(写真/すべて森田 紗都姫)
長くなったおうち時間を少しでも豊かなものにしたい。そんな思いから住まいに植物をあしらいたいという人も多いのでは。
今回は、商業施設や住宅などのグリーンコーディネートのほか、講師、イベント企画、執筆など多方面から植物と人をつなげる活動に取り組んでいる森田 紗都姫さんに、暮らしに植物を取り入れ、楽しむコツをお聞きしました。
プロフィール
株式会社ユニバーサル園芸社
the Farm UNIVERSAL
森田 紗都姫(もりた さつき)
グリーンコーディネートを長く楽しむ秘訣は
「日当たり」「風通し」「水やり」
グリーンコーディネートのはじめの一歩は、植物の育て方や付き合い方を知ること。最初に、植物と上手に付き合うためのポイントを分かりやすくレクチャーします。
ライフスタイルに合う、家族が無理なく世話できる植物を選ぶ
グリーンコーディネートを長く楽しむには、環境やライフスタイルに合った植物を選ぶこと、そして、その植物に適した世話が大切です。
「植物は生き物ですから、環境や世話次第で元気になったり、病気になったりもします。まずは、置く場所の日当たりや風通しなどに適した植物を探しましょう。また、世話にどのくらい時間が割けるか、ライフスタイルを俯瞰してみてください。共働きや育児で忙しいようなら、水やりの頻度が少なくて済むものや、病気に強く丈夫なものを選ぶ手もあります」と森田さん。
大きなポイントは、以下の4点です。
日当たり
植物は光合成によって栄養をつくるため日当たりは重要ですが、日差しを好むもの、日陰を好むものに大別されます。とはいえ、直射日光にさらすと葉が変色してしまうことも。日差しの強い南側や西側などに置くときには、カーテンなどで日射量を調整します。
風通し
植物の光合成にはCO2が必要です。風通しがいいとCO2を吸収しやすく、植物は生き生きと育ちます。風が通らないと土が乾きにくく、根が腐ってしまう原因にも。風を通すことで、地中の菌の繁殖を抑えることができます。
温度
植物も人間と同様に、生育に適した気温、室温があります。一般的には10℃~30℃くらいが適温といわれ、植物によって適温は異なります。置く場所の温度を好む植物を選ぶほか、置く植物に合わせて温度の調整ができるようにします。
水やり
植物の体の約8割が水でできており、水やりは植物にとって食事のようなもの。水に含まれる酸素も根から吸収されます。ポイントは、種類に合わせて適切な頻度で水やりをすること、そして、根に届くようにたっぷり新鮮な水をあげて、早く乾かすこと。「朝に水やりして、気温の高い日中に乾かすというサイクルがおすすめです」(森田さん)
リビング、ダイニングキッチン、バルコニー
など、楽しみ方に合わせてコーディネートを
リビングではリラックスできるように、ダイニングキッチンでは食事や団らんを和やかに、窓辺やバルコニーでは開放感を得られるように、といった具合に、場所によってグリーンコーディネートの目的は異なります。ここからは、家の場所ごとにコーディネートのコツをご紹介します。
リビングでは大きな観葉植物を
インテリアの主役に
生活の中心となるリビングは、住まいの中でももっとも広い場所。どこからでも目に入りやすい大きなグリーンを置くのがおすすめです。「大きいものがひとつあると空間にメリハリがつくうえ、植物の柔らかな雰囲気が空間全体に広がります。インテリアの主役となるようなフォトジェニックなものを置きたいですね」。
高さの目安は天井高の7~8割程度。一般的には160~180cmほどの高さがよく選ばれているようです。あまり高すぎると手入れしにくくなり、低すぎると視界に入りにくくなります。「最初からジャストサイズを選びましょう。苗木から育てて大きくしたい、という方もいらっしゃいますが、形よく大きく育てるのはプロでも年月と手間が必要です」。
インテリアと合わせるためには、葉の形状、幹の色合いなどがポイントに。クールなモダンスタイルであれば、先端がとがったシャープなシルエットの葉や黒っぽい幹のものが、カジュアルなスタイルであれば、曲線の多い葉や明るい色の幹を持つものなどが雰囲気になじみます。
鉢を複数配置するときには、「山」の形になるよう、中央に背の高いもの、両サイドに低いものを配すると安定した印象になります。
また、森田さんが意識しているのは、「点・面・線」。これは、シンボルツリーに「葉の小さいもの=点」、サブのグリーンに「葉の大きいもの=面」、低木に「葉の細いもの=線」、といった具合に「点・面・線」の要素が組み合わせるというテクニックのこと。これを意識すると、複数の植物が並んでもごちゃごちゃせず、印象がまとまります。
「多様な種類がある中、ボリビア原産の常緑樹で、ネムノキに似た繊細な葉の繁るエバーフレッシュは、どんなインテリアスタイルにも合うので人気があります。水やりはしっかりやらないといけませんが、リビングにさわやかな印象をもたらしてくれます」
キッチンには、食べられるハーブなども加えて楽しさアップ
キッチンやダイニングは調理や食事などの作業がともなうので、あまりスペースには余裕がありません。大型のものより、テーブルや棚などのちょっとした空間に小さなグリーンを飾るのがおすすめです。「テーブルサイズの鉢は種類も豊富なので、個性的な鉢でアクセントをつけるのも楽しいですよ」(森田さん)。
キッチンやダイニングでのグリーンコーディネートのポイントは以下の3点です。
ハーブなど食べられる植物を選ぶ
キッチンでは食べられる植物を置くと、目で楽しむだけでなく、調理や食事などにも役に立ちます。ただし、ハーブなどは虫がつきやすく、水やりも頻繁に必要なので、手の届きやすい場所に配置しましょう。
乾燥に強い植物を選ぶ
先に紹介したような小さい鉢は土の量も少ないため、水をやってもすぐに乾いてしまいがち。大きな鉢よりこまめに水をあげるようにするほか、最初から乾燥に強い植物を選ぶと安心です。
鉢と一緒に選ぶ
鉢と植物は大きさのバランスがいいと、見栄えもよくなります。グリーンショップのスタッフなどに相談しながら、鉢と植物を同時に購入するのがおすすめです。
窓まわりはバルコニーや庭とのつながりを意識してアレンジ。
玄関は乾燥に強い植物を
出窓など窓まわりは、通風・採光にすぐれ、植物にとっては理想的な環境。ただし、直射日光による葉の変色や土の乾燥、鉢にこもる熱気などには注意する必要があります。「特に強い西日が差し込むような場所には、日射や乾燥に強いサボテンなどの多肉植物などが向いています」(森田さん)。
日当たりの強さが気になる場合には、カーテンやブラインドなどを使い日差しを調整できるようにしましょう。また、リフォームで紫外線や日射熱を遮る性能の高いサッシに交換するのも効果的です。
窓は屋外の景色を取り込む場でもあります。室内側にも屋外と同じ系統の植物を配置すると、室内から庭やバルコニーの眺めを滑らかにつなぐことができます。
そのような窓辺とは対照的に、日が当たりにくく、風通しも期待できないのが玄関。寂しい印象になりがちですが、グリーンを飾ることで一転、明るく爽やかな雰囲気をもたらします。
適した植物は、病気や虫に強く、日陰でも育つもの。こまめな水やりが面倒なら、乾燥に強いとなおいいでしょう。「強健で育てやすいサトイモ科のポトスや、葉に光沢のあるフィロデンドロン、葉が大きく個性的なストレリチアオーガスタ、などがウェルカムグリーンとして人気です」
バルコニーではデッキや人工芝を敷いて庭のような演出も。
鉢の移動しやすさにも留意して
都市部などの住まいでは、窓からの景色が殺風景であることも珍しくありません。屋外のバルコニーなどをグリーンで彩って、開放感とともに心地よい眺めをつくり出すのもいいものです。
バルコニーのグリーンコーディネートのポイントは以下の5点です。
常緑樹から選ぶ
バルコニーは風にさらされるので、落葉樹は一気に葉が落ちてご近所まで飛び、迷惑となる恐れがあります。少しずつ葉が落ちる常緑樹であればそのような心配も少なく、季節を問わず緑を楽しめます。
株立ちのものを選ぶ
「株立ち」とは、根元から枝分かれしている木のこと。風で折れたり、大きく揺らいだりすることが少なく、窓からの眺めにも安定感を加えてくれます。
ゆっくり成長するものを選ぶ
成長がゆるやかな植物は、葉や枝のベストバランスだけでなく、背が低いままの状態を保ちやすいというメリットが。葉や枝を剪定する手間も減らせます。
鉢やプランターは動かすことを前提に
マンションのバルコニーは非常時には避難通路にもなります。また台風などの際には建物側の庇の下に寄せて、風雨の直撃を避ける場合もあります。鉢は動かせるサイズ、重量にしましょう。「バルコニーにプランターを置く場合は、排水溝に土や葉が詰まらないよう、こまめに床を掃除することも忘れずに」(森田さん)。また、小さな子どものいるご家庭では、墜落事故防止のため、よじ登る足がかりにならないよう、置く場所は配慮しましょう。
床材や照明で楽しく演出
バルコニーの床には、デッキ材や人工芝を敷くと庭園のような雰囲気を演出できます。またグリーンを照らすガーデンライトを設置すると、夜はまた違った趣を楽しめます。
リフォームをする際には、以上のようなポイントを踏まえて、グリーンコーディネートと相性のいい質感や色合いの内装を選ぶとより統一感のあるインテリアに仕上げることができます。耐水性や防汚性のある建材であれば、水やりもより気軽に。日差しの強い窓でも、断熱性の高い窓に替えれば、窓辺に飾れる植物の種類もぐっと増えることに。ガーデンショップのスタッフのほか、リフォームのプロにもぜひ相談してみてください。リフォーム後のグリーンコーディネートが数段レベルアップすることでしょう。
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり、DAIKENの内装建材、YKK APの窓・玄関ドアなど、取り入れるとグリーンコーディネートをより楽しめる商品をご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
グリーンコーディネートをより楽しくするリフォーム商品のご紹介
新たな住まいではグリーンもプラスして心地よささらにアップ! 下記の商品をぜひご参考ください。
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TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ美しさと使いやすさを追求し、さらに「きれい除菌水」で清潔にこだわりました。
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TOTO 洗面化粧台
ドレーナおしゃれな洗面化粧台を手軽にカスタマイズ。暮らし方やトレンドにあわせた、お好みの洗面空間を実現します。
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DAIKEN hapia間仕切戸
ラインフレーム部屋の中を緩やかに仕切り、開放感のある半屋外空間(インナーテラス)を生み出すスタイリッシュなラインフレーム。インナーテラスを設けることで、自転車のメンテナンスをする、植物を育てるなど、こだわりの時間を演出します。
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DAIKEN システム収納
フィットシェルフお部屋の空いているスペースにジャストサイズで取り付けることができる大容量の棚型システム収納。設置したい場所に、専用の部材などを用いずにぴったりと収められ、空いたスペースを最大限活用することが可能です。
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DAIKEN システム収納
MiSEL(ミセル)暮らしやインテリアなどユーザーの好みに合わせて、リビング空間の収納を機能的かつスタイリッシュにプランニングできる収納製品です。
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YKK AP マドリモ 断熱窓
マンション用壁工事不要のカバー工法で窓をスピード交換。暑さ寒さの原因となっていた古い窓を、新築にも使われている最新の窓に替えて、より快適で健康、ローエネな暮らしに変えることができます。
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YKK AP リウッドデッキ 200
リウッド(再生材)を使用したデッキ材。天然木に近い感触を持ちながら、ささくれがなく、お手入れが簡単で美しさが長持ち。心地よい庭まわり空間が生まれます。
※この記事内容は、2022年3月30日時点での情報です。ご了承ください。
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