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住宅の主役、リビングダイニングには思い切って「好きな色」をアクセントに。色のバランスはプロの手を借りよう

第46回 住宅の主役、リビングダイニングには思い切って「好きな色」をアクセントに。色のバランスはプロの手を借りよう

(写真/すべてアートアンドクラフト)

間取りや建具の変更が難しいケースもあるリフォームやリノベーション。
制限がある中、どうしたらうまく自分好みにカラーコーディネートできるのでしょうか。
今回はお客様の好みを徹底的にヒアリングし、洗練されたリノベーションの設計・施工を手掛けている
「アートアンドクラフト」の取締役副社長・松下 文子さん、設計担当・川本 美佳さんに、
リビングダイニングのカラーコーディネートのコツを聞きました。

プロフィール

株式会社アートアンドクラフト 取締役副社長 兼 ホーム部門マネージャー 松下 文子(まつした ふみこ)さん

株式会社アートアンドクラフト
取締役副社長 兼ホーム部門マネージャー
松下 文子(まつした ふみこ)さん

二級建築士・宅地建物取引士。大阪府生まれ。不動産デベロッパーを経て、2014年にアートアンドクラフトに入社。不動産探しからリノベーションのコーディネートまで、 自分らしい住まいづくりのサポートをしている。
株式会社アートアンドクラフト 川本 美佳(かわもと みか)さん

株式会社アートアンドクラフト
川本 美佳(かわもと みか)さん

一級建築士・宅地建物取引士。 長年にわたりリノベーション設計を担当。大阪R不動産で不動産業務も兼任。戸建てからビル・マンションまで幅広くこなす。現在では建築・不動産の知識を活かし、不動産活用のコンサルティングも担当する。
ホームページ 株式会社アートアンドクラフト 
https://www.a-crafts.co.jp

※TDY3社から上記の方に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。

"好き"を知ればうまくいく!
自分の好きを生かした
カラーコーディネート術

ファッションで色使いが大事なように、リフォームも色をうまく使えるかどうかでオリジナリティが変わってきます。 とはいえ建物の場合は、失敗や飽きが怖いからと無難な色ばかりでまとめがち。そこで今回は、個性的なカラーコーディネートを楽しむコツについてお聞きしました。

自分の"好き"を知り、
ポイントを絞って色を使う

既存の建物の魅力を生かしながら、住む人らしさが生きるリフォームを手がけているアートアンドクラフト。 ときにはビビッドな色を使い、ときには徹底的にモノトーンにこだわるなど、住む人の好みに合わせて、個性的で遊び心のある空間づくりを実現しています。 「木などの色を生かしたナチュラルな空間もいいのですが、好きな色を使うことを躊躇してシンプルにまとめてしまうのはもったいないとよく思います。 もっと自由に冒険すると、自分にとっての心地よい空間ができあがりますよ」と松下さん。
そこで、今回はアートアンドクラフト流のカラーコーディネートのコツを教えていただきました。ぜひ、自分らしい"色"を生かしたリフォームのヒントにしてくださいね。

① 自分の好き・嫌いを見つける

いざリフォームに取り組もうと思っても、どのような空間にしたいかが漠然としているとカラーコーディネートの方向性も決まりません。
「お客様には、"いいな"と思う空間の写真をSNSなどで集めるよう最初にお願いしています。統一性がなくてもOK。 どの写真にも家具の色味や素材など何かしら好きなテイストが表れているので、それを見ながら使う色を一緒に探していきます」と川本さん。

実はどのような空間にしたいか、キーカラーは何色がいいかなど、はじめから具体的にイメージできている人はそう多くはないのだとか。 だからこそ、画像検索などでいろいろな空間の写真を見て、直感的に好きなものを集めていく作業が大事になってくるといいます。 そうすることで、自分はナチュラルな雰囲気が好みとか、淡い色味が好きだとか、方向性が少しずつ見えてきます。

また、好きなイメージを具体的に挙げるのが難しい人は、意外にも、あまり好みではないテイストを集めてみるのもよいそう。 「"嫌い"とか"好きでない"色を消していくことで、自分にとって落ち着く空間が見えてくると思います」(川本さん)。

住宅に限ることなく、カフェやレストラン、ホテルなどの写真も集めましょう。
住宅に限ることなく、カフェやレストラン、ホテルなどの写真も集めましょう。

② 面積の大きい壁→床の順に
決めていく

どのような空間にしたいかイメージが固まってきたら、いよいよ内装の色を決めていきます。まずは視覚に一番入ってきやすい「壁」から決めていくと失敗も少ないそうです。
「壁は無難に白を選ばれる方が多いのですが、コーナーごとにコンセプトを分けて考えてみるのもおすすめです。 色を使ってみたいけれど勇気がないなら、1面だけアクセントクロスにするのもあり。自分らしさを表現しやすいと思います」(川本さん)。

床も、①で思い描いた空間イメージをもとに、木目の濃淡などを考えていきます。 その際、リフォームする建物の現地にサンプルを持参して合う色調を確認するのがおすすめだとか。 「候補のサンプルを実際の部屋に並べてみると、イメージしやすいと思います。リフォーム会社さんや工務店さんにサンプルをリクエストしてみてください」(川本さん)。

モロッコがコンセプトの事例。モロッコの都市マラケシュの街並みをイメージし、壁面の一部はピンク色の左官仕上げに。
                            フローリングは濃いめの色を選び、メリハリのある空間に仕上げています。
モロッコがコンセプトの事例。モロッコの都市マラケシュの街並みをイメージし、壁面の一部はピンク色の左官仕上げに。 フローリングは濃いめの色を選び、メリハリのある空間に仕上げています。

③ 置きたい家具の色味を
参考にする

また、壁や床の色味を考えるときに参考になるのが家具です。
「ソファ、テーブルなど置く家具が決まっている場合は、その家具をヒントに壁や床の色を決めていくと、空間がまとまって見えます」(川本さん)。

たとえば、アンティーク家具なら床は少しダークな色調に、黒などモノトーンの家具が多いなら白い床にして家具の色が映えるようにするなど、 空間のインテリアの方向性、好きなテイストも加味しながら決めるといいそう。 また、家具の色を壁の色味に活かしたり、アクセントカラーとして一部に使うと家具が調和する空間になります。

家具の色味に合わせ、床をナラ材のフローリングにした事例。サンプルを現地に持って行くと、窓から差し込む光なども合わせて床材の色を検討できます。
家具の色味に合わせ、床をナラ材のフローリングにした事例。サンプルを現地に持って行くと、窓から差し込む光なども合わせて床材の色を検討できます。

④ パッと目を引く場所、
「フォーカルポイント」をつくる

壁と床が決まったら、「フォーカルポイント」となる場所に使う色を決めていきます。 フォーカルポイントをどこにおくかは、「その部屋で過ごすときに、どの場所が一番目に入るかをイメージして決めるのが大事」と川本さん。 リビングのソファで座って家族団らんのときに正面に見える壁や、料理のときにキッチンからちらっと見える扉など、 自分の暮らしを思い浮かべながらどこに色が入っていると心地いいかを考えてみましょう。

フォーカルポイントとしてまず採用しやすいのが室内ドアです。壁が白で床はナチュラルな木目というシンプルな空間でも、室内ドアを好みの色にするだけで個性が演出できます。 「選ぶ色は持っている家具に合わせるケースが多いですね。反対に、ドアの存在感を抑えたい場合は壁の色に合わせて白にするなどの手があります」(川本さん)。

キッチンの造り付け棚の壁、パントリー(収納スペース)の壁、クローゼットの中など、限られた範囲に、フォーカルポイントとしてアクセントクロスを取り入れるのもおすすめです。 「ごく一部なら初心者でも取り入れやすいのではないでしょうか。前を通ったときにちらりと見えると、気の利いた印象になりますよ」(川本さん)。

また、冒険になりそうな個性的な色はトイレなどの限られた空間に取り入れても。リビングダイニングだけでなく、住まい全体でバランスを考えていくとよさそうです。

リビングダイニングからキッチンが見えるなら、デザインタイルを一部取り入れるのもおすすめです。
リビングダイニングからキッチンが見えるなら、デザインタイルを一部取り入れるのもおすすめです。
古いものが好きなご夫婦の事例。キッチンカウンターにはレトロな雰囲気のグリーンのタイルを採用。アンティーク加工の室内ドアとも似合います。
古いものが好きなご夫婦の事例。キッチンカウンターにはレトロな雰囲気のグリーンのタイルを採用。アンティーク加工の室内ドアとも似合います。

個性的な色を上手に取り入れた、
4つのリフォーム事例

ここでは、アートアンドクラフトが手がけた、個性的な色を上手に生かしたリビングダイニングのリフォーム事例をご紹介します。 楽しい空間づくりの中に、カラーコーディネートのヒントがたくさん見つかりそうです。

ケーススタディ1  
リビングダイニングはソファのブルーを主役に
スタイリッシュなコーディネート。
大好きなピンクはあえて水まわりに

ブルーのソファを基準に、色数を最低限にしぼっています。シンプルな空間だからこそ、装飾のある腰壁やヘリンボーンの床が映えます。
ブルーのソファを基準に、色数を最低限にしぼっています。シンプルな空間だからこそ、装飾のある腰壁やヘリンボーンの床が映えます。

「リビングに置くブルーのソファが決まっていたので、それをキーに内装の色調を決めていきました。リビングダイニングの壁は艶ありの塗装に。 家具に少し金属があしらわれていたことから、キッチンカウンターにはステンレスを使用。光沢があり壁の塗装の艶感とも合います」(川本さん)。
一方で、施主様はロンドンにある「sketch」というレストランを気に入っていたため、その内装に使われていたピンクを洗面所に採用しました。 リビングダイニングには落ち着きを、水まわりには遊び心をという、家全体でメリハリの利いたカラーコーディネートでまとめています。

壁は艶のある白で塗装、室内ドアも壁面に合わせて白くすっきりと。色の使いどころを家具、家電にしぼっています。
壁は艶のある白で塗装、室内ドアも壁面に合わせて白くすっきりと。色の使いどころを家具、家電にしぼっています。
憧れていたロンドンのレストラン「sketch」のピンクは、洗面所とクローゼットに採用。
憧れていたロンドンのレストラン「sketch」のピンクは、洗面所とクローゼットに採用。

ケーススタディ2  
色のトーンをそろえることで、
イエローとブルーがうまく同居。
子どもコーナーの似合う楽しい空間に

部屋の壁はブルー、間仕切り壁にはイエローと白を使い、床には鮮やかなグリーンのタイルカーペットを採用した明るい空間。
部屋の壁はブルー、間仕切り壁にはイエローと白を使い、床には鮮やかなグリーンのタイルカーペットを採用した明るい空間。

壁にブルー系、間仕切り壁にイエローと白をバランスよく組み合わせて、ポップなリビングダイニングにまとめた事例です。 壁紙の模様のイエローをアクセントカラーにしています。イラストや可愛らしい雑貨をバランスよく加え、全体を調和させました。扉や床には濃い木目を選び、空間をぐっと引き締めたのもポイントです。
「使う色の強さ、トーンを統一して、調和を生み出しています。また、ビビッドな色の間にフローリングやドアなどの濃い茶色と白を挟みうまく全体のバランスをとっています」(川本さん)。

間仕切り壁の向こう側はワークスペース。オープンな空間なので複数の方向から光も入ります。照明はアクセントカラーのイエローに。
間仕切り壁の向こう側はワークスペース。オープンな空間なので複数の方向から光も入ります。照明はアクセントカラーのイエローに。
色で遊んだという廊下まわり。壁のほかドア枠、巾木、照明を白にするなどして、鮮やかなイエロー、ブルーを上手に引き立てています。左手のドアは枠のみがイエロー。
色で遊んだという廊下まわり。壁のほかドア枠、巾木、照明を白にするなどして、鮮やかなイエロー、ブルーを上手に引き立てています。左手のドアは枠のみがイエロー。

ケーススタディ3  
グレー~黒のモノトーンでまとめ、
部材の質感を際立たせたリビングダイニング

モルタルと塗装をベースに、スタイリッシュにまとめたリビングダイニング。モルタルの床はムラのある黒に、天井に設置した業務用エアコンの配管も黒で仕上げるなど、色調を徹底的に揃えています。
モルタルと塗装をベースに、スタイリッシュにまとめたリビングダイニング。モルタルの床はムラのある黒に、天井に設置した業務用エアコンの配管も黒で仕上げるなど、色調を徹底的に揃えています。

壁や床、天井に加え、家具類も黒やグレーでまとめたスタイリッシュな空間です。色数が少ない分、内装の素材そのものの質感、魅力が際立ち、モルタルの壁のしっとりとした風合いまで写真から伝わってきます。冷蔵庫など生活感の出やすい家電は造作した収納棚に隠すことで、空間はより洗練された印象に。
「ダイニングのモルタルの床は、『コンクリートステイン』という塗料で黒に着色。また、リビングの床は壁際のデスクなどに合わせて、無垢フローリングにしました」(川本さん)。

冷蔵庫などの家電は収納の中に。生活感が目隠しされ空間の美しさがより際立ちます。
冷蔵庫などの家電は収納の中に。生活感が目隠しされ空間の美しさがより際立ちます。
小上がりは雰囲気を変えるため、酸化鉄で変色させたオーク材の無垢フローリングに。経年変化のような風合いが特徴。
小上がりは雰囲気を変えるため、酸化鉄で変色させたオーク材の無垢フローリングに。経年変化のような風合いが特徴。

ケーススタディ4  
ソファや雑貨からイエローとグリーンを
アクセントカラーに選択。
飾るもののレイアウトも想定しつつ設計

1960年代テイストのレトロな家具に合わせて、カラフルな差し色を配しています。色同士がぶつからないようバランスを工夫しました。
1960年代テイストのレトロな家具に合わせて、カラフルな差し色を配しています。色同士がぶつからないようバランスを工夫しました。

1960年代(ミッドセンチュリー)テイストのソファや飾りたい雑貨を主役に、イエローとグリーンをアクセントに選んでカラーコーディネートしたリビングダイニングです。 カラフルな雑貨がたくさんあるのにごちゃついて見えないのは、白をベースに、壁1面のみ、アーチの内側のみなど、アクセントカラーを使う箇所を絞り、目を引く場所に効果的に配しているから。
「雑貨、ポスターなども含めて、どこに何をレイアウトするかあらかじめ検討し、色がケンカしないように設計を進めた事例です」(松下さん)。

 入り口のアーチの断面をイエローにするなど、色を使う場所を吟味しています。
入り口のアーチの断面をイエローにするなど、色を使う場所を吟味しています。
トイレはリビングダイニングとまったく違う水色に。『金沢21世紀美術館』(石川県)の展示、「スイミング・プール」をイメージしています。
トイレはリビングダイニングとまったく違う水色に。『金沢21世紀美術館』(石川県)の展示、「スイミング・プール」をイメージしています。

自分の"好きな色"を知り、
少しずつでも取り入れて
自分らしい空間に!

自分の心地よい空間を知ることで、どんな色を取り入れるとよいのかがだんだんと見えてきそうですね。冒頭でもお話した通り、たくさんの事例を見て好きな色、嫌いな色を探ることからまずは始めてみてください。壁紙には数えきれないほどの種類があり、塗装なら好みの色をつくることも可能です。自分好みのものにきっと出会えるのではないでしょうか。 「壁紙は比較的簡単に張り替えできます。あまり難しく考えすぎず、壁紙を活用して少しでも空間に思い切った色を取り入れてみては」と松下さん。

わが家だからこそ、存分に"自分らしく"カラーコーディネートを楽しむのが、成功の秘訣なのかもしれません。好きな色を味方につけて、素敵なリフォームを実現してください。

TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり商品、DAIKENの内装建材、YKK APの窓など、カラーコーディネートに一役買うリフォーム商品をご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなテーマのリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。

新プラン登場! 十人十家 くらしの想いを わたしらしく 10人いれば、10通りのくらしの想いがある。さまざまなくらしの想いをかなえる空間をご提案します。 新プラン登場! 十人十家 くらしの想いを わたしらしく 10人いれば、10通りのくらしの想いがある。さまざまなくらしの想いをかなえる空間をご提案します。

好みのコーディネートを叶える
リビングダイニングの
リフォーム商品のご紹介

豊富なバリエーションから、わが家のリビングダイニングをランクアップさせる色や柄、
質感を見つけましょう。

  • システムキッチン ザ・クラッソ

    TOTO システムキッチン
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    美しさと使いやすさを追求し、さらに「きれい除菌水」で清潔にこだわりました。

  • 室内ドア ハピア トレンドウッド調/ハピア ソリッド調/ハピア レザー調/ハピア グロス調

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    モダンかつトレンドをおさえた特徴的な色柄や質感を持つ4つの個性的なデザインの室内ドアが空間コーディネートの幅を広げ、ワンランク上のライフスタイルをご提案します。

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※この記事内容は、2023年9月27日時点での情報です。ご了承ください。