(写真/すべてNEWS STYLE)
リフォームなどの引越しの前には誰しも「片付けやすい」「散らからない」ように、収納を検討したいもの。
でも、どこから手を付けてよいかわからず、あふれるモノにうんざりしてしまう...
そんな経験をした人も多いのでは。
そこで今回は、片付けアドバイザーの石阪 京子さんに
「1回やれば一生散らからない」「3日でできる」片付けの手順と考え方をお聞きします。
プロフィール
石阪 京子(いしざか きょうこ)さん
片づけアドバイザー・宅地建物取引士メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。
近著に「これが最後の片づけ」「人生を変える紙片づけ」(いずれもダイヤモンド社刊)、その他新聞、雑誌掲載多数、テレビ、ラジオ出演多数。
片付け・整理整頓がうまくいけば
家族にも家にもメリットがいっぱい
整理しやすい家、片付けやすい家にはどんなメリットがあるのでしょうか。石阪さんの考える、片付け・収納の重要性について説明していただきました。これが理解できていると、片付けのモチベーションがぐっと高まりそうです。
家族が各自で整理整頓できる家は、
毎日幸せな生活が送れる
モノが整理できていない家は見た目にも落ち着きません。でもデメリットはそれだけではないと石阪さんは説きます。「片付いていない家では、何をするにしてもいちいちモノを探すところから始めないといけません。その時間がもったいないですよね。家族みんながイライラするなど、精神的にもよくない状態になってしまいます」(以下、発言は石阪さん)。
反対に、常に片付いている家なら、毎日の生活はスムーズに営まれ、モノ探しという不毛なストレスからも解放されます。急の来客にも慌てずに済みます。
「誰かひとりが頑張って片付けるのではなく、それぞれが自分のモノを片付けるなら負担は平等になります。ある程度の年齢からは、お子さんも自分で出し入れし、仕度もする、そのような状態が理想だと思います。家族の歴史を刻んでいく家の中が、モノよりも人を優先して暮らせる状態になっているのはとても大事です。家族のあり方にも大きな影響を与えるのではないでしょうか」。
片付け・整理の行き届いた家は
資産価値も維持できる
また、モノが散らかっていると掃除が滞ってしまい、家のお手入れや設備機器のメンテナンスがおろそかになるといった傾向もあるようです。
「きちんと片付いている家なら、建材や設備の汚れ・劣化などにもすぐ気がついて、必要な手当てができます。つまり、家の資産価値を保ちやすくなるんです」。
床材やクロスがきれいに保たれていれば、張り替えの頻度は減らせます。キッチンやシステムバス、洗面化粧台なども長く快適に使い続けられるでしょう。
「きれいに片付けて、きちんと手入れして、モノを長く使うという価値観が身についていると、モノを買うときの選択肢も変わってきます。安いからとりあえずこれでいいや、といういい加減な姿勢ではなく、"うちのインテリアに合うかな"とか、"どのくらい長く使えるかな"とか、基準の軸が定まるようになるはずです。無駄な買い物が減るので、自然とお金も貯まっていきますよ」。
モノと向き合う経験をすることで、生活も住まいも、家族の未来も変わっていく。石阪さんはこのように考えています。
リバウンドしない片付けのコツは
事前の計画にあり!
年末の大掃除などで片付けたはずなのに、あっという間に元通り...。そのようなリバウンドを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。石阪さんは「いきなり片付けようとせず、まずは"しまう場所をつくる"ための計画を立てましょう」と話します。
家全体のモノの量を把握して、
収納の配分を決めることが大切
すぐリバウンドしてしまう理由について、石阪さんは「それは、モノを移動させただけだからです」と即答。「みなさん、リビングだけ、子ども部屋だけ、といった1か所だけ着手したのではありませんか?結局、リビングや子ども部屋にあるモノを物置や押し入れに移動させただけでは?それでは散らかっていた原因を何も解決していないので、日が経つとまたもとに戻ってしまうんです」。
そこで石阪さんが提唱しているのが、一旦、「家1軒丸ごと、紙切れ1枚まで片付けきる」という方法です。大仕事のように思えますが、石阪さんは「3日で実践しましょう」と言います。
「特にリフォームのプランを検討する前に、一度、家の中を全部片付け切ることをお勧めします。家全体のモノの量を把握した上で、しまう部屋や場所を決め、それぞれに必要な量の収納スペースを確保する。片付けやすく散らかりにくい収納を計画できます」。
大切なのは、いきなり片付けを始めるのではなく、どこにどのように収納するかを事前に計画すること。「まずは家の中を、家族が集まる『パブリックスペース』と個々の『プライベートスペース』を分けて考えていきましょう。パブリックとプライベートを意識することで、その部屋や収納スペースにあるべきモノ、しまっておくべきモノを判断しやすくなりますよ」。
家族会議で片付けの方針や
目的について意思を統一
家全体のモノの収納を計画するにあたって、まず必要なのは家族で話し合うこと、と石阪さんは言います。「まず一緒に、今後の理想の暮らしをイメージします。そのうえで、いまどういうことに困っていて、どのように片付けたいかなどを家族全員で確認しましょう。片付けの方針や目的を共有すれば、作業が終わった後もきれいな状態を維持しやすくなります」。
この家族会議に必要なものは、以下の通りです。
-
● 家の間取り図
家全体や各部屋の広さを把握します。また、パブリックとプライベートを意識しながら、部屋割りを見直します。これらの情報を下敷きにそれぞれのモノの配置を話し合います。
-
● 各部屋や収納スペースの写真
モノや収納の現状を客観的に認識する資料です。これを参考に、捨てるモノや適切な収納場所を絞り込みます。
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● メジャー、物差し
収納するモノの大きさ、収納スペースのサイズを具体的に計測します。それらののサイズを間取り図に書き込んでおくと収納量を把握しやすくなります。
家族会議では、パブリックとプライベートを意識して部屋割りを見直し、それぞれのモノをしまう場所を決めます。会議後には各部屋やバックヤードの写真を撮り、家の外のカフェなどの素敵な空間で客観的に収納の現状を眺めましょう。そこで、いるモノ、いらないモノに印をつけていきます。客観視すると"ゴチャゴチャ"の原因も見えてきます。
「そのように収納計画を考える時間と、身体を動かしそれを実践する時間を分けることが、片付けをスピードアップするコツです」。
なお、散らかっている家では、お父さんの服がソファに掛かっていたり、子どものおもちゃがリビングにあったり、本来あるべき場所にないのだそう。
「現状の収納スペースに収まりきらないのなら、もう所持できる上限を超えていると考えましょう」。
かさばるモノ、大きいモノから対処を考える。
災害対策の備蓄用品も忘れずに
計画段階では、かさばるモノ、大きいモノから処分を考えていくこともセオリーのひとつ。洋服や布団などから向き合っていくと効率がいいそうです。「大きいモノを処分できれば、その分、たくさん収納スペースを確保できますから」。
計画段階で考慮しておきたいのが、災害の時のための備蓄です。
「たとえば水の場合、災害時には1日1人3L、3日分の水が最低限必要だと言われています。4人家族であれば、2Lのペットボトル18本を備蓄することになります。これは、収納ケース1個分で間に合います。あらかじめ押し入れなどにそのスペースを確保することで、万一に備えることができます」。
持っているモノを全部出して、
「必要なモノ」だけ選んでいく
計画の終了後は、いよいよ実践です。どのような手順がいいのか、また捨てるかどうか迷ったらどうすればいいのか。石阪さんに片付けを効率よく実践するセオリーをうかがいました。
収納量の上限を意識しながら
「要・不要」の判断を
3日間で集中的に家全体を丸ごと片付けるときには、「初日に納戸や押し入れ、クローゼットなどのバックヤード、2日目にキッチン、洗面・脱衣室などの水まわり、3日目に玄関・リビング・ダイニング、という順番がいい」と石阪さん。
「バックヤードには存在さえ忘れてるモノがたくさん入っていたりします。それらは"もうこれいらないな"と瞬時に判断できるので、どんどん要・不要を判別できます。大きいモノ、かさばるモノもたいていそういうところにありますしね。2日目の水まわりも思い出の品などはないので、シビアに要・不要が決められるはずです」。
効率的に片付けるポイントは、まず、表に置いてあるモノ、しまっていたモノを全部、目の前に並べてみること。
「モノをすべて出すのは大変です。そして一旦出したら戻すのは面倒ですから、不要なら処分しようという気になるんです」。
すべての部屋のモノをすべて出した後、各部屋にしまうべきモノを適宜移動したら、空っぽになっている各部屋の収納スペースに収めていき、片付け終了です。
要・不要を迷ったら
判断は後回しにしてOK
「要・不要」を分別する際、判断がつきにくいモノ、迷うモノに当たると手が止まってしまいがちです。「そういうときにはどんどん後回しにしてしまいましょう。だいたい"これいるかしら?"と人に聞きたくなるようなら、もうその時点でいらないのだと思います。どうしてもとっておきたければ、人に聞くまでもないですものね」。
目標は「収納スペースに3割の空きをつくること」。このくらいの量にまとめられれば、片付いた状態を維持しやすくなります。
書類整理は片付けの総仕上げとして
最後に着手
片付けの中でも特に手間がかかると石阪さんが指摘するのが、書類の整理です。「要・不要を判断するのに時間がかかりますし、整理に費やした時間のわりに片付きません。だから、最後に着手するようにしましょう」。
石阪さんの掲げる書類整理のポイントは以下の通りです。
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● 残すべき書類はお金に関するものだけ
証券、証書、権利書、年末控除の書類など、財産・資産や確定申告に関係するものは、分類してファイルしておきます。
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● 情報として残す書類はデータ化してクラウド保存
学校からのプリントや健康診断の結果など必要な書類は、データ化してインターネット上のクラウドに保存。スキャナーがあれば、大量の書類も簡単にデータ化できます。子どもの絵や手紙などはカメラで撮影し画像として残すのもお勧めです。
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● 取扱説明書やポイントカードはアプリで管理
各メーカーの家電などの取扱説明書はWEBサイトからPDFをダウンロードします。また商品の品番を入力するとダウンロードできるアプリもあります。ポイントカードや「お薬手帳」なども専用アプリで管理できます。
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● データ化が難しい書類はファイルボックスに整理
データ化できない書類は「暮らし」「健康」「マネー」「教育」「保証書」「未処理」といったカテゴリーに分けてファイルボックスに整理します。
片付けたあとも1日15分だけ整理すれば
「きれい」を維持できる
ここまでのプロセスをきちんと行えば、片付けの習慣とルールが家族全員に身につくので、「家の中が大きく散らかることはなくなります」と石阪さん。
あとは毎日、少々の時間でいいので片付けを続けることが大切。「寝る前や出勤前、食後など、時間を決めて15分以内で使ったものを元に戻すようにするといいですね」。
石阪さんの経験では、家が片付くと、生活がガラリと変わる方が少なくないのだとか。「私は収納のレッスンも行っていますが、レッスンの終了後、ダイエットを始める方も多いですし、起業される方もいらっしゃいます。優先順位をつけるのがうまくなって決断力が高まるのかもしれません。片付けの経験を通して、きっと人生も変わりますよ」。
自分たちの暮らしを見直す、石阪流の片付け法。リフォーム前に実施すれば、わが家の新たな暮らしのイメージをより具体的に把握することができそうです。
また、リフォームを計画する時も同様に、どんな暮らしをしたいのかを家族で話し合いをして、意思決定しながら進めることをお勧めします。より満足度の高いリフォームを実現しやすくなりますので、ぜひ実践してみてください。
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり商品、DAIKENの建材、YKK APの窓まわり商品など、収納を含む快適な空間づくりに活用できる商品をご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
収納スペースを充実させる
リフォーム商品のご紹介
片付けを経験した後に収納を計画すると、わが家に本当に必要な収納スペースのカタチが見えてきます。
下記のような商品の採用が、理想の収納スペース実現の近道に!
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TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ美しさと使いやすさを追求し、さらに「きれい除菌水」で清潔にこだわりました。
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DAIKEN スタイリッシュファニチャー
MiSEL掃除機やゴミ箱、ティッシュを収納、必要な時にサッと取り出せるなど、収納するモノから考えた収納です。
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DAIKEN クローク収納内部ユニット
FiTIO(フィティオ)スペースにあわせてジャストフィットできる収納です。玄関やクローゼット、階段下の収納庫などにお使いいただけます。
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DAIKEN システム収納
フィットシェルフお部屋の空きスペースにジャストサイズで取り付けることができる、シンプルな構成の棚型システム収納です。
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TDY オンラインリフォーム
相談センターご自宅にいながら、お持ちのスマホ・パソコン・タブレットで、簡単にリフォームについてご相談いただけます。
※この記事内容は、2024年3月27日時点での情報です。ご了承ください。
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