この記事は2020年版のリフォーム補助⾦に関する記事です。
最新の2022年度版の記事はこちらです。
せっかくリフォームするなら、単なる修繕だけではなく、快適で暮らしやすい空間にランクアップさせたいもの。
そんなリフォームを支援するために、国では各種の補助金、減税などの支援制度を用意しています。
うまく活用すれば、自己資金の負担を減らし、コストパフォーマンスのよいリフォームが実現できそうです。
リフォーム補助金について
リフォーム時に補助金が受けられる制度があります。目を引くのが住宅の性能向上を目指したリフォームに対する補助金制度。限りある資源を有効に使い、環境にかかる負荷を削減する取り組みの一環として、国は既存の住宅ストックの性能や品質の向上を促進しようとしています。国や自治体ごとに様々な補助金制度がありますが、いずれも一定の性能基準を満たすことが必要。そのほか、使用する建材・設備、支給金額の上限、工事内容などに規定や条件があり、申請の時期なども決まっているので、計画段階で建築のプロに相談しておきましょう。
2020年 おすすめのリフォーム補助金制度①
長期優良住宅化リフォーム
推進事業
「長期優良住宅」とは、平成21年にスタートした「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアし、認定を受けている住宅のこと。バリアフリー、耐震、省エネなどの住宅性能の基準を満たし、間取りの可変性や維持管理の計画などが考慮され、長期にわたって安心で快適に暮らせるように基準が定められています。
そうした長期優良住宅の認定やそれに準じた基準を満たす住宅にリフォームする場合、その費用に対して補助が行われます。対象となるのは、性能向上リフォーム、三世代同居対応リフォーム、子育て世帯向けリフォーム。工事費用のほか、リフォーム前のインスペクション、リフォーム履歴情報の作成、維持保全計画の作成等にも補助金が出ます。戸建住宅と集合住宅のどちらにでも利用できます。
TOTO、DAIKEN、YKK APでは、この制度に関するパンフレットをご用意しています。
以下からぜひご覧ください。
2020年 おすすめのリフォーム補助金制度②
省エネ改修補助金
2020年の省エネ改修に関する補助金のうち、比較的利用しやすいのが、高性能な窓、ガラス、断熱材などを用いた「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」と 、高性能断熱パネルや蓄熱・調湿等の性能を持つ省エネ建材を設置する「次世代省エネ建材支援事業」です。いずれの制度とも、戸建住宅と集合住宅のどちらにでも利用できます。
高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
15%以上の省エネ効果が見込まれる高断熱化リフォームに対し補助が適用されます。戸建住宅だけではなく、マンション、アパートなどの集合住宅も対象になります。金額の上限は、既存の戸建住宅では一戸あたり120万円、集合住宅は一戸あたり15万円で、それぞれ対象の費用の1/3以内。
補助対象となるのは、高性能建材(ガラス・窓・断熱材)を用いた断熱改修ですが、住宅用太陽光発電が設置されている中古戸建住宅の場合は、家庭用蓄電池か家庭用蓄熱設備の設置にも、さらに補助を受けることが可能。室内の温熱環境を快適に保てるようになるほか、光熱費の削減、結露・カビ被害の改善などが期待できます。
補助対象となる製品(参考)
あらかじめSIIに登録されたガラス、窓、断熱材の登録要件
ガラス | 熱貫流率が2.33以下の製品、ほか |
---|---|
窓 | 熱貫流率が2.33以下の製品(ただし、内窓の場合は外窓とあわせて熱貫流率が2.33以下であること)、ほか |
断熱材 | 熱伝導率が0.041以下の製品、ほか |
※SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ
次世代省エネ建材支援事業
短工期で施工可能な高性能断熱パネル、蓄熱、調湿などの付加価値を持つ省エネ建材を取り入れた断熱・省エネリフォームが対象となります。戸建住宅と集合住宅のどちらにでも利用できます。
断熱パネルや潜熱蓄熱建材の工事と同時に断熱材、高断熱の窓・ガラス・玄関ドア、調湿建材を採用する場合には、これらも補助対象となります。
補助率は補助対象経費の1/2以内で、戸建住宅の補助金は一戸あたり20万円〜200万円、集合住宅は一戸あたり20万円〜125万円です。戸建住宅と集合住宅、申請者が一棟所有する賃貸住宅のいずれも対象となります。
それぞれ対象となる製品の仕様や施工方法に規定があるので、計画時から検討しておくことが必要です。
補助対象となる製品(参考)
必須製品 | ・断熱パネル ・潜熱蓄熱建材 |
---|---|
任意製品 | ・断熱材 ・窓(カバー工法用製品または内窓) ・玄関ドア ・ガラス ・調湿建材 |
2020年 リフォーム減税
について
住宅をリフォームする場合、一定の要件を満たすことで所得税や固定資産税などの軽減や優遇を受けられる制度があります。また、住宅の性能を向上させるリフォームを行うと、さらに優遇する税制や融資なども用意されています。
※長期優良住宅化リフォームを行った場合の減税についてくわしくは次の「03」の項目で説明します。
こうした減税制度を利用するには、定められた期間内に、税務署や自治体に工事証明書などの必要書類を提出して申請・申告する必要があります。また、制度や融資、リフォームの内容によっては、適用条件や減税額が変わることもあるので、事前によく確認しておきましょう。
所得税の控除を受ける
所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた個人の所得に対して課税される国税のことです。適用要件を満たすリフォームを行った場合、税務署への確定申告で必要な手続をすると、所得税の控除を受けられます。
控除は、1.リフォーム減税(①投資型、②ローン型)と、2.住宅ローン減税という2種類に大きく区分されます。
1.「リフォーム減税」
リフォーム減税は、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化リフォームなどが対象です。
①投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)
リフォームローンを利用していなくても適用可能です。改修費用相当額の10%が工事を完了した年の分の所得税から一度だけ控除できます。最大控除額は、バリアフリーリフォームで20万円、耐震・省エネ・同居対応・長期優良住宅化リフォームで25万円、省エネリフォーム+太陽光発電設備設置工事の場合35万円、耐震改修+省エネリフォーム+長期優良住宅化の場合50万円まで。
②ローン型減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
償還期間5年以上のリフォームローンの場合に適用されます。バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化リフォームそれぞれについて、 対象となる工事費用の2%(最大5万円)とそれ以外のリフォーム工事費用の年末ローン残高の1%との合計(最大12.5万円)が各年の控除額になります。改修後、居住を開始した年から5年が控除期間となるので、最大控除額は62.5万円(12.5万円/年×5年間)ということになります。
2.「住宅ローン減税」
償還期間10年以上のリフォームローンを借りたときに利用できます。規模の比較的大きい増改築や省エネリフォーム、バリアフリーリフォームなど、幅広いリフォーム内容に適用可能です。対象となる工事費用相当分の年末ローン残高の1%が所得税から控除されます。最大控除額は、400万円(40万円/年×10年間)まで。
固定資産税が減額される
固定資産税とは、保有している土地や建物などの固定資産について、1月1日時点での評価額に応じて課税される地方税です。減税の対象となるのは、耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化などのリフォーム。このうち適用要件を満たすリフォームを行うと、対象の家屋に関わる固定資産税について、工事完了年の翌年度分などで減額を受けられます。工事完了後3カ月以内に市町村などへの申告が必要です。
登録免許税の特例措置
登録免許税とは、国による登記などに課税される国税です。適用要件を満たすリフォームなどを行った場合、家屋の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率が軽減されます。「宅地建物取引業者により一定の質を向上させる増改築が行われた既存住宅」を個人が取得し、居住した場合に、取得後1年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税の税率が0.1%(一般住宅0.3%)になります。制度期間は令和4年3月31日まで。
不動産取得税の特例措置
不動産取得税とは、不動産の取得に対して課される税金(地方税)です。既存住宅の取得とともに適用要件を満たすリフォームを行った場合、下記のように不動産取得税の軽減措置が受けられます。 ①耐震基準に適合しない既存住宅を取得し、耐震改修工事を行った場合、既存住宅取得にかかわる不動産取得税が軽減されます。 ②宅地建物取引業者が既存住宅を買い取り、住宅性能の一定の向上を図るためのリフォームを行った後、個人の自己居住用住宅として譲渡する場合、宅地建物取引業者による住宅の取得に課される不動産取得税が減額されます。
贈与税の非課税措置
贈与税とは、個人が受けた現金などの贈与に応じて課される税金(国税)です。満20歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点)の個人が、親や祖父母などの直系親族から住宅取得資金を贈与により受け、さらに適用要件を満たすリフォームを行ったとき、一定金額までの贈与につき贈与税が非課税となります。申告期間は、贈与を受けた年の翌年3月15日までです。
長期優良住宅化
リフォーム減税に注目
質の高い住宅ストックを形成し、子育てしやすい環境の整備を図るため、国が推進しているのが、長期優良住宅化リフォームです。既存住宅の長寿命化や三世代同居など複数世帯の同居の実現などを目的としています。
実施した場合、下記の3パターンの減税措置を受けることが可能です。
所得税・投資型
借入金の有無によらず、省エネ改修工事または耐震改修工事とあわせて一定の耐久性向上改修工事を行い、既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合に適用されます。改修費用相当額の10%が、リフォーム後に住み始めた年のみ、所得税において最大25万円の控除を受けられます。
所得税・ローン型
特定の省エネ改修工事とあわせて一定の耐久性向上改修工事を償還期間5年以上の借入金で行い、既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合、所得税の減税を受けられます。耐久性向上工事は250万円までの費用を対象に控除率2%、その他の工事は750万円までを対象に控除率1%です。最大控除額は5年間で62.5万円まで。
固定資産税
一定の耐震改修工事または省エネ改修工事を行ない、中古住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合、リフォーム後の家屋の固定資産税も減額されます。翌年度分に限り、120㎡相当分までを上限に、3分の2が減税となります。
新型コロナの影響で
期間延長などの支援も
2020年春から続く新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、国や自治体、金融機関などで、その対応措置が次々に打ち出されています。たとえば既存住宅を取得した際の住宅ローン減税の入居期限要件(取得の日から6カ月以内)について、コロナ禍の影響で入居が遅れた場合、適用要件を満たしていれば、入居期限が「増改築等完了の日から6カ月以内」という特例を受けられます。また住宅金融支援機構の「フラット35」では、コロナ禍の影響で返済困難になった場合、返済特例など柔軟な対応を行っています。
今後も国や自治体、金融機関などで随時、住宅関連のコロナ対応支援が発表される可能性がありますので、主要な機関のホームページはこまめにチェックすることをお勧めします。
性能向上、子育て、同居
のために
優遇制度の活用を!
これまでリフォームというと、老朽化した部位や設備機器の修繕・交換にとどまるものが主流でした。しかし、現在、国や自治体が進めているリフォーム支援は、住宅の断熱や耐震、耐久性などの基本性能を向上させ、子育てや多世代同居などをスムーズに行える住環境を整えることを目的にしています。補助金や優遇制度を利用し、その適用条件を満たす設計・施工をすることで、おのずと長期にわたって安心、快適に暮らせる住まいが実現しやすくなりました。
ただし、リフォームの時期やプランの内容、建材や設備機器の選択などによっても、利用できる補助金や優遇措置は変わってきます。予算計画にも影響がありますので、利用を検討する際には、なるべく早くプロに相談することが大切です。
くわしくは、TOTO、DAIKEN、YKK APが作成した「住宅取得・リフォーム支援制度ガイドブック 2020年度版」をご覧ください。
TOTO、DAIKEN、YKK APの3社はコラボレーションショールームも展開しており、ここでは各社それぞれの商品をご覧いただき、アドバイザーにもご相談できます。ぜひ、気軽にお立ち寄りください。
※この記事内容は、2020年8月31日時点での情報です。ご了承ください。
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