家を建てたり、購入やリフォームをするときに、知っておきたいのが国や自治体による支援制度です。
要件を満たせば補助金が利用できたり、税額控除などの優遇措置が受けられたりします。
よりよい住環境を整備するために、用意されている支援制度を活用して、質の高い住まいづくりを実現しましょう。
2022年度、特に注目したい新築とリフォームの支援制度について、主なポイントを紹介します。
新築からリフォームまで
幅広く利用できる
税金の優遇措置
住宅の取得やリフォームする人を支援するために、所得税から一定額を控除する制度や、不動産取得税、固定資産税などを減税する制度、また親などから住宅取得資金を贈与される際に一定額まで非課税になる制度などを国が用意しています。
これらの制度は毎年、社会情勢などに応じて内容が調整されますが、2022年度の改正で注目しておきたい3つの制度をご紹介します。
住宅ローン減税
- ・新築、買取再販、既存住宅とも環境性能(省エネ性能)が高い住宅ほど借入限度額が上乗せに
- ・リフォームは借入限度額2000万円まで対象
- ・控除率は0.7%、控除期間は新築と買取再販が13年間、既存住宅やリフォームは10年間
償還期間10年以上の住宅ローンを使って住宅を新築・取得・リフォームした場合に、年末借入残高の一定割合が所得税から控除される制度です。昨年度までは、年末残高の1%が控除されましたが、今回の見直しにより2022年度は一律0.7%が控除されます。
新築および買取再販住宅の場合、控除対象となる借入限度額は長期優良住宅・低炭素住宅が5000万円、ZEH※水準省エネ住宅が4500万円、省エネ基準適合住宅が4000万円と、環境性能などが優れているほど増えるのが特徴です。その他の住宅は3000万円です。
※ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス。外皮の断熱性能などを大幅に向上させるとともに、効率的な設備システムの導入により、室内空間の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅
既存住宅も省エネなどの環境性能が高い住宅は3000万円と優遇されます。その他の住宅は2000万円です。なお、既存住宅の築年数要件は、昨年度までの「耐火25年以内、非耐火20年以内」から「1982年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に対象が拡大されました。
一方、リフォームの借入限度額は一律2000万円です。借入金なしで行うことも少なくないリフォームですが、大規模リフォームや既存住宅購入と同時に行う場合などは、住宅ローンの利用も検討してはいかがでしょうか。
なお前年分の所得税から控除しきれない分は、一定の範囲で翌年分の住民税から控除されます。
リフォーム減税
- ・省エネ、耐震、バリアフリー、三世代同居、長期優良住宅化リフォームに対応
- ・昨年度までの「ローン型」「投資型」を統合し、借入金なしでリフォームする際の最大控除額がUP
- ・各性能別の減税制度は併用して利用することが可能(耐震を除き、所得税減税と住宅ローン減税とは併用不可)
リフォームの場合、性能別に一定の要件を満たすことで所得税が減税になる制度があります。昨年度までは、ローン型と投資型に分かれて別々の制度になっていましたが、2022年度からは一本化されました。
リフォーム減税の対象工事は、省エネ、耐震、バリアフリー、三世代同居、長期優良住宅化の5種類ですが、それぞれの要件を満たす必須工事を行うと、併せて行うその他のリフォームも減税対象になります。
最大控除額は、例えば省エネリフォームの場合62.5万円(※67.5万円)、耐震、三世代同居の場合も62.5万円、バリアフリー60万円、長期優良住宅化は75万円(※80万円)です。
それぞれの性能向上リフォームの減税制度は、併用することができます。
※太陽光発電を搭載する場合の額
住宅ローン減税は償還期間10年以上の住宅ローンを利用する場合に減税対象になりますが、リフォーム減税はローンの有無に関係なく対象になります。よって10年以上の住宅ローンの場合、双方の制度の対象になりますが、併用はできませんのでご注意ください。
リフォーム減税は性能などの要件を満たさなければならないので、リフォーム会社を選ぶときは、各々の性能向上リフォームの実績が豊富で、制度に理解がある会社を選びましょう。
なお、性能向上の一定要件を満たすと、翌年分の固定資産税も一定の範囲で減額されます。例えば省エネリフォームを行った場合は、該当する住宅の120㎡相当分まで3分の1が減額されます。
贈与税の非課税措置
- ・最大1000万円まで住宅取得などの資金の贈与が非課税に
- ・新築、住宅取得、リフォームが対象で質の高い住宅をより優遇
- ・2023年12月31日までの贈与が対象
贈与税は、個人から財産を生前贈与されたときにかかる税金です。年間110万円までは基礎控除として非課税ですが、それを超えると贈与税がかかります。
ただし、満20歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点)の人が、親や祖父母などの直系尊属から住宅の新築や取得、リフォームのための資金を贈与されたときは一定額まで非課税限度額が上乗せされます。
非課税限度額は見直しにより昨年度より縮小されているので注意しましょう。
「質の高い住宅」が1000万円、それ以外の住宅が500万円。いずれも対価に含まれる消費税率が10%の場合です。
質の高い住宅とは一定の耐震・省エネ・バリアフリー性能のいずれかを有する住宅のことですが、リフォームの場合でもその基準に適合させる場合は、1000万円の贈与まで非課税となります。
なお基礎控除額110万円を合わせると最大1110万円まで控除が可能です。
他にもさまざまな税制優遇があります。詳しくは下記をご覧ください。
住まいの性能を高め、
充実させる注目の補助制度
住まいの補助制度はいろいろありますが、近年目立つのは、優良な住宅ストックの形成を目指すリフォームに補助金が出される制度です。
省エネや耐震、耐久性などを高め脱炭素社会の実現に向けて貢献できる住まい、長期にわたって安心で快適に暮らせる住まいへとリフォームする際の補助制度について紹介します。
長期優良住宅化
リフォーム推進事業
事前にインスペクション(建物状況調査、住宅診断)を行い、省エネ対策、耐震性、構造躯体などの劣化対策、維持管理・更新の容易性など総合的な性能向上を図るリフォームに補助金が出されます。
補助金額は長期優良住宅(増改築)の認定を取得しない場合が最大100万円、認定を取得する場合が200万円。省エネ性能のさらなる向上や、三世代同居対応工事、子育て世帯のリフォーム、既存住宅を購入してのリフォームなどにはプラス50万円です。
補助金の申請は、事前に同事業に登録しているリフォーム会社が行います。補助金を利用したい場合は、登録しているリフォーム会社を選ぶ必要があるため、あらかじめ確認してから依頼しましょう。
※上記は2022年4月時点の情報で、内容が変更になる場合があります
省エネやエコに関する
さまざまな補助制度
国や地方自治体のリフォームに対する補助制度において、最近、省エネ・エコリフォームを積極的に支援する傾向にあります。それらの中から4つの事業を紹介します。なお、自治体が公募するケースも多いので、お住まいの自治体の情報も併せてチェックしましょう。
住宅エコリフォーム推進事業
住宅をZEHレベルの高い省エネ性能へとリフォームする際に、国や地方自治体から補助するものです。省エネ診断や省エネ設計、省エネ改修が対象です。
住宅・建築物省エネ改修
推進事業
上記の住宅エコリフォームと同様の趣旨で、住宅や建築物ストックに対して国が地方自治体の取り組みと連携して支援を行うものです。
住宅に対しては省エネ基準適合レベル、より高性能なZEHレベルの2段階のリフォームに対して、補助が行われます。
既存住宅における
断熱リフォーム支援事業
高性能建材(断熱材、窓、ガラス、玄関ドア)を用いて行う断熱リフォームへの補助制度です。2022年度の一次公募期間は2022年3月14日~6月3日。
補助金上限は戸建住宅1戸当たり120万円、家庭用蓄電池システムや蓄熱設備、熱交換型換気設備などにも補助金が出ます。
次世代省エネ建材の
実証支援事業
工期短縮が可能な断熱パネルや、蓄熱・調湿建材などの次世代省エネ建材の効果の実証を支援する制度です。戸建は外張り断熱と内張り断熱の2つの方法が選べ、それぞれ補助金の上限額が異なります。
※上記は2022年4月時点の情報で、内容が変更になる場合があります
他にもさまざまな補助金・融資が用意されていますので、詳しくは下記をご覧ください。
お住まいの自治体で
用意している
各種の支援制度も活用を
リフォームに関わる支援制度は、国が行っているものの他に地方自治体が独自に設けている制度も数多くあります。
特に耐震、省エネについては年間を通して多くの自治体が支援制度を実施しています。また、バリアフリーリフォームを支援する自治体もあります。
公的な優遇制度・補助制度の多くは、新年度が始まるとすぐに情報が公開され公募が開始されます。制度は予算に基づいて運営されるため、公募期間であっても予算に達し次第、受付が締め切られることがあります。
早めに情報をチェックしておくとともに、リフォーム会社や住宅会社ともしっかり打ち合わせを行い、スムーズに申請ができるよう連携をとって準備を進めましょう。
各地方自治体の支援制度は下記のウェブサイトなどをご覧ください。
※2022年6月末日現在は2021度版、2022年度版は7月に公開予定
また、いずれの制度も利用するために要件が設けられていて、一定の技術基準をクリアする仕様や建材・設備選びなどをしなければなりません。そのためにも信頼できるプロに相談することが不可欠。なるべく早い段階で依頼先を選ぶとよいでしょう。
※制度によっては、国の補助制度と併用できない場合もありますので、ご注意ください
新築・リフォームにおける、補助金・優遇税制などの支援制度について詳しくはTOTO、DAIKEN、YKK APが作成した「住宅取得・リフォーム支援制度ガイドブック 2022年度版」をご参照ください。
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり、DAIKENの内装建材、YKK APの窓・玄関ドアなど、補助金・優遇税制に関連する商品もご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」では、くらしの想いをかなえる様々な空間をご提案しています。ぜひご活用ください。
補助金・減税の支援制度活用に
おすすめの商品のご紹介
ここでは、支援制度に関連する商品を幅広くラインナップしました。
ぜひ、プランニングにご参考ください。
-
TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ美しさと使いやすさを追求し、さらに「きれい除菌水」で清潔にこだわりました。
-
TOTO 戸建て住宅向けシステムバスルーム
シンラリラックスを追求した新機能を搭載しています。日常を快適にするTOTOのこだわりをバスルームに実現しました。
-
TOTO ネオレスト
美しいデザインに、美しさのためのテクノロジーを搭載しました。
-
TOTO システムドレッサー
エスクアLSシンプルに仕上げたデザインと先進の機能が、様々な暮らしのスタイルに調和します。
-
DAIKEN ダイロートン健康快適天井材
クリアトーン12SⅡ「次世代省エネ建材の実証支援事業」の補助対象製品(調湿建材)です。既存のクロス仕上げ天井の上から施工が可能なため、リフォームにもお使いいただけます。
-
YKK AP マドリモ
樹脂窓壁工事不要のカバー工法で、窓をスピード交換。暑さ寒さの原因となっていた古い窓を、新築にも使われている最新の窓に替えて、より快適で健康、ローエネな暮らしにすることができます。
-
YKK AP マドリモ
内窓プラマードU今ある窓に内窓を取付けて二重窓に。窓の断熱性を高め、住まいの暑さ、寒さのお悩みを解消できます。結露抑制・防音・防犯などで快適性もアップ!
-
YKK AP ドアリモ
玄関ドアD30壁工事不要のカバー工法で、ドアを1日でスピード交換。住みながら最新の玄関ドアへリフォームできます。豊富な機能、デザイン、カラーでエントランス空間づくりを始めませんか?
※この記事内容は、2022年5月27日時点での情報です。ご了承ください。
関連記事
-
「こどもみらい住宅支援事業」を活用したリフォームで、省エネ&家事をしやすい住まいに。
-
【2021年度】今、注目の新築・リフォーム 補助金・減税の支援制度
-
【2020年】リフォームの強い味方 補助金・減税の支援制度を活用しよう!
-
【2019年】リフォームで補助金を使おう!補助金・減税の支援制度を一挙解説
-
【十人十家「毎日を健やかに過ごす」をテーマにインタビュー】暮らしに合わせた間取りと断熱・耐震性の向上で健やかな暮らしを実現
-
環境にやさしく快適で健康的なわが家に。性能向上リノベで「これからの家」を実現
-
なぜいま、断熱リフォームに視線? 家の性能を見直して、家族と地球の健康を手に入れよう
-
鎌倉の性能向上リノベーション最新事例に学ぶ!中古住宅が安全・安心、開放感あふれる"わが家"に
-
断熱リフォームでわが家を快適に。最先端の進化系断熱リフォームもご紹介
-
リノベーションで断熱・耐震性を改善 安全・快適・健康的な住まいに!