水まわりのカラーは「白」「ライトグレー」が根強い人気! 柄や素材で個性をプラス
(写真/すべてゼロリノベ)
浴室やトイレ、洗面所といった水まわり空間は、清潔性が重視されるため、かつては白を基調とした
カラーコーディネートに落ち着きがちでした。しかし、近年は「ホテルライク」「ナチュラルモダン」「インダストリアルスタイル」
といったキーワードで表現されるような、多様なインテリアが水まわりでも求められるようになってきています。
そうした昨今のトレンドについて、ゼロリノベの西村 一宏さんにリフォーム実例をもとに語っていただきました。
プロフィール
ゼロリノベ
株式会社groove agent
取締役/一級建築士
西村 一宏(にしむら かずひろ)さん
※TDY3社から上記の方に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
「白」「ライトグレー」は清潔感あり、
水アカの目立ちにくい鉄板カラー!
浴室やトイレ、洗面所などの水まわりは、どのようにリフォームしたら、快適でインテリア性の高い空間になるのでしょうか。 西村さんに水まわりのコーディネートについて、基本的な考え方やプランニングのコツなどをうかがいました。
アクセントパネルや自然素材、窓などで空間に変化を
「お風呂では半身浴でリラックスしたい」「トイレでひとりきりの時間を満喫したい」「洗面所ではメイクやスキンケアに時間をかけたい」。
今や水まわりは、ゆっくりと過ごして心身を整える場所になってきているようです。
そうした変化について、西村さんも「多くのお客様にとってリビングと同じぐらい、もしくはそれ以上の興味と関心を持って受け取られていると思います」と話します。
以前は顔や体を洗う、いわば「作業」の場であった水まわり。しかし、現在はリビングのようにくつろいだり、 身体を休ませたりといった「居室」としての役割も求められていると考えていいでしょう。
「水まわりでもっとも避けたいのが、湿気がこもること。私の場合、浴室や洗面所にはなるべく窓を配して、通気を確保するように心がけています」(以下、すべてセリフは西村さん)。
また長時間、入浴したり、洗面所でメイクしたりする人は、自分の好みの色で空間をコーディネートしたくなるもの。 「基本的には清潔感が大切なので白がベースですが、たとえば、浴室ではアクセントパネルの色にグレーやブルーを選んだり、 洗面所では自然素材を組み合わせたりして、インテリアを楽しもうとするお客様も増えてきましたね」。
水まわりで濃い色を選ぶと、水アカや洗剤などの跡が白く目立ってしまいがち。 一方で、白のほか、グレ-系などはそうした跡が目立ちにくく、落ち着いた色みでありながら、 空間にニュアンスが生まれるということで人気色となっているそうです。
下記に、浴室の色味に関するコーディネートのポイントをまとめました。
◇アクセントパネル
システムバスの場合、壁パネルで四方を囲って構成します。すべてを濃い色にしてしまうと、雰囲気が暗くなるだけでなく、 水アカが目立ち、黒カビが発生してもわからないなど、清掃・衛生面での懸念も。そこで壁3面は白系、1面だけ色みのあるアクセントパネルとする、 という選択肢も人気が高まっています。明るさや衛生面のメリットはそのまま、自分の好みの色を取り入れることができます。
◇自然素材
システムバスや洗面化粧台などの工業製品は、その多くが美しい光沢を放ちます。 それとは対照的に木の無垢材や天然石などの自然素材は素朴でマットな質感が魅力。 水まわりの設備機器とうまく組み合わせることで、お互いを引き立てあうコーディネートができます。
◇窓
水まわりは、湿気の滞りやすい住宅の北側に配置されがちです。 そこで、リフォームの際に、浴室や洗面所に風や自然光を導くような窓を設けると、 通風を図るとともに、明るい空間に変えることができます。
浴室と洗面所は、「素材」「照明」をそろえ統一感を演出
水まわりのなかでも浴室と洗面所は隣接することが多い場所。いずれもボディソープなどのボトル類や歯ブラシ、タオルなど多種多様なものを置くので、 雑然と見えがちです。そこで、ふたつの空間にうまく統一感を持たせると、全体をすっきりと素敵に見せやすくなります。
空間に統一感を持たせるために西村さんが大事にしているのは、浴室や洗面所に共通の要素を持たせること。
「内装の色味のほか、水栓や取っ手などディテールの色や素材感をそろえるように気を付けています」。
ナチュラル系でもモダン系でもベースになるインテリアの方向性を定めたら、浴室と洗面所それぞれに色や質感、形状に共通点のあるパーツをさりげなくあしらいます。
「空間の雰囲気を左右するのが照明。私の場合は、温かみのある温白色と、色みが鮮明になる昼白色を両方使い分けできるよう、 調光できる照明器具を入れるようにしています」。メイクをする際は昼白色のほうが化粧品の色を確認しやすく、 落ち着きを演出したいときは温白色の照明のほうが温もりを感じられてリラックスできます。
水まわりリフォームのトレンドがわかる
5つの事例をご紹介
ゼロリノベの手がけたリフォーム事例の中から5つを厳選して、西村さんの解説とともにご紹介します。人気のスタイルが反映された事例から見てとれる、水まわりリフォームのトレンドをぜひ参考ください。
ケーススタディ1
白い浴槽+タイル、木材でつくる人気のナチュラルテイスト
ゼロリノベの事例の中でも人気があるのが、自然素材をあしらったナチュラルなテイスト。H様邸の浴室では、白いハーフバス(TOTO)に素朴な白いタイルを組み合わせました。植物との暮らしをテーマに掲げていたため、はめ殺しのガラス窓の向こうにあるインナーガーデンの植物を眺められるようにしています。
隣接する洗面所にも同じ白いタイルを貼っています。また、洗面所の木製のキャビネットに合わせて、浴室にはエイジング処理を施した木材を、浴槽に入浴時のスマートフォン置き場として渡しています。
「そのほか、浴室と洗面所ともに、シャワーや水栓金具などはレトロな印象のアイテムを選びました」。そうした色や素材感、ディテールに及ぶきめ細やかなコーディネートが、浴室と洗面所の統一感を高めています。
ケーススタディ2
浴室と洗面所のアクセントカラーにグレーを採用。
清潔感とほどよい落ち着きを実現
W様邸では、浴室と洗面所、トイレをひとつの空間にまとめました。TOTOのシステムバス「マンションリモデルWYシリーズ」 の壁パネルと洗面台まわりのタイルをグレー系でそろえ、ナチュラルモダンなテイストに。水まわり全体に清潔感とほどよい落ち着き、そして統一感を演出しています。 トイレはあえてドアや壁で仕切らず、洗面所と空間を共有して広がりを感じられるようにしました。
「当社のリフォームでは、洗面台は家具のように造作するケースが多いですね」。このケースでも洗面カウンターや棚板を木材でつくり、ナチュラルなイメージに仕上げています。
「洗面カウンターは木目の印象が強いのですが、浴室と洗面所のアクセントに同じグレー系の色をあしらったので、違和感なく水まわり空間全体が調和しました。グレーは幅広い色やテイストにマッチする便利な色ですが、このようなナチュラルな素材とは特に相性がいいですね」。
ケーススタディ3
白+シルバーでホテルライクな水まわり。
ガラスなどの素材、直線的なフォルムもポイント
TOTOのシステムバス「マンションリモデルWYシリーズ」を採用したN様邸では、「外の風景を眺めながらバスタイムを過ごしたい」というご要望に応えるため、バスルームを住戸の窓側に配置。 さらにドアをガラス戸にすることで希望を実現しました。住戸はマンションの2階にあるので、人目を気にせず、外の街路樹を眺めながら入浴できます。
清潔感と温かみのある雰囲気を演出できるように、洗面所には淡いクリーム色の塗装を採用。洗面所、浴室ともに温かな雰囲気を生む温白色の照明を選びました。
直線的でシャープな印象のガラス戸、タイル風の白い壁パネル、シルバーのシャワー水栓金具などを組み合わせ、浴室はグレードの高いホテルライクな空間にまとめました。 その外に続く洗面所も、白いカウンターを浮かせたような軽やかなデザインに。スタイリッシュで、すっきりとした水まわりとなりました。
ケーススタディ4 西村邸
浴槽をコンクリートに埋め込み全体を
人気のモルタル=グレーで仕上げ。
無機質なインダストリアルスタイルに
モルタルのグレーとタイルの白をベースに、インダストリアルスタイル※でまとめた水まわりのリフォーム事例です。
浴室の隣には洗濯機を置き、トイレも設置。その間の仕切りは簡便なシャワーカーテンのみ。
※インダストリアルは「工業の」「工業用の」という意味。機能性や実用性を重視して、工業製品のように無機質な素材感をデザインに活かしたインテリアを指す
「これ、実は私の自邸です。中庭に面した窓を生かし、風と光の入る心地よい場所にしました。通風がいいので、すぐに乾いて黒カビなども発生していません」。
リビングなどの居室もあまり色を使わず、コンクリート下地やグレー系の色を生かすコーディネートをしたので、水まわりもその色味を踏襲することに。
「水まわりはリビングとは離れていることも多いので、そういう場合は、居室とはまったく別の色味やデザインにして遊んでしまうのもいいと思います」。
ケーススタディ5
深い落ち着きには「チャコールグレー」を。
天然石タイルでグレードアップ!
モノトーンを基調にして落ち着きを演出した事例。既成のバスタブは使わず、コンクリートと天然石タイルで浴槽をつくりました。 「全体的にチャコールグレーの濃い色味で空間を構成しました。室内は暗くなりますが、その分、窓の外の緑が鮮やかに映えますよね」。
深い色味を生かすため、一部に間接照明を入れるなど、明かりも最小限に抑えています。 「個人的にはこのくらい暗いほうが、ゆっくり落ち着いて入浴できます。これくらい振り切ったカラーコーディネートなら、きっと納得がいく仕上がりになるのでは」。
色と素材を上手に加えて、わが家ならではの心地よい水まわりに
白をベースとしたシステムバスや洗面化粧台、トイレを活用した明るく清潔なサニタリースペースは、根強い人気。 しかし、わが家ならではの水まわりにしたいのなら、お気に入りのスタイル、お気に入りの色を取り入れて、自分好みに仕上げたいもの。
西村さんが示してくれた、色や素材の組み合わせ方、コーディネートの考え方を応用すれば、ちょっと冒険してみてもきっとうまく調和するはず。 せっかくリフォームするなら、わが家ならではの水まわり空間を模索してみませんか?
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり商品、DAIKENの内装建材、YKK APの窓など、浴室を中心とした水まわりを一層快適にする商品をご覧いただけます。 またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなテーマのリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
好みのコーディネートをかなえる浴室
~洗面所のリフォーム商品のご紹介
水まわりに求められる清掃性、機能性、快適性をかなえながら、
多くの色や素材を取りそろえた才色兼備のラインナップです。
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TOTO 戸建住宅向けシステムバスルーム
シンラリラックスを追求した新機能を搭載しています。日常を快適にするTOTOのこだわりをバスルームに実現しました。
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TOTO ハーフバス
壁・天井をヒノキやタイルなどで自由自在にコーディネートできるハーフバスです。常識にとらわれない空間づくりを可能にします。
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TOTO 洗面化粧台
ドレーナおしゃれな洗面化粧台を手軽にカスタマイズ。暮らし方やトレンドにあわせた、お好みの洗面空間を実現します。
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DAIKEN 洗面専用フローリング
スリップケア表面が濡れていても滑りにくい床材です。水や汚れが浸透しにくいため、お手入れも簡単です。
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YKK AP マドリモ
断熱窓今ある窓枠に新しい窓を取り付けるカバー工法で、窓をスピード交換。寒さの原因となっていた古い窓が最新の窓に替わり、断熱性がアップします。
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YKK AP マドリモ
内窓 プラマードU今ある窓に内窓を取付けて二重窓に。1窓あたり約60分の簡単施工で窓の断熱性が高まり、住みやすさがぐんとアップします。
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TDY オンラインリフォーム
相談センターご自宅にいながら、お持ちのスマホ・パソコン・タブレットで、簡単にリフォームについてご相談いただけます。
※この記事内容は、2023年11月29日時点での情報です。ご了承ください。
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