(写真、図版/すべてTDY)
社会が変化し、新しい価値観が生まれていくなかで、私たちのライフスタイルも多様化が進んでいます。
自分らしく、わが家らしく、暮らしたい。
そんな気持ちに応え、TOTO、DAIKEN、YKK APでは、TDYが掲げるリモデルのライフスタイル提案「十人十家」のプランを
まとめたカタログ、
「TDYリモデルコレクションブック」をリニューアル。
そこで、「TDYリフォームナビ」ではこのコレクションブックのエッセンスをいち早くご紹介。
前編では「家事・育児」「仕事・趣味」にまつわる空間提案を取り上げます。
プロフィール
TOTO 販売統括本部
TDYアライアンス企画グループ/担当部長
日浅 雅見(ひあさ まさみ)さん
TOTOデザイン本部
デザイン第一部 デザイナー
矢部 信弘(やべ のぶひろ)さん
DAIKEN 商品企画部
デザイン課 デザイナー
内海 春佳(うつみ はるか)さん
YKK AP 商品開発本部
デザインセンター
コミュニケーション
デザイングループ
プロモーションデザイン室
デザイナー
田中 英興(たなか ひでおき)さん
※TDY3社から上記の方に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
多様なニーズに応えたプランを、
スケッチとCGでわかりやすく紹介
リニューアルされた「TDYリモデルコレクションブック」(以下、コレクションブック)はこれまでと比べどこが変わったのか、 編集に携わったTOTO日浅さんにその見どころを伺いました。今回の新プランには私たちの求める「いま」と「これから」の暮らしのためのリモデルとはどんなものなのか。 そのヒントが盛り込まれているようです。
4つのテーマでプランを大別。
興味のあるプランにスムーズにたどりつける
そもそも「十人十家」とは、TOTO、DAIKEN、YKK AP からのリモデルによるライフスタイルの提案のこと。
「10人いれば、10通りのくらしの想いがある」というのが、このネーミングの由来。
さまざまな「あこがれの暮らし」への想いをかなえるためのリモデルには、どのようなプランがあるのか。どのような建材、設備を活用できるのか。
あこがれの暮らしを実現するためのヒントがこのコレクションブックには盛り込まれています。
新たなコレクションブックには、10通りのライフスタイルをかなえる22のリモデルプランを掲載しており、その中には新しいプランも9つ追加されています。
「従来は10通りのライフスタイルごとにプランを並べていましたが、今回は計22のプランを4つの大きなテーマ(章)で分けました。 ご自分の"あこがれの暮らし"をスムーズに見つけていただけるようになったと思います」と日浅さん。
テーマは、「PART1 家事・育児をサポートするリモデルのアイデア」、「PART2 趣味も仕事も充実するリモデルのアイデア」、
「PART3 毎日を健やかに過ごすリモデルのアイデア」、「PART4 地域・自然を身近に感じるリモデルのアイデア」と、どれもリモデルの際に気になることばかり。
各テーマで紹介されているプランには、目的や内容が端的に表現された見出しが掲げられており、目次を見るだけで「これ!」と、読む人が自然とたどりつけるようになっています。
CG画像とスケッチ、トレンドを踏まえたコラムで
プランのイメージが豊かに膨らむ
各テーマのプランには従来のCG画像のほか、手描きのスケッチも添えられました。その狙いについて、日浅さんは次のように説明します。
「CGは細かいところまで正確に描けますし、写真のようにリアルに空間のイメージを伝えられるのですが、その反面、あまりにもディテールが鮮明なので、
"この家具は好みじゃない"など本来の設計意図とは違う部分に目をとられてしまうことがあります。
一方、手描きのスケッチではディテールがない分、さらに想像力の広がりが刺激されます。挿絵の感覚で、記事と合わせて読んでいただけるように構成しました」。
コレクションブックの各テーマの冒頭には、最近のトレンドを踏まえたコラムを掲載。テーマの背景を理解したうえでプランを見て、スケッチやCGでイメージを膨らませる、 という流れになっています。これまでとは違う、「いま」と「これから」について、最新の情報を得ながら、リモデルのアイデアを知り、わが家ではどうしようかと想いを馳せる。 そんな使い方ができそうです。
新しい価値観、多様な暮らしに対応するプラン
今回のコレクションブックでは、TOTO、DAIKEN、YKK APからそれぞれ3人のデザイナーが参加して、「十人十家」のプランの作成に携わっています。それぞれどんな考え方で取り組み、プランニングにのぞんだのか、伺いました。
「やはり、コロナ禍を経験して社会が変わったことは、私たちの生活や価値観に大きな影響を及ぼしていますね」と指摘するのは、YKK APの田中さん。
自宅でテレワークをしたり、娯楽分野を中心に映像や音楽などの配信サービスが普及し、外出の機会が減ったりして、おうち時間が以前よりも大幅に増えてきている現在。わが家に求めるものも変わってきています。
「働き方も暮らし方も多様化しています。家族のあり方もいろいろ。こういう家庭だったらこんなニーズがあるかな・・・、そのように皆様のニーズを考慮して、バリエーションに富んだプランをご用意しました」(田中さん)。
DAIKENの内海さんも「家族の過ごし方も大きく変わっています」と言います。
「ひとつの空間でお互いの気配を感じながらも、それぞれスマートフォンを片手に違うことをしている。
そのような風景も珍しくなくなりました。今回のプランでは、気分や目的に応じて家のあちこちで過ごせる、
もしくはひとつの空間で食事も仕事も趣味もこなせる、という要素を意識しました」。
リモデルによって、住まい手がより自由に過ごせる空間へ。そのような想いが込められているようです。
「このブックをご覧になった方に"リモデルするときにはこんなアイデアもいいね"と共感していただけたらうれしいです」と話すのはTOTOの矢部さん。
それだけ私たちの暮らしに密着した、「いま」と「これから」のスタンダードになりそうなプランになっています。
"家事・育児"を楽にするポイントは
「ランドリー」と「パントリー」
4つのテーマのうち最初に紹介されているのは、「家事・育児をサポートするリモデルのアイデア」。 その中でも注目は「ランドリールーム」と「パントリー」に関する提案です。「いま」の生活に必要なアイデアについてご紹介します。
洗う・干す・畳むという流れを
1か所で完結させるランドリールーム
毎日の生活の中でも労力を費やしているのが家事・育児。家事がラクな住まいにするためには、家事を効率よくこなすための動線の配慮や掃除の手間を軽くする建材・設備などが必要になります。
そこで、この章でいちばんに紹介されているのが、ランドリールームの工夫です。共働きの家庭が増え、家事は仕事から帰ってきて夜に行うという生活習慣が浸透してきました。洗濯の場合は、洗濯機を回したあと、室内干しをするという人も多いようです。
ポイントは
- ● 収納スペースは十分に確保する
- ● クローゼットの近くに配置する
- ● 動線を考慮した場所に配置する
- ● 湿気対策でカラッと乾かす
の4点。洗濯洗剤、ハンガー、洗濯ばさみなど大きさも種類も多様なものを収納するスペースを十分に確保することで、 すっきりとした空間に。また脱衣室、ランドリールーム、クローゼットが数歩で行き来できるような動線になっていれば、 家事効率はぐんと高まります。防カビ対策で湿気がこもらないようにするために通風・採光も考慮することが大切です。
こうしたポイントを押さえたプランとして紹介されているのが「洋室をランドリールームにリモデル」(下図参照)。 洗面所と洋室の壁を無くして、水まわりスペースを拡大し、ランドリールームに。アイロンがけしたり、衣服を畳んだりできるカウンター兼収納を設置。 洗面化粧台には作業しやすいカウンター付きのタイプを選択しています。
「室内干しすると湿気がこもりがちなので、このプランでは、湿気を吸収・放出して心地よい湿度に保つ天井材をご提案しました。 さらに除湿乾燥機を設置したりすることで、室内干しの湿気にも対応しています」(内海さん)。
間取りのポイントは、洗濯機を中心に「洗う→干す→畳む→しまう」を1か所で完結できるようにしたこと。 タオルなどのストックスペースやクローゼットも近くに配置して、洗濯から収納までの動線をコンパクトにまとめています。
パントリーを充実させてキッチンをすっきりと
キッチンが狭くて雑然としてしまう、キッチン家電の置き場もない、という場合には、キッチンに隣接したパントリーをつくると、ものが整理されてすっきりします。 「十人十家」では、「コンパクトでも収納力抜群。ウォークスルーパントリー」というプランが紹介されています(下図参照)。
キッチンまわりの収納をつくるためのポイントは、
- ● 廊下などの通路を活用して収納を設ける
- ● ダイニングの壁面も収納に利用する
-
● キッチン家電用のコンセントの位置と数にも
要注意 - ● ゴミ箱の定位置を決めておく
という4点。
キッチンのキャビネットのほかにも、工夫して収納場所をつくることでモノをしっかり片付けられるようにするほか、調理時を考えて、 キッチン家電やゴミ箱への動線も考慮すると、動きやすいキッチンになります。
このプランでは、キッチンのレイアウトを変えて、洗面所から続く動線をつくり出し、その通路に棚を設けてパントリーを兼用することに。 壁面には大容量の収納ユニットを設置。さらにキッチンには扉付きの収納キャビネットを設置して、キッチンまわりをいつもすっきりと。 リビングやダイニングにも視線が届く、対面キッチンに変えることができました。
「災害時の備えとして食品のストックを用意する家庭が増えてきました。収納容量の大きいパントリーをつくれると、ストックを納められるだけでなく、 キッチンもすっきり片付けられて、食卓から見てもきれいな状態を維持しやすくなります。 調理や後片付けも効率よくこなせますから、家族との団らんの時間もより長くとれるようになりますよ」(矢部さん)。
"趣味・仕事"を配慮。間仕切りを工夫して
ワークスペースを確保する
2番目に紹介しているテーマは「趣味も仕事も充実するリモデルのアイデア」。せっかく住まいに手を加えるなら、趣味や仕事に没頭できる場所が欲しくなるもの。 限られた空間を生かして、書斎やワークスペースを生み出すアイデアをご紹介します。
テレワークが普及して、自宅でオンライン会議もこなせるスペースが欲しい、というニーズが高まっています。これまでは、仕事は会社で、自宅はプライベートタイムと分けられていましたが、自宅で仕事をするようになると、「オンオフの切り替えがしづらい」、「仕事専用スペースがない」と悩む人も多くなってきています。
テレワークスペースをつくるときのポイントは、
- ● リビング・ダイニングと区切る
- ● コンセントの位置と数に要注意
- ● 仕事道具専用の収納をつくる
- ● 「背景」まで意識する
という4点が挙げられます。 生活の場と区切ることでオンオフを切り替えやすくなります。パソコンやプリンターなど仕事用の機器を使う際には電源のほか、書類などの収納も欠かせません。オンライン会議の際に、背景に映り込む室内の様子にも配慮しておければ、急な会議でも慌てずにすみます。
「十人十家」で紹介したプランは、「玄関一体の快適ワークスペース」(下図参照)。玄関正面の寝室を作業スペースに。さらに廊下側の壁を取り除いて、間仕切りを入れることで玄関ホールと一体のワークスペースにしました。
「壁の代わりにガラスの間仕切りを入れることで、空間を仕切りながらも明るさや開放感も得られるようにしました。住居部分と仕切ってオフィシャルな空間を手軽につくれるので、クライアントが来訪したときの打ち合わせなどにも使えるようになります」(田中さん)。
また天井材には残響音を抑えるものを選び、オンライン会議の際にもクリアな音環境で会話できるように配慮しました。玄関すぐなので仕事の来客対応もスムーズにこなせます。
スケッチも交えて、具体的に建材や設備も提案された「十人十家」のリモデルプランは、私たちの生活の感覚に寄り添ってつくられていて、イメージがふくらみやすくなっています。 これらをヒントに、読者の皆さんも、わが家のリモデルの夢をさらに豊かなものにしてくださいね。
次回の後編では、「毎日を健やかに過ごすリモデルのアイデア」、「地域・自然を身近に感じるリモデルのアイデア」についてご紹介します。お楽しみに!
「十人十家」リモデルプランに
採用した商品のご紹介
いまとこれからの暮らしを見据え、リモデルプランにふさわしい商品をじっくりと選びました。リモデル予定の方は、ぜひ記事のプランも見ながら検討ください。
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TOTO システムドレッサー
エスクアLS(片寄せボウルプラン)美しさに、使いやすさを追求した機能を搭載。どんな空間にもぴったりフィットし、毎日の洗面シーンをもっと心地よく便利にします。
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DAIKEN クリアトーン12SⅡ 〈001〉
湿気を吸収・放出して、心地よい湿度に保つ天井材。部屋のジメジメや乾きすぎを防ぎます。
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DAIKEN 内部ユニット FiTIO(フィティオ)
背面棚柱タイプ豊富な収納力と機能性を備えた収納ユニット。天井までのスペースをムダなく活用できます。
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DAIKEN パステルトーン
〈グレー〉残響音を抑え、快適な音環境を作る天井材。光線により陰影で市松模様が浮かび上がります。
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YKK AP famitto(ファミット)
ガラスタイプ空間に開放感と上質な表情を与えるガラスタイプ。質感を引き立てるシンプルなデザインやすりガラス調など、多彩な空間演出が可能な6種のガラスをご用意しています。
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YKK AP マドリモ
内窓 プラマードU今ある窓の内側に内窓を取付けるだけで、断熱性をアップし、寒さ暑さのお悩みを解消。 マンションでも、設置位置は専有部なので住戸別のリフォームが可能です。
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TDY オンラインリフォーム
相談センターご自宅にいながら、お持ちのスマホ・パソコン・タブレットで、簡単にリフォームについてご相談いただけます。
※この記事内容は、2024年1月31日時点での情報です。ご了承ください。
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