新築時にはどうしても建物の設計と施工に力を注ぎがち。
でも、暮らし始めてみると、庭やカーポートなど外周りも大事であることに気づきます。
「庭をもっと楽しみたい」「もっと素敵なアプローチにしたい」。
そのような声に応えているのが、エクステリアの専門会社グランドワークスの平松 利之さんです。
家の外周りを、暮らしに潤いと安らぎを与えてくれるような場所に
リフォームにするポイントについてうかがいました。
プロフィール
株式会社グランドワークス 代表取締役社長
平松 利之(ひらまつ としゆき)さん
ALL GREEN https://all-green.biz/
ライフスタイルの変化に合わせて
エクステリアもリフォーム
エクステリアのリフォームでは、どのようなことができるのでしょうか? エクステリア初心者が最初にぶつかる疑問について、平松さんに回答いただきました。
「外周りが変われば、人生も変わる」
2020年以降のコロナ禍の最中でも平松さんの会社は「忙しかった」といいます。
「外食や旅行といった娯楽が制限されていましたからね。その代わりに、これまで手を付けてこなかった庭や玄関周りといった、身近なエクステリアをなんとかしたいと思われる方が多かったように思います」と平松さん(以下、発言は平松さん)。
「"家庭"という言葉は、"家"と"庭"でできています。本来、住環境を考える上では、建築と外構※は両輪であるべきですが、従来の住宅業界では、家そのものに予算と情熱を割いてしまっていて、外構は後回しになりがちでした。
だから、逆に言えば、ここをリフォームすることで、暮らしはもっともっと楽しく快適なものになるはずです」。
※門や塀、生け垣、ガレージやカーポートなど家の外に置いたり、設置したりするものの総称
門扉やデッキなどの外構は風雨にさらされ、紫外線を浴びて、劣化が徐々に進んでいきます。植栽がうっそうと茂ってしまうようなこともあるでしょう。
「そのような外構や植栽をケアするだけはもったいない。玄関、勝手口からカーポートまでの動線を歩きやすくすれば外出がスムーズになりますし、門扉や玄関までのアプローチなどが素敵になれば、お友達を家に呼びたくなります。エクステリアのリフォームには、人生を変えるほどの効果があるんですよ」。
エクステリアは
「ファサード」、「庭」、「バルコニー」
に分けて考える
平松さんはエクステリア工事を、「ファサード」、「庭」、「バルコニー」の3分野に大別して考えています。「ファサード」とは家の正面のこと。前面道路から見える範囲の門扉や塀、アプローチ、カーポートなどが含まれます。
「庭」は、ファサードに含まれない建物以外の部分。植栽、隣家との間に立てるフェンスや塀、足元の舗装や芝生、家から続くウッドデッキなどが主な工事の対象に。
「バルコニー」は、2階などの建物から続く屋外部分。これまで洗濯物や布団を干していた場所を活用して、アウトドアリビングとして使えるようにするリフォームを希望する人が多いそうです。
「新築時は流行していたデザインでも、年数が経つと変えたりしたくなることもあるはず。暮らしているうちに庭やアプローチの不便な点に気付いたり、家族構成やライフスタイルの変化で駐車場が不足することもあります。 そうした変化に応じて、エクステリアも変えていくのは自然なことだと思います」。
エクステリアリフォームの
進め方
エクステリアのリフォームはどのような手順で進めていけばよいのでしょうか。平松さんのお店で実施している手順をもとに、段階ごとのコツやポイントを解説いただきました。
段階ごとのチェックポイントや注意点を把握
(1)問い合わせ
インターネットや口コミなどで、近隣のエクステリア業者を探します。ウェブサイトに掲載されている施工例のほか企業方針などもチェックして、関心を持った業者に問い合わせてみます。
「ひと口にエクステリア業者と言っても、植栽が得意なところ、もともとはブロック工事や金属製建具の工事会社だったところなどさまざま。どのような工事が向いている業者なのか、意識しながら探していくことをお勧めします」。
(2)初回面談(ヒアリング)と現地調査
初回の業者との面談(ヒアリング)では、高さが記載された敷地図(現況図)、建物の配置図、平面図、立面図などを用意しましょう。
「これらの図面があれば、業者は家の様子が具体的に把握できるので、要望に対してより突っ込んだ内容をご提案してもらえます。その後の打ち合わせなどが、ぐんとスムーズに進みますよ」。
面談後、業者は現地調査を行います。業者は工事を予定している現地の状況を見て、要望が実現可能かどうかを確認します。
「1、2階から庭がどのように見えるか、家から庭、外周りの動線がどうなっているか。主に家と外構、また周辺環境との関わりもチェックしてくれます」。
(3)図面と見積りの作成
ヒアリングの内容と現地調査の結果をもとに、リフォームプランの図面と見積書が約1〜2週間後にでき上ります。
なお、見積りを複数の会社に依頼する場合は、一般的に3社くらいまでが目安。比較対象があったほうが依頼先を選ぶ参考になりますが、多すぎるとかえって迷うことも。
「提案内容を見れば、相性や信頼感などを含め、見極めはだいたいつくと思います。早めに依頼先を決めて、信頼できる相手と一緒にプランをじっくり検討したほうが満足のいく結果になるはずです」。
(4)契約
図面と見積りに納得したら、工程、支払条件などを確認した上で正式に工事の契約へ。
「契約に際して、当社では工程表は必ずお客様に提出します。また、自社の工事基準についてしっかりご説明しています。この2点が定まっていてこそ、納期までに質の良いエクステリアを、責任を持って提供することができるからです。この2点も、皆さんの依頼先選びの条件にすることをお勧めします」。
(5)施工
一般的な外構工事であれば施工期間は2週間〜1か月程度ですが、天候にも左右されます。施工は、担当者がしっかりと現場の進捗を管理することが大切だそう。
「当社では工事専任のスタッフが管理を行います。現場の職人さんに任せきりにするようなことはありません」。
施工後は、植栽の手入れや外構材のメンテナンスなども必要です。法律では一般的な外構工事の保証期間は2年。「当社では保証期間の始まるタイミングなどもご説明しています」
成功例に見るエクステリアリフォームの要点
「ファサード」、「庭」、「バルコニー」に分けて、平松さんが手がけたエクステリアリフォームの事例を紹介いただきました。プランニングの参考にしてはいかがでしょうか。
「ファサード」は、家や近隣との調和がキーポイント
「ファサード」の成功例のひとつとして平松さんが挙げたのは、S邸。周囲の住宅の多くはしっかりと塀や門扉で囲い込んだスタイルが主流だったため、S邸でも同様のスタイルを採用しました。
「デザインの方向性や塀の高さ、素材、カラーリングなど、街並みに違和感のないプランになるように心がけています。単独で見れば素敵な仕上がりであっても、悪目立ちするのは避けたいもの」。
家と外構のバランスをとることも大前提です。
「家の外観がモダンならタイルや金属などの硬質でシャープな建材を、ナチュラル、カジュアルであれば木や石など自然な素材をイメージさせる建材を使って印象を揃えます」。
S邸では、2種類のタイルを貼り分けた意匠塀にし、一部は植栽とともに奥に凹ませて、変化をつけています。「ファサードは普通に塀を巡らせると平坦になりがちなので、奥行感や立体感にも留意しています」。
またファサードにはシンボルツリーをよく組み込むそう。「塀は水平方向に、木は垂直方向に伸びるのでバランスがいい。木があると、見た目の雰囲気も柔らかくなりますね」。
周辺環境を広く視野に入れ印象を整えることが、ファサードづくりのコツと言えそうです。
「庭」には、用途に応じて使いやすくする"仕掛け"を
「庭」で取り上げるM邸は、南欧風の建物に合わせてエクステリアを仕上げた好例です。新築時は砂利敷きだった庭に、門を付け、植栽して、通路にタイルを貼って仕上げていきました。ご夫婦がくつろぐための屋根を架けたあずまやもあります。
歩く場所と植栽の場所をしっかりわけたことで、動きやすい庭となりました。あずまやは広めなので、雨や日差しを心配せず、ゆっくりとお茶の時間を楽しめます。
「庭は当初から手入れを配慮してつくると、後の雑草対策がらくになります。通路を用意すること、ガーデニングの作業スペースや休む場所を確保すること、手入れしやすい樹種を選ぶこと、庭の隅々にまで目が届くように死角をつくらないことなどが大事です」。
「バルコニー」には、座る場所と水場を
「バルコニー」の好例のひとつ、M邸。2階のバルコニーに耐水性の高いアウトドア用のソファやテーブルを置き、屋外用の流し台を設置。柱の回りを木材で囲って照明を仕込み、行燈のように仕立てました。
「まず、しっかり座れる場所を確保すること。あと、ちょっと手や食器を洗える流し台、洗面台などを設置すると、アウトドアリビングとして楽しみやすくなります」。
電源を用意して照明を灯せば、夜にはホームバーのような雰囲気に。ただし、お子さんがいる場合は、転落防止のため、手すり側には踏み台になるような家具やモノを置かないようにします。
屋外空間を活用するためには収納も大事
エクステリアのリフォームを計画する上で、平松さんは、以下の5つをポイントに挙げました。
- ・日差しと雨を遮る
- ・外からの視線を避ける
- ・植物を配置する
- ・照明で夜も楽しめるようにする
- ・室内との段差をなるべく小さくする
「特に庭やバルコニーを活用するときに重要なポイントです。これを押さえれば、過ごしやすい場所に。当社ではよく"リビングを外に持ち出す"などと言っています(笑)」。
庭やバルコニーをそれだけで考えるのではなく、建物や日々の暮らしとセットで考える。ファサードも自分の家だけでなく、周囲との連続性を配慮する。一歩引いて、環境そのものを整えようとするのが、平松さんのエクステリアリフォームの流儀であるようです。
YKK APのエクステリア商品など、外構のリフォームに活用できる商品をご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK
APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
エクステリアのリフォームに
おすすめの商品のご紹介
デザインはもちろん、居心地もランクアップしてくれる、エクステリア向けの商品の数々です。
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DAIKEN 不燃軒天羽目板
ダイライト軒天羽目板リブデザインが特徴的な軒天羽目板。グラビオ羽目板Vと同系色デザインなので屋内外で統一感のあるコーディネートが可能です。
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YKK AP ルシアス フェンス
住まいの魅力を最大限に引き立てる上質で美しいデザイン。洋風から和風、モダンからクラシックまで幅広い住宅におすすめのデザインです。
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YKK AP ルシアス カーポート
建物と外構が美しく調和し、ワンランク上のラグジュアリー感を創出します。ルシアス シリーズの外構商品とトータルコーディネイトが可能です。
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YKK AP エクスティアラ
アーチ上質な風格をたたえたエントランスアーチ。アルミ乾式構造フレームにより、美しい納まりと工期の短縮を実現します。
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YKK AP リウッドデッキ
200 EGリウッド(再生木)を使用した安心・長持ちのデッキ材です。耐候性などの優れた機能はそのままに、高級感のある美しく繊細な木目が、上質なリラックス空間を演出します。
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YKK AP ルシアス
バルコニー豊富な格子デザインやスリムなパネルなど多彩なデザインから選べるバルコニー。玄関ドアやルシアスシリーズの他のエクステリア商品と組み合わせて住まい全体で統一感のある外観を演出できます。
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TDY オンラインリフォーム
相談センターご自宅にいながら、お持ちのスマホ・パソコン・タブレットで、簡単にリフォームについてご相談いただけます。
-
TDY 3省連携、「住宅の省エネリフォーム支援」補助金スタート!
国土交通省、経済産業省、環境省が連携する新たな補助金制度が創設されました。補助金を活用して、おトクに、快適な省エネリフォームをご検討ください。
※この記事内容は、2023年3月29日時点での情報です。ご了承ください。
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