(写真提供/特記以外すべて、リビングデザインセンターOZONE)
家で過ごす時間が増えた昨今、「わが家のあちこちで不具合や劣化など気になる部分が見えてきた」という人も多いのでは。
そこで今回は、家づくりのサポート事業に携わるリビングデザインセンターOZONEのコンサルタントに、
リフォームの進め方についてうかがいました。どこから始めるべきか、どこに気を付けて進めればいいのか、
具体的なステップを理解してから取り組むと納得のいくリフォームができそうです。
プロフィール
リビングデザインセンターOZONE
住まいづくりコンサルタント
川端
幸枝(かわばた ゆきえ)さん
OZONE家design https://www.iedesign.ozone.co.jp/
どのようなリフォームをしたいのか
家族で話し合い、目的を共有する
年末年始など家族がそろう時期はリフォーム、リノベーションについて話し合う絶好のタイミング。どのようなことを検討すればいいのか、着目点や気を付けるポイントなどについて、お聞きしました。
リフォームの目的や優先順位を決めておく
リビングデザインセンターOZONEは「住まいとインテリアの情報センター」として、家具や生活用品、住宅設備、建材などのショールームとショップ、ライブラリーなどを取り揃えている施設です。家づくりに関するセミナーやワークショップなどのほか、コンサルティングを重視した専門家による家づくり支援、インテリアデザインのプログラムなども実施しており、川端さんは、主にリフォームに取り組むお施主様からの相談を受けています。
「コロナ禍により家にいる時間が増えたことでリフォームによって快適な環境をつくりたいという人が増えた一方、残念ながらトラブルも頻発しています。そうした事態を防ぐため、私たちはリフォームのステップについて、①準備、②依頼先選び、③設計、④工事という4つに整理して、それぞれお施主様が注意するポイントをご説明しています」と川端さん。(以下、発言はすべて川端さん)
その中でもとくに重要なのは、最初の準備の段階。ここできちんとわが家のリフォームについて家族で話し合い、リフォームの目的を共有することが大切です。たとえば「キッチンが古くなったから交換しよう」、ということだけなく、「キッチンが老朽化してどんなことに困っているのか」「キッチンを新しくしてどのような生活をしたいのか」と、自分たちの暮らしに落とし込むと、家族それぞれの意思や考え方を共有しやすくなります。
川端さんによると、そうした話し合いをしないまま、いきなりリフォーム会社に見積りを依頼してしまう人が多いのだそうです。
「何らかの検討材料を得てから家族で話し合おうと思われるのかもしれませんが、家族の意思疎通のないままだと、見積りの金額などに目を奪われて、あれもいい、これもいいと本来の目的を見失ってしまいがち。そうなると、あとになって"こんなつもりではなかった"と後悔しかねません」。
リフォームの予算感についても、おおよその上限の金額などを決めておきましょう。近年はコロナ禍で物流が滞ることがあり、ウッドショックや海外情勢の影響も重なり、資材や燃料が高騰。工事費がかさみ、ただでさえ予算がオーバーしがちです。「やりたいことが全部明確になっても予算面で行き詰ってしまうことが往々にしてあります。そうならないように、なるべく早い段階で要望の優先順位を決めておくことをお勧めします」。
<4つのステップでの家づくり相談>
依頼先選びのポイントは見積りにあり
リフォームの目的と予算、優先順位などについて家族の意見がまとまったら、次の段階は依頼先選び。わが家のリフォームを実現してくれる会社を選ぶための方法を解説していただきました。
リフォーム会社の得意分野を見極める
ひと口に「リフォーム会社」といってもその規模や内容はさまざま。トイレやキッチンなど部位別のリフォーム事例が多い会社や、LDK全体や家一軒丸ごとといった大規模リフォームのノウハウが豊かな会社など、それぞれ得意とする分野が異なります。自分たちが目指すリフォームに適した会社を見つけることが重要です。
「自分たちの要望とマッチしたリフォーム会社かどうかチェックするには、まず各社のウェブサイトで施工例などを見てみましょう。小規模な部位別の工事が多い会社、デザイン性に注力している会社など、おおよその傾向がつかめるはずです」。
見積りは金額だけではなく内容の説明で判断
依頼先候補となりそうな会社を見つけたら、連絡をとり、要望や諸条件を伝えてリフォーム費用の見積りをとることになります。なるべく1社だけではなく、2~3社に声をかけることを川端さんは勧めます。
「知人の紹介という形などで1社だけに相談すると、断りづらくなりますし、提案や見積りの内容が妥当なのか見当がつかないと思います。あまり多くてもやりとりが煩雑になるので、2~3社が適当だと思います」。
見積書のフォーマット(書き方)は各社で異なるため、つい内容をよく見ずにトータルの金額で比較してしまいがちですが...。
「内装工事ひとつとっても、壁紙を張り替えるだけなのか、壁の下地までやりかえるのかで大きく金額は変わります。一見、安く思える金額でも、実はあとで追加費用が必要になる内容だったりすることも。反対に、良心的にしっかりと手間をかけた工事を心掛ける会社ほど金額が高く見えてしまったりもします」。
大切なのは、準備段階でリストアップした「自分たちのかなえたいこと」がちゃんと工事に含まれているかどうか。見積書の内容について、具体的に説明してもらうようにしましょう。その説明の仕方がわかりやすいか、質問に対する応答の姿勢なども、リフォーム会社の選定基準の一つになります。
設計段階のイメージ共有で思い通りの仕上がりに
リフォームの要望を形に変えていくためには、設計段階で自分たちのイメージを正しく伝えて、プロの提案を引き出すことが重要です。お施主様としてどのような取り組みをすればよいかうかがいました。
「できないこと」は代替案を検討
「こちらへリフォームの相談にいらっしゃるお客様のなかには"思うようなプランが提案されなかった"とがっかりしている方もいます」と川端さん。一から新しく建物をつくる新築と違い、リフォームでは既存の建物の構造的な制約、法の規制、マンションでは管理規約といったいくつもの制限の影響を受けます。そのために要望通りに施工できないケースもしばしばあります。
「やりようによってはご要望をクリアできる場合もあります。もし、"できないこと"が出てきたら、その理由を聞いて、代替案を相談するといいかもしれません」。
そうしたやりとりのなかでお施主様側としても「(それなら納得がいくので)違う方法でもいい」「別の設計にしましょう」と話し合うことが可能になります。
具体的な生活スタイルや写真などで理想のイメージを伝える
設計段階でプロの提案を引き出すために、川端さんが勧めているのは、家族全員の一日の過ごし方などのライフスタイルを具体的に伝えること。
「直接リフォームに関係ないようなことでも、プロにとってはお施主様の価値観や生活を理解する材料になったりします」。
「ささいなことではないか」と気にせずに、自分たちがこだわっていること、大事にしていることは、ぜひプロに伝えてみてください。プロの広い視点からのアドバイスを引き出すことも可能になります。
そのほか、自分たちの好きな建築やインテリアの写真を集めて設計担当者に見せるのもひとつのやり方。ビジュアル材料があると理想のイメージを共有しやすくなります。
Before
After
今どきの建材・設備選びのトレンドとは
理想のリフォーム実現のためには、内装材や設備機器の選択も重要なポイント。
「いまはCGが発達してパソコンのモニターだけでもかなりイメージを把握できますが、仕様を決める際にはぜひショールームに足を運んで実物を確認してください。やはり実際の色や質感を自分の目や肌ざわりで確かめておかないと、完成してから"こんなはずではなかった"と後悔することにもなりかねません。そのほか、操作感、スケール感など実物でないとわからないことはたくさんあるはずです」。
建材や設備機器ショールームでは実物の確認のほか、コーディネートやプランニングの相談などができる場合もあります。ショールームのアドバイザーなどからのアドバイスもおおいに参考になるはずです。
川端さんが挙げる、最近のリフォーム事情における部位別の注目のポイントは次の通りです。
トイレ、キッチンなど水まわりは居心地よく
「作業の場であった水まわりは、居住空間として居心地が重視されるようになりました。トイレに本棚が設けられたり、キッチンにはデスクスペースやホームバーが併設されたり。見せ所のひとつとして、大胆な内装に仕上げて楽しむリフォーム事例が増えてきています」。
内装は「オンライン映え」を気にする人も
「リモートワークが普及して、自宅はオンライン会議の場としても利用されています。その背景として映り込んだときの見栄えを考慮して壁紙を選ぶ人もいます。また狭くてもいいから、室内を仕切ってオンライン会議専用のスペースにするというニーズも高まっています」。
床・壁・天井、室内ドアは空間全体のバランスを考慮
「床・壁・天井、室内ドアは個性ある商品が増えてきました。好きなものがあればそれを軸にコーディネートを組み立てていくのもいいですね。ただし、個別に選んでいくとちぐはぐで雑多な雰囲気になりかねないので、最初に空間全体をどのようなインテリアスタイルにしたいかをイメージしてから、ひとつひとつの要素を選んでいくとまとめやすくなります」
窓はインテリアの一部に
「近年は、床や壁を壊さず交換できるカバー工法が発達したので、以前よりも気軽に窓をリフォームできるようになりました。窓枠の色調もバリエーションがあるのでインテリアの一部として色にこだわってみても楽しいと思います」
工事中は5つの工程でお施主様チェックを
施工の段階では、5つの工程でお施主様自身も現場をチェックしましょう。適切なタイミングで施工の疑問や不安を解消していくことで、リフォームの満足感は格段に向上します。
「リフォームという慣れない経験のなかで、お施主様が疑問や不安を抱くのもうなずけます。とくに施工の段階に入ると、職人さんたちにお任せになりますから。でも工程の要所で現場に入って自分の目で施工の内容を確認したり、現場担当者などとコミュニケーションする機会を持てたりすると、安心できるはずです」。
川端さんは次の5つの工程でお施主様が関わることを推奨します。
着工前確認
工事に入る前に、現地で、どこまで壊してどこまで残すかをお施主様と現場担当者との間で確認します。現場担当者とは、この着工前確認などのなるべく早い段階で顔合わせをしておくと、その後のコミュニケーションもとりやすくなります。
既存部分の解体後
リフォームする部分の解体が終わったら、その状況の確認にお施主様も立ち合いましょう。壁の内部や床下の劣化の状態、柱や梁などの構造の傷み具合などもこの時点なら視認できます。施工箇所の実際の範囲・寸法なども図面と照合します。
配線や配管の設置後
水道の配管や電気配線の施工が終了したら、壁や床でふさがれる前に、家のどの位置におさめられたのかを把握しておきます。入居後、それらのライフラインに補修が必要になったときに手配がスムーズになります。
壁や床の下地処理が終了した後
下地やコンセント、スイッチなどが図面の指示通りに施工されているか確認します。壁紙や床材で仕上げる前なので、コンセントやスイッチの位置の修正も可能です。
完了(竣工)検査
ひと通りの施工が終わって、住居の引き渡し前にチェックすることを完了検査と言います。可能であれば完了検査は引き渡しの前に設定し、そのころにお施主様も家の内外をひと回り確認しましょう。ここで気になった傷や汚れなどを指摘して補修してもらえば、気持ちよく引き渡しが行えます。
ここまで説明いただいた、準備から依頼先選び、設計、施工のそれぞれの段階で、当初の計画と異なる箇所が大なり小なり現れる可能性はあると心づもりもしておきましょう。「今回ご紹介したポイントを押さえていただければ、納得のいく結果に導きやすくなると思います」。
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり、DAIKENの内装建材、YKK
APの窓・玄関ドアなど、実際の商品についてお施主様ご自身で確認いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK
APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
いちばんにチェックしたい、
リフォームにおすすめの
商品のご紹介
リフォームの際に検討する優先順位の高いシステムキッチン、床材、窓などの部位で、おすすめ商品の一例をご紹介します。
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TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ美しさと使いやすさを追求し、さらに「きれい除菌水」で清潔にこだわりました。
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DAIKEN デザイン不燃壁材
グラビオエッジ深彫り調のエンボス加工でエッジの効いた陰影と素材感のある意匠が魅力の装飾不燃壁材。 壁面にアクセントを加えて、お部屋を個性的に演出します。
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YKK AP インテリアドアシリーズ
ファミット空間に開放感を与える「ガラスデザイン」と、壁と同化し自由なデザインを実現する「クロスデザイン」が、新しいインテリアをつくり出します。
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YKK AP マドリモ
断熱窓壁工事不要のカバー工法で、窓をスピード交換。カラーバリエーションも、人気の樹脂窓なら外観色と内観色をそれぞれ選んで、10通りの組合せが可能です。
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DAIKEN 住宅向けシミュレーションツール
Interior Image Web床、壁、天井、ドア、畳などのデザインやカラーを自由に組み合わせ、オリジナルの空間イメージを作成できます。できあがった画像を高画質でダウンロードできます。
※この記事内容は、2023年1月25日時点での情報です。ご了承ください。
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