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家族の時間編
K様邸 第14回
両親への感謝をカタチにした
心まであったかくなる家
お母様が20年間スナックを営んでいた建物を、親子で安らげる住空間へとリフォームされたK様ご家族。今回は、快適な暮らしの基礎となる設備選びについて細かく伺いました。予算内でベストな住まいを生み出すためのコストのかけどころや水まわりの動線、機能性と遊び心の両立など、参考にしたい工夫がいっぱいです。
暖かさの秘密は、断熱材と高性能の窓。おかげで冬でも暖房いらず
お邪魔したとき、お住まいの暖かさに驚きました。今日は強風で外は冷えますが、それでもエアコン(暖房)はつけていないのですよね?
- ※取材は11月下旬に行いました
K様:日当たり抜群だから、エアコンは必要ないのですよ。昨冬は一度もエアコンをつけず、ストーブだけで過ごせました。工務店さんが4面の壁と床、天井、屋根裏に、みっちり断熱材を入れてくれたおかげです。朝起きて布団から出たときの暖かさは想像以上で、リフォームの威力を実感しています。
断熱材だけでなく、窓にもこだわったそうですね。寝室に入れたYKK APのアルミと樹脂の複合窓「エピソード」は、しっかり断熱してくれる上、結露防止にもぴったりだとか。
K様:窓はコストがかかってもいいから断熱性に優れたものを、と思っていました。カフェスペースの窓は、スナック時代のもの。建物を新築した20年前、思い切って当時最先端の複層ガラスを入れたので、それは生かしたままで他の窓を新しくリフォームしました。あのとき母は、「この景色をお客様みんなに見せてあげたい」と、なるべく大きくて高性能の窓を選んだそうです。
K様邸のリフォームが素晴らしいのは、コストをかけるべきところと抑えるべきところを見極めて、上手にメリハリを利かせているところ。今回、「住みやすさ」の基礎となる部分にはしっかりとお金をかけたのですね。大正解だと思います。
ワンポイントアドバイス
住みやすさの基礎となる部分にはお金をかけて、予算にメリハリを
限られた予算で最高の住まいを形にするには、予算のかけどころが重要になります。K様邸では断熱材や断熱窓など、「住みやすさ」の基礎となる部分にはコストを惜しまない一方で、土間の床やカフェカウンター下にある壁は、タイルやレンガではなくクロスを選んでいます。また、群馬県産木材を使うと補助金が出る制度も活用して、天井や壁に杉材をたくさん使いました。このように、予算の上手な配分は、工務店さんの力量が試される部分でもありますね。
トイレと浴室はお手入れしやすい商品で、ストレスフリーに
トイレの壁は杉材でしょうか?明るくて気持ちのいい空間に仕上がりましたね。
K様:トイレと浴室、洗面所はTOTOで統一しましたが、重視したのは清掃性とコストです。工務店さんと一緒にメーカー各社のショールームを見学して決めましたが、特にトイレは「TOTOのウォシュレット付きを」という両親の希望を優先しました。
トイレの床には、汚れが落ちやすい鏡面仕上げのトイレ専用床材をお使いですね。お掃除がしやすそう。浴室はいかがですか?
K様:お風呂は何といっても、足を伸ばして入れる浴槽が最高です。以前の住まいと比べて浴室面積は変わっていませんが、細長いタイプの浴槽を選んで、ゆったりとお湯に浸かれるようにしました。毎晩のバスタイムは、「リフォームして良かった」と心から実感するひとときです。以前の浴室はカビ取りが大変でしたが、その苦労がなくなってお手入れも楽になりましたよ。
ワンポイントアドバイス
床材選びのポイントは、デザイン性に加え、お手入れしやすさも
K様邸では、リビングに無垢のパイン材や杉材を多用し、明るくすがすがしい空間を作っています。一方、トイレにはトイレ専用床材のDAIKEN「ハピアフロア」を敷くなど、お手入れしやすさを重視した建材を選択。無垢の木材は温かな表情が出ることで人気がありますが、長く使ううちに木材と木材の間の溝が広がるといった心配も。それも「味」になりますが、「お手入れしやすさ」を考えるとデメリットにもなりえます。K様邸にならって、水まわりに関しては機能重視で選ぶのがおすすめですよ。
回遊型のキッチン&パントリーで、家事もラクラク
水まわりの動線も工夫されていますね。浴室、洗面所、パントリー、キッチンとぐるぐる回れる作りになっています。パントリーからは勝手口にも出られて、家事動線はばっちり。
K様:これも、弟夫婦がすすめてくれたアイデアです。お料理中、パントリーに乾物を取りに行ったその足でお風呂の支度をしたり、ゴミを勝手口から出したりできてとても便利ですよ。
昔はキッチンを「隠す」ような間取りが大半でしたが、今は性能が向上して、キッチンを堂々と前面に出せるようになりました。だから設計の自由度が高くなって、便利な動線を作ることも可能になりましたね。収納も充実していて使いやすいのでは?
K様:TOTOのシステムキッチン「ミッテ」を選びましたが、内蔵されている収納と、工務店さんに作ってもらった造り付けの収納棚のおかげで、すっきり整理できます。家全体がコンパクトですから、ジャストサイズな収納設備で空間を有効に使えて大助かりです。
対面式キッチンだから、ご家族の会話も弾みそうですね。
K様:対面式キッチンは、かねてからの母の憧れでした。私は仕事で帰りが遅いこともあって、お料理をするのは主に母。念願のキッチンで料理ができて、母もうれしそうです。
お互いを近く感じられる住まい。ともに過ごす時間を大切にしたい
改めて、今回のリフォームを振り返ってみていかがですか?
K様:わが家の場合、親類が集うお正月の飲み会でたまたまリフォームの話題が出たのがきっかけ。降って湧いたような機会に乗って、トントン拍子でリフォームを進めてしまいました。前の家も決して住めない状態ではなかったのですが、思い切って実行して本当に良かったです。
リフォームってタイミングとご縁ですよね。流れが来たときに「お金も手間もかかりそう…」と一度躊躇してしまうと、動けなくなりがち。けれど「エイヤッ」と勇気を出して決意すると、そこから豊かな人生が始まりますから。
K様:本当にそうですね。父、母、私の3人は、以前は生活リズムがバラバラで一緒に過ごす時間はごくわずかでした。でもリフォームを機に、数十年ぶりに一緒に食卓を囲んだり、テレビを観たりする時間を持てるようになりました。父の病気をきっかけに、「ともに過ごす時間は限られているのだ」と身に沁みるようになった今だからこそ、互いの距離を近く感じられるこの住まいが、とてもうれしい。家族が時間と空間を共有できる今の暮らしを、愛おしく感じています。
出来上がった住まいには、K様のご両親に対する「お疲れさま」という感謝の気持ちが詰まっていますね。加えて私が素敵だと感じるのは、暮らしを支える基礎の部分はしっかり整えながら、随所に遊び心を散りばめているところ。カフェカウンターがある通り土間も、この家のシンボルのような3本の飾り柱も、かわいらしく並ぶ小さなはめガラスも、見ているだけでワクワクします。
K様:おっしゃる通り、この家に住むようになってから、ワクワクすることが増えました。いつかリビングにロッキングチェアを置くのもいいなとか、夜は照明を落としてカフェカウンターでジャズを聴こうかなとか、発想がどんどん湧いてくるのです。
イマジネーションが膨らむ住まいは最高ですね!良い住まいは、住まう人の人生を素敵な方向に変えてくれる力を持っています。プロから見ても学ぶところが多い、魅力的なお住まいです。
ワンポイントアドバイス
イマジネーションが広がる家は、人と暮らしを豊かにしてくれる
「住みやすさ」を支えるさまざまな機能や、暮らしに絶対必要なスペースだけが、住宅の価値というわけではありません。K様邸では、懐かしいカウンターを生かした土間をはじめ、「遊び」の設えがあちこちに。そうした遊びがあると、「あの場所でこんなことをしてみようか」と発想が豊かになって、暮らしに彩りが生まれます。一見、無駄に思えるものが実は無駄ではなく、倍くらいの価値になってかえってくるのが住まいの面白いところ。ぜひ、「生活に欠かせない要素」と「遊びの要素」をバランス良く盛り込む気持ちを忘れずに。
プロフィール
K様(群馬県)
70歳代のご両親と3人暮らし。自宅敷地内でお母様が20年間経営なさっていたスナックを、ご家族3人の住まいにリフォーム。2017年、隣に住む弟ご夫婦の協力を得て、おしゃれなカフェ風住まいを完成させました。
江口恵津子氏(株式会社ヴェルディッシモ)
建築デザイナー、インテリアコーディネーター。専業主婦を経てリフォームの世界に入る。「大改造!!劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日)など出演多数。著書に『わが家のスローリード・リフォーム』(PHP)がある。
リフォーム情報
家族構成 | 父+母+娘 | 面積 | 85.95m²⇒85.95m² | 形態 | 戸建住宅(平屋) | 日数 | 40日 |
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築年数 | 20年 | 費用 | 1,000万円 | ||||
採用商品 | TOTO:キッチン「ミッテ」、トイレ「ウォシュレット一体形便器 HV」、手洗器「ベッセル」、浴室「サザナ」、洗面台「Vシリーズ」 YKK AP:窓「エピソード」、玄関ドア「かんたんドアリモ 玄関ドア」、室内ドア「ラフォレスタ」 DAIKEN:床「ハピアフロア」、「フォレスティア」、下駄箱「フラットタイプ」、畳「ここち和座」 |
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担当店 |
株式会社武井建設
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