を身近に感じる暮らしは心地よいと感じるもの。また、地域やまちとのつながりも大切です。「外」をうまく暮らしに取り込むためのヒントをご紹介します。
【ポイント】
アウトドアスペースをもてなしの場にアレンジ
テラスやウッドデッキにダイニングテーブルと椅子を配して、カフェのテラス席のようにしたい。友人や近所の人を招くもてなしの場にリモデルしたい。そんなときに知っておくといいのが、ダイニングテーブルの座席を用意するのに必要なスペースの寸法なのです。
ダイニングテーブルで必要な面積は、ひとりあたり横幅が60cm、奥行きが40cm。ただこれではやや窮屈なので、テーブルのサイズは、2人並ぶ場合は180cm、3人並ぶ場合は240cmを目安にします。アームなし、背もたれありの椅子で考えた場合、一人あたりのスペースは奥行き60cm以上、さらにその後ろをすり抜けるとなると最低でも90cmの奥行きを確保したいもの。
そのほかアウトドアスペースにもてなしの場をつくるときには、以下の4点にも留意するとよいでしょう。
①過ごしやすさは家具次第
屋外の居心地は家具で決まるもの。お勧めはガーデンファニチャーです。屋外で使用することを前提に設計されており、耐久性が高い。
②安定した食器を選ぶ
風で飛ばされて飲み物をこぼしたり、テラスの硬い床に落として割れてしまったりするので、食器やコップは適度な重さで丈夫な素材のものに。
③卓上の演出
グリーンをテーブルの中心に配してナチュラルに、花やキャンドルをあしらってシックになど、テーマを決めてコーディネートするとおもてなし感がアップ。
④虫除け対策をする
虫除けスプレーや蚊取り線香のほか、虫よけキャンドルや殺虫灯、また虫よけ効果の高いハーブの鉢植えなどを活用する手も。
Plan2
バルコニーと屋内の床面や床材の色を合わせて屋内外につながりを
アウトドアを生かす例として、「バルコニーで朝食を」と題されたプランは特にユニーク。ルーフバルコニーのあるマンションを購入して、屋外にダイニングスペースを設けました。屋内のキッチンスペースと屋外のバルコニーの床面をそろえフラットに。つくった料理をバルコニーに運ぶときなど、スムーズに内外の出入りができるようになっています。
「これはマンションの事例ですが、一戸建ての2階リビングにある既存のバルコニーを、飲食できるようにリモデルするのもいいと思います」(YKK APの田中さん)。
バルコニーには【リウッドデッキ 200】(YKK AP)を採用。リウッド(再生木)を使用したもので、天然木のような感触がありながら、腐食しにくく長持ちするデッキ材です。
一方、屋内の床に張ったのは【トリニティオトユカ45リフォーム・リノベ専用(144幅タイプ)】(DAIKEN)。マンションリモデル専用の床材で、表面の美しい木目の質感や立体感のあるデザインが特長です。「外のバルコニーと屋内の床材は、同系色でそろえると、屋内外のつながりが生まれます」(DAIKENの内海さん)。
屋内で食べたいときには、システムキッチンのカウンターをテーブル代わりにすることも可能です。「このキッチンは内と外をつなぐ中継地点でもあります。屋外のバルコニーに向けても、屋内に向けても食事を提供できる。オープンなキッチンとして機能するようにレイアウトや仕様を配慮しました」(TOTOの矢部さん)。
暮らしの場を外に広げることも、間取りや設備、建材の工夫しだい。リモデルの可能性を感じることができるプランです。
前編(2024年9月公開)・後編にわたってご紹介した「十人十家」のコレクションブックには、実際のリモデルの参考になる多彩なプランを掲載しています。
そのほか、東京・名古屋・大阪・福岡の4か所のTDYコラボレーションショールームでは、十人十家のプランの一部を再現し、体感できる空間展示「十人十家 くらしのヒント発見空間」を設置。あこがれの暮らしをイメージするきっかけとしてご活用ください。
「家族や友人と過ごす時間を充実させる」
「アウトドアリビングを楽しむ」
商品のご紹介
プライベートを充実させる空間をつくるなら、そのイメージを頭に思い浮かべながら、システムキッチンや床材、天井材、窓などひとつひとつの要素をことさらしっかり検討しておきたいもの。
完成後の満足度がアップします。
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TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ上質なクリスタルカウンターが輝き、暮らしに美しく調和。多彩な先進機能も兼ね備えた、心ときめくキッチンです。
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DAIKEN トリニティグランデ
四周木口面にまで化粧を施した、303mmの幅広タイプの美しいフローリング。より豊かに、より格調高く。インテリアを優雅に導きます。
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DAIKEN ハピアフロア スクエア
大判スタイルが個性的。漆喰コンクリートなど、これまでにない新たな素材感を楽しめるフロアです。
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DAIKEN グラビオ羽目板V
木目の立体感ある風合いが魅力で不燃性にも優れた羽目板。グラビオ羽目板Vとダイライト軒天羽目板との屋内外連動が可能。天井材だけでなく壁材としてもお使いいただけます。
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YKK AP APW 331
ハイブリッドスライディング障子に樹脂、枠にアルミ樹脂複合を採用。異なる2つの材質を組み合わせたハイブリッド構造の大開口樹脂窓です。
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YKK AP リウッドデッキ 200
リウッド(再生材)を使用したデッキ材。天然木に近い感触を持ちながら、ささくれがなく、お手入れが簡単で美しさが長持ち。心地よい庭まわり空間が生まれます。
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TDY オンラインリフォーム
相談センターご自宅にいながら、お持ちのスマホ・パソコン・タブレットで、簡単にリフォームについてご相談いただけます。
※この記事内容は、2025年1月29日時点での情報です。ご了承ください。
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