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【十人十家「趣味も仕事も充実する家づくり」をテーマにインタビュー】屋外・屋内に音を配慮して、気兼ねなく音楽を楽しむ部屋をつくる

第57回 【十人十家「趣味も仕事も充実する家づくり」をテーマにインタビュー】屋外・屋内に音を配慮して、気兼ねなく音楽を楽しむ部屋をつくる

(写真/特記以外、TDY)

TDYのリモデルのライフスタイル提案「十人十家」の4つのテーマのうち、
今回は 「趣味も仕事も充実する家づくり」にフォーカスを当てます。
音楽室、AVルームなどの施工事例を多く手がけている和工務店代表の佐俣 和男さんに、
音楽を気兼ねなく楽しむための空間づくりについて、お話をうかがいました。
佐伯さんの音に関するお考えを、皆さんの家づくり、リフォームにもぜひ生かしてください。

プロフィール

佐俣 和男(さまた かずお)さん

佐俣 和男(さまた かずお)さん

株式会社 和工務店代表取締役社長。建築学科卒業後、大工修行を経て、佐俣工務店専務に就任。1989年に和工務店を設立。柔軟な姿勢と大胆な発想で、建て主に寄り添った家づくりに取り組んでいる。

趣味に没頭できる空間があると
人生が豊かになる

佐俣さんは「興味を持つととことんのめり込む気質」ということで、キャンプ、ヨット、自転車、ピアノなど、多彩な趣味を持っています。趣味のための部屋をつくりたい、というお施主様の気持ちもよくわかるのだそう。そんな和工務店の家づくりの姿勢について聞きました。

音楽が暮らしの一部になっている
お施主様に寄り添う

和工務店は東京都町田市、神奈川県横浜市青葉区を中心に、住宅の新築、リフォームに幅広く取り組む住宅会社です。断熱・気密を重視した高性能住宅にも早くから着手する一方、室内の造作や家具製作にも注力し、お施主様のライフスタイルに寄り添うような家づくりを提案してきました。

「特に音楽を趣味とするお施主様は多いですね。ピアノやバイオリンなどの楽器を楽しむための部屋、オーディオにこだわったAVルームなどのご要望に数多く対応してきました」と佐俣さん。そうした方々とお付き合いしているうちに、社員の多くが楽器の演奏を趣味にするようになってきたそう。佐俣さん自身もピアノを習い、社屋の一室を防音仕様のピアノ室にリフォームすることになりました。

またその頃、社員が音楽を習っている先生との縁から楽器メーカーの防音室の施工を請け負うようになり、以来、20年近くにわたって防音のノウハウを積み重ねてきました。

「自分たちもよくわかるのですが、音楽を愛するお客様は、演奏すること、音楽鑑賞することが暮らしの一部になっているんですよね。周囲に気兼ねなくその時間を楽しみたい。そんな願いが実現することで、人生は豊かなものになる。家づくりを通してそのお手伝いをしたいと思っています」(佐俣さん)。

和工務店が手がけた楽器メーカーのスタジオ。床にはカーペット、天井には吸音材を入れ、壁面やドアは防音仕様にして、耳にやさしい音が響く環境をつくり出しています(写真提供/和工務店)。
和工務店が手がけた楽器メーカーのスタジオ。床にはカーペット、天井には吸音材を入れ、壁面やドアは防音仕様にして、耳にやさしい音が響く環境をつくり出しています(写真提供/和工務店)。

家の内・外での「音のコントロール」の
工夫を重視

防音室というと高額なイメージがありますが、和工務店では、お施主様の音楽との付き合い方によって、その仕様の程度を調整しています。「たとえば完全防音を目指すなら、楽器メーカーがつくっているような防音ユニットルームを丸ごと購入して組み込むことになりますが、それだけで500万円以上はかかってしまいます。一方で、私たちが得意なのは、いかにお金をかけないで音楽室をつくるかということ」と佐俣さん。

たとえば山の中の一軒家であれば、防音の必要はありません。家が住宅街にあっても夜間に演奏しなければ、少し音を抑えられれば問題にならないというケースもあります。また、2世帯住宅などで親世帯が日中も在宅している場合には、屋内での暮らしを意識した防音のほうが必要なことも。

「私たちは音楽室だけでなく、新築やリフォームのプラン全般で、"音のコントロール"を意識しています」(佐俣さん)。浴室やトイレで流す水の音が夜に響くようだと、落ち着いて休むことができません。また書斎やワークスペースがリビングの横にあるときには、日中の生活音をある程度、遮らないと仕事のオンライン会議などがしにくくなってしまいます。

「だから住宅設計では、音のデザインも重要なんです。音楽室の設計もその一環。音楽をする人もそうでない人も、家族みんなにとって快適な環境になるよう、音の聞こえ方、響き方を調整する工夫をするようにしています」(佐俣さん)。

そうしたノウハウが盛り込まれているのが、2024年にオープンした和工務店のレンタルスペース「スタジオワッツ」です。「地域の方に気軽に音楽を楽しめる場を提供したい」という思いで計画されました。得意とする木造工法に、二重窓や防音ドアなどの仕様を組み合わせ、高い防音性を実現しています。

「スタジオワッツ」外観。和工務店が得意とするシンプルなデザインです。
「スタジオワッツ」外観。和工務店が得意とするシンプルなデザインです。
ロフトやキッチンのある2階のホール。床はピアノを置けるように補強されています。天井にはDAIKENの吸音材を採用。ダンスのレッスンやコーラスの練習などにも利用可能です。
ロフトやキッチンのある2階のホール。床はピアノを置けるように補強されています。天井にはDAIKENの吸音材を採用。ダンスのレッスンやコーラスの練習などにも利用可能です。
1階には練習スタジオが2室。防音と断熱のため二重窓を採用し、空調も完備して、快適な環境に。
1階には練習スタジオが2室。防音と断熱のため二重窓を採用し、空調も完備して、快適な環境に。

快適な音楽環境をつくる設計の工夫
~ヒアリングと間取り~

住宅の「音のデザイン」をするうえで、佐俣さんが重視しているのが、事前のヒアリングと間取り。快適に音楽を楽しむための環境づくり、家づくりにどのように生かしているのでしょうか。

家族の「音の価値観」を間取りに反映させる

「音には、聞こえたほうがいい音と、聞こえない方がいい音がある」というのが、佐俣さんの持論。交通騒音のように不快に感じられる音は遮りたいものですが、子どもたちがそれぞれの個室で何をしているのかという気配は伝わってきたほうが安心できます。
「その感覚は家庭ごとに大きく異なります。それぞれの家族のそうした音についての価値観や距離感をなるべく早い段階で聞き取ることが大切」(佐俣さん)。

家の中でポイントになるのは、キッチン、浴室、洗面所、リビング、音楽室といった、生活音などが発生する箇所と、書斎や寝室、親世帯の部屋などの静かさが求められる部屋。ヒアリングでつかんだ音の価値観に基づいて、双方の配置や距離などを間取りのプランの中で調整することが、「音のデザイン」の第一歩。

「防音材をどのくらい入れるか、何デシベルまで遮音するか、ということは、あとから調整すればいいこと。それより先に、間取りできちんと部屋の配置を計画することでかなりの部分、音の問題は解決できます」(佐俣さん)。

間取りで防音を図るポイントは、部屋と部屋の間に距離を空けること。「私は自宅で、音楽室の隣を寝室にしていたことがありますが、この距離ではいくら防音仕様にしても、音を遮るのは難しい。でも寝室と音楽室の間にウォークインクロゼットなどを配置するだけで、音の問題はかなり解消できます。音は距離で減衰する性質があるからです」(佐俣さん)。

吸音と遮音のバランスをとって
心地よい音楽室に

楽器の演奏や音楽鑑賞を楽しめる音楽室をつくるためのポイントをまとめました。用途に合わせてしっかり防音する仕様、音を心地よくする工夫などを考慮して、バランスよく計画することが重要です。

POINT1

音楽鑑賞のためのオーディオルームでは吸音材で音のバランスを調整

「音楽を聴きたい人、演奏したい人、それぞれに適した音楽室は異なります」と佐俣さんは言います。

「特に音楽を聴くための音楽室は、間口約2.7m×奥行き約3.6mの6畳の空間がセオリーです。ちょうどこの寸法の空間が音の響きがいいんです」(佐俣さん)。

オーディオルームの場合、スピーカーやアンプなどのオーディオ機材にこだわる人が多いそう。「お施主様のこだわりを最優先すると同時に、室内の吸音性を調整して、音が反響しすぎず、落ち着いて聴けるような音にしていきます。壁を二重にしてその内側にグラスウールなどを充てんすることでも、効果的に吸音できます。天井材ではDAIKENさんの吸音材は性能がいいですね」(佐俣さん)。

そのほか、壁の表面にネット状の吸音資材を貼って調整することもあるとか。「本棚やソファなどの家具を置くだけでも吸音効果があるので、試行錯誤しながら、好みのバランスを見つけられるといいですね」(佐俣さん)。

オーディオルームの事例。天井と壁面には吸音材を貼り、曲面部分には木片をランダムに貼って吸音を図っています(写真提供/和工務店)。
オーディオルームの事例。天井と壁面には吸音材を貼り、曲面部分には木片をランダムに貼って吸音を図っています(写真提供/和工務店)。
POINT2

楽器を演奏する部屋では床や壁、天井を音の伝播を止める仕様に

楽器のプレイルームでは床の構造がポイントになります。1階に設けるときには、大引きや根太などの床の構造を省いて、基礎の部分に床下地を直接施工するそう。
「ピアノは鍵盤で弦を叩いて音を出します。ドラムもそうですが、音の衝撃が床に伝わるので、木造の躯体に直接響かせないようにいったん基礎のコンクリートで遮断します。ピアノ室ですと、これだけで防音施工が済む場合もあるほど効果的です」(佐俣さん)。

さらにピアノの下にカーペットを敷いたり、壁の内側に石膏ボードや断熱材を入れて遮音したり、天井材には吸音板を張って音を抑えることも。「バイオリンでもピアノでも、季節によって温度や湿度が変わるだけで、楽器の音色は変わるんですよね。だからあまり神経質にならずに、そのときどきで音の違いを楽しめばよいのでは」(佐俣さん)。

POINT3

気密性の高い二重窓や高性能ガラスで屋外への音漏れを防止

屋外への音漏れを防ぐ際に重要なのが窓まわりです。佐俣さんは、内窓を設置して二重窓にしたり、二重窓にできない場合は複層ガラスの厚みを増やしたり、飛散防止の膜を入れた防犯ガラスなどを採用したりすることが多いそう。「熱と同じで窓は音の出入りする経路になります。窓の気密性を高めると、外へ漏れる音を大幅に抑えることができます」(佐俣さん)。

そのほか、厚めのカーテンを吊るのも効果的。開閉して吸音性を調整することも可能です。

「窓の防音性を高めれば、外の音も入ってこなくなるので、静かで落ち着いた部屋になります。そのような音楽室は、書斎としても重宝しますよ」(佐俣さん)。

インテリアや空調にも配慮して、
くつろげる空間に仕上げる

音楽室を計画する際には、音に関する機能だけでなく、インテリアや空調など、くつろぐ環境を整えることも大切です。最後に、コスト面も含め、家族みんなが快適に音楽を楽しむために必要な空間づくりのコツをお聞きしました。

一生楽しめる音楽室。
コストパフォーマンスは最高

音へのこだわり方、演奏の時間帯など条件によって、様々なアプローチでつくれる音楽室。だいたいどのくらいの予算を想定すればよいのでしょうか。

「私たちがお施主様に説明するときには、(音に関する費用として)100万円から500万円の間を見込んでくださいとお伝えしています」と佐俣さん。より本格的な場合には、(新築の)土地選びの段階から関わり傾斜地などを探してもらい、半地下の音楽室を提案することもあるそうです。
「土で覆われると、外への音漏れが最小限に抑えられますから、昼夜問わずにドラムやピアノを演奏したい人や、長時間大音量で映画や音楽を楽しみたい人にはうってつけです。完全な地下室にするより、傾斜地なら掘削量も少ないのでよりコストダウンできます」(佐俣さん)。

また音楽室を計画する際には、インテリアや空調など、快適な環境をつくるための提案も忘れません。「みなさん、音のことばかり気にしがちですけども、気に入った内装であればより楽しめると思います。また空調や換気設備などもきちんと計画すると、長時間くつろげる環境になります」(佐俣さん)。

音楽室をつくると、通常の仕様よりも費用がかかるものの、毎日の生活の中に心を豊かに保てる時間を持ちやすくなります。住宅の一部としての快適性も備えれば、末永く楽しめる空間になるでしょう。

「先日、私たちが音楽室を設計・施工したお客様から、和工務店のスタッフをご招待いただきました。みんなでそれぞれ得意な楽器を演奏して、楽しい時間でしたね」と佐俣さん。音楽室は一生もの。コストパフォーマンスは最高だといえるかもしれません。

声楽や合唱などを趣味とするお施主様のリフォーム事例。リビングにピアノを置いたオープンなプランにして、来客との交流を楽しむ場に(写真提供/和工務店)。
声楽や合唱などを趣味とするお施主様のリフォーム事例。リビングにピアノを置いたオープンなプランにして、来客との交流を楽しむ場に(写真提供/和工務店)。
「間取りや構造、内装を工夫すれば音楽をもっと楽しめるようになります。そんな家づくりを提案していきたい」と佐俣さん。
「間取りや構造、内装を工夫すれば音楽をもっと楽しめるようになります。そんな家づくりを提案していきたい」と佐俣さん。

TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり商品、DAIKENの建材、YKK APの窓商品など、リノベーションに活用できるアイテムをご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。

新プラン登場! 十人十家 くらしの想いを わたしらしく 10人いれば、10通りのくらしの想いがある。さまざまなくらしの想いをかなえる空間をご提案します。 新プラン登場! 十人十家 くらしの想いを わたしらしく 10人いれば、10通りのくらしの想いがある。さまざまなくらしの想いをかなえる空間をご提案します。

音楽室づくりに関わる
商品のご紹介

「わが家でもAVルームでの音楽鑑賞や楽器演奏を楽しめるのかしら?」そのような思いがあるなら、ぜひここで紹介する商品をチェック!屋外や隣室への防音・遮音、音の質を調整する部材がそろっています。

  • オトテン

    DAIKEN オトテン

    シンプルモダンのデザインで、優れた吸音性・遮音性が求められるリビングシアターやホームシアター、ピアノ室などに最適な音響用天井材です。

  • オトカベ

    DAIKEN オトカベ

    本格的なホームシアターから家族で楽しむリビングシアターやピアノ室まで。音の響きを楽しみながら、健康&快適な空間をつくり出す壁材です。

  • 防音ドア

    DAIKEN 防音ドア

    日常生活の音漏れを軽減する音配慮用から本格防音ルーム用まで、豊富なドアバリエーション。

  • ウチリモプラマードU

    YKK AP ウチリモ
    プラマードU

    既存の窓に内窓を取り付けて二重窓にできます。外からの音を15dB低減。騒音が半分以下に聞こえる遮音効果があります。

  • マドリモ 戸建て用

    YKK AP マドリモ
    戸建て用

    壁工事不要のカバー工法で、古い窓を最新の断熱窓にスピード交換。気密性が向上し防音性がアップします。

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※この記事内容は、2025年3月28日時点での情報です。ご了承ください。

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