失敗しないカラーコーディネートのポイントをインテリア専門家・荒井 詩万さんに聞きました!
(写真/特記以外、CHIC INTERIOR PLANNING)
ファッションは好きな色を選べても、インテリアに色を取り入れるとなると、
とたんに難しさを感じてしまう。そんな声をよく耳にします。
インテリアコーディネーターの荒井 詩万(しま)さんに、
これまで手がけた事例をもとにカラーコーディネートのポイントを聞きました。
プロフィール
CHIC INTERIOR PLANNING
インテリアコーディネーター
荒井 詩万(あらい しま)
https://chic-interior.net/
リフォームのカラーコーディネート、
3つのポイント
インテリアをつくるうえで、色は強い味方。意識して取り入れると空間の魅力はぐんと高まります。まずはリフォームにおけるカラーコーディネートのポイントを教えていただきました。
意識して色を取り入れる
日本の住まいは白、ベージュ、木の色といった落ち着いた色が多いため、鮮やかな色や濃い色を取り入れるとインテリアは一新します。
「コロナ禍で、家で過ごす時間が増えてインテリアに目が向くようになり、『色を取り入れたい』と希望する方が増えています。なかでも面積を大きく占める壁にアクセントとして色を使うと、インテリアの雰囲気が大きく変わります」
残す部分とのバランスを考える
ゼロからつくる新築と違い、リフォームでは、既存の内装の一部を活かすことは少なくありません。
「とくに多いのが、床材や室内ドアなどの建具を残してリフォームするケース。たとえば、既存のフローリングが濃い色か淡い色かで、壁などの色の選び方は変わります。残す部分との相性をよく検討して色を選びましょう」
マットゴールドで「今らしさ」をプラス
広い面積ではなく、アクセントに個性的な色や素材を使うのも、素敵な空間づくりに効果的です。荒井さんのおすすめは、近年トレンドのマットゴールドのメタル素材。「ペンダント照明やドアノブ、オブジェなどに取り入れると、"今らしさ"をプラスできます」。照明やオブジェなら、比較的気軽に交換できるというメリットも。トレンドを楽しむのにぴったりです。
トレンドのグレイッシュカラーは
コーディネートの強い味方!
「好きな色をやみくもに取り入れてしまうと失敗するのでは?」と不安になるもの。ここでは、初めての人にも取り入れやすく、センスよく感じられる具体的なアイデアをご紹介します。
グレイッシュな色をベースに、明るい色をプラス
「おすすめは、トレンドのグレイッシュなトーンでまとめること。ほんのりとグレーを混ぜたような色を組み合わせることで、大人の雰囲気をつくれます。落ち着けるので、家族でくつろいだり、ゲストと過ごしたりする空間にぴったり。ピンクやブルーもグレイッシュなものならパステル調のように甘くならず、壁全面に使っても違和感なくなじむんですよ」
一方で、前述したように、鮮やかな色を取り入れる動きも。「海外の展示会を巡っても、鮮やかな色の人気はここ数年変わりません。楽しい気分になる色を住まいに使いたい、という心理が高まっているのかも知れません」と荒井さん。
グレイッシュなトーンは、そうした鮮やかな色の背景にも向いています。
「床・壁・天井、ソファなど広い面積をグレイッシュな色にすると、クッションやラグ、アートに明るい色を取り入れやすくなります。大胆な色にも挑戦できますね」
白やグレイッシュな壁+アクセントウォールで
メリハリある空間に
鮮やかな色や濃い色を楽しみたいとき、壁の一面のみに異なる色や素材を使う「アクセントウォール」もおすすめ。ほかの壁が白やベージュ、グレイッシュカラーなど鮮やかさを抑えた色なら、どのような色調を合わせてもなじみます。
「壁を仕上げる壁紙や塗料、タイルなど、アート感覚で好きな色を選んでみてください」
部屋ごとに、色を楽しむポイントをつかもう!
リビングダイニングや水まわり、玄関など、空間の役割によってカラーコーディネートの考え方は変わります。使う部材の清掃性なども配慮しながら、色を検討していきましょう。
リビングダイニングは天然素材を楽しむ
「ジャパンディ」が旬
家族がくつろぐリビングダイニングは、同時に住まいの顔として、ゲストをもてなす美しい空間が理想です。荒井さんが注目しているのが、双方を満たす「ジャパンディ」(Japandi)というインテリアスタイル。
ジャパンディとは
日本(Japan)と北欧(Scandinavian)をミックスしたテイストのこと。和を取り入れたインテリアが海外で人気になったことから波及して、世界的に盛り上がりを見せています。
シンプルな造形かつ洗練と素朴さを兼ね備えたインテリアは、日本の住空間と好相性。特徴の一つが、天然素材の質感を生かしていること。「木やラタン、ファブリックのコットンや麻などざっくりとした質感のものを組み合わせて楽しみます」と荒井さん。
「ジャパンディに合わせる色でおすすめは、近年注目のグレージュです。クールなグレーとナチュラルなベージュの中間で、品良くまとまるのが魅力。壁にもなじみやすく、アクセントに黒を足すと引き締まります」
味わいの出た既存のフローリングや白い壁にも合わせやすい色調です。
キッチンはリビングダイニングと一体で考える
多様なデザインのシステムキッチンが揃う現在、オープンキッチンが主流だからこそ、リビングダイニングと一体的に考えることが大切です。
「ダイニングやリビングから目に入りやすいのが、キッチンカウンターの側面や背面収納の扉材です。選び方には3パターンあります。
①システムキッチンを壁の色になじませる。
②床から立ち上がっているように見せる。
③まったく別の色を選んでアクセントとする。
①②:空間全体のイメージにシステムキッチンをなじませたいなら、壁か床と同じトーンを選ぶのが良いでしょう。
「いちばん人気は艶のある白いシステムキッチンですが、一方で、トレンドのグレージュをはじめ、木目調やコンクリート風、ステンレス素材など面材の色や素材のバリエーションが広がっています。一度ショールームで実際の色調や質感を確かめてみてください」
③:システムキッチンをアクセントカラーにする場合は、「使いたい色・素材」のシステムキッチンを起点に空間を構成していきます。
「たとえば、青いシステムキッチンを選び、そこから床や壁にイメージを広げていく。ポイントはキッチンが浮いてしまわないよう、空間に同じ色を散りばめることです。リビングの壁の一面に青を取り入れたり、カーテンやクッションに青を使ったり。そうすると、空間に一体感が生まれます」
浴室は「開放感」「ホテルライク」がキーワード
「浴室は、白を基調にした開放的な空間と、落ち着いたトーンでホテルライクにまとめた空間に二分されます」と荒井さん。浴槽は白が不動の人気ですが、壁は前述したアクセントウォールのように、一面のみ色を変えて楽しむケースが増えています。壁などに石目調の部材を使って上質感を演出するパターンも好まれているようです。
洗面所はほかの空間とのつながりがポイント
「洗面所も浴室同様、石目調や艶のある大理石調の床材が人気。水まわり空間のスパイスになるのが、タオルハンガーや引き出しの取っ手などのアクセサリー類です。シルバーならシャープに、マットなブラックなら海外の高級ホテルのイメージに、というようにインテリアのイメージを左右します」
また、洗面所の色や素材選びは、隣接する空間と統一するかどうかも重要です。コロナ禍以降、玄関から直行できる位置に洗面所をつくるプランが増えているそうですが、廊下から同じ床材を連続させれば洗面所に広がりが、別の床材を使うと視覚的に切り替えができます。
玄関はシンプルに、が鉄則。ディスプレイを楽しめる空間に
ゲストを迎える玄関はリビングダイニングと同じく、白やグレー系の明るい色が人気。「鮮やかな色が映えるので、季節の花を飾ったり、クリスマスやお正月のオーナメントを置いて楽しんだり、玄関ならではの楽しみ方が広がります」
「玄関ドアの色調は内装だけでなく、同時に外観も配慮して選びます。これは、窓にも言えること。外観、内装双方のイメージに合う窓枠の色を検討するといいでしょう」
失敗を避けるには、
「設計前にイメージを広げておくこと」
インテリアというと、家具やカーテンなど工事完了後に選ぶイメージがあるのではないでしょうか。しかしながら本来のインテリアとは、床や壁、天井、建具、窓など室内から見えるすべてを含むもの。建築と並行して設計時から考えておくことが、理想のインテリアをかなえるポイントです。
「家具を選んでから『やっぱり壁の色はこれじゃなかった!』と思っても間に合いません。新築でもリフォームでも、最初に『どんなインテリアにしたいか』を設計者や工務店、場合によってはインテリアコーディネーターとイメージを共有してみてください。窓や建具もイメージに沿って選べるし、細かいところではソファのサイズに合わせてコンセントの位置を決めたりもできるので、インテリアの満足度が高まります」
「イメージを共有する」というと難しく聞こえますが、「好きなインテリアの写真を、雑誌やWEBサイト、SNS(インスタグラムやピンタレストなど)から何点か選んで見せれば大丈夫」と荒井さん。言葉よりも一目瞭然で、誤解が生まれにくいそう。
もう一つのポイントは、できるだけショールームでリフォームに採用したい部材や設備機器などに触れてみること。膨大な選択肢があるからこそ、実際に見て確かめることがヒントになります。
「ショールームには大きなサイズのサンプルを置いていることも多く、イメージをつかみやすいですね。可能ならサンプルを持ち帰り、実際に施工する場所に当てて、朝・昼・夜の光の下で見え方を確認してください。候補が絞れず迷ったら、サンプルを並べて見比べるのもいいですね」
ビジュアルを見てイメージをふくらませたり、実際のサンプルでイメージしたりすることが色を楽しむ暮らしへの近道です。まずは、コーディネートのプロセスを楽しんでください。
TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり、DAIKENの内装建材、YKK APの窓・玄関ドアなど、商品の幅広いカラーバリエーションをご覧いただけます。
またTOTO、DAIKEN、YKK APがご提案している「十人十家(じゅうにんといえ)」でも、それらの商品を取り入れたさまざまなリフォーム空間をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。
カラーコーディネートを楽しめる
リフォーム商品のご紹介
リフォームの際、空間に新たな色合いを添えてくれる商品の数々を紹介します。
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TOTO システムキッチン
ザ・クラッソ美しさと使いやすさを追求し、さらに「きれい除菌水」で清潔にこだわりました。
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TOTO 戸建て住宅向けシステムバスルーム
シンラリラックスを追求した新機能を搭載しています。日常を快適にするTOTOのこだわりをバスルームに実現しました。
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DAIKEN ペット用床材
ワンラブフロアⅣ小型犬の歩きやすさに配慮し、足腰を考えた床材です。猫の吐き戻しなどに配慮し、汚れにも強さを発揮します。
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DAIKEN 特殊加工化粧シート床材
ハピアフロア スクエア大判スタイルが個性的。漆喰コンクリートなど、これまでにない新たな素材感を楽しめる床材です。
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DAIKEN デザイン不燃壁材
グラビオエッジ深彫り調のエンボス加工でエッジの効いた陰影と素材感のある意匠が魅力の装飾不燃壁材。 壁面にアクセントを加えて、お部屋を個性的に演出します。
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YKK AP マドリモ
断熱窓壁工事不要のカバー工法で、窓をスピード交換。カラーバリエーションも、人気の樹脂窓なら外観色と内観色をそれぞれ選んで、10通りの組合せが可能です。
※この記事内容は、2022年10月27日時点での情報です。ご了承ください。
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