(写真/すべてリノベる。)
新型コロナウイルス感染拡大防止のために急速に浸透した自宅利用型テレワーク(在宅勤務)。
自宅で仕事をこなすうえで、家事や育児などの日常生活との線引きに苦労した人も多いのではないでしょうか。
今回は、書斎やワークスペースの設計やリノベーションに実績をもつ、
中古住宅購入とリノベーションのワンストップサービス「リノベる。」を運営する、リノベる株式会社の千葉 剛史さんに
自宅での快適なテレワークスペースのつくり方のポイントと、事例について伺いました。
リノベる株式会社
P&C本部 ブランド戦略部 千葉 剛史さん
http://www.renoveru.jp
使い勝手のいい
テレワーク
スペース作りのポイント
自宅で仕事をするうえで課題になるのは、家族の動きや声、室内外からの生活音。作業に集中できない、WEB会議の妨げになるということから、リノベーションで住まいに専用のテレワークスペースを確保したいという方も多いのではないでしょうか。
「業務内容」「設備」「家族との距離感」「可変性」を整理する
快適に仕事ができる場を計画するために、千葉さんが挙げたポイントは「業務内容」「設備」「家族との距離感」「可変性」の4点です。
「まずは自宅でどんな業務をこなすのか、具体的にリストアップしてみましょう。また、長時間ひとりで作業に集中したいのか、WEBでの打ち合わせが多いのかなど使い方もイメージしてください。そうすると必要な広さやゾーニング、家具のレイアウトといった条件が絞られてきます」(千葉さん)。
業務内容が見えてくれば必要な設備も具体的になります。自分の業務にどのような機器が必要か、そのほか書籍や資料、文具類などの分量、それらをどのように配置したいのか。それを前提に、収納、コンセントなどを無駄なく用意したいもの。
「家族との適度な距離感は家庭ごとに異なります」と千葉さん。お子さんが小学校低学年以下で他の家族が子守りできる場合は、リビングから距離のある場所のほうが落ちつくでしょう。一時的に子守りをしながら仕事する場合は、リビングで遊ぶお子さんを見ながら、近接したダイニングを仕事場として兼用することもできます。夫婦だけならリビングの一部にカウンターを設けても、作業に支障はなさそうです。
そして、もう一歩踏み込んで考慮しておきたいのが、別の用途にも使えるよう可変性のあるプランにしておくこと。仕事で使わなくなった後、その空間がデッドスペースになってはもったいない。「テレワークスペースを子ども部屋や趣味室、収納などに転用してもいいですね。家族のライフステージが変わったときの暮らしを想定したプランづくりをおすすめします。」(千葉さん)。
こうしたポイントを踏まえつつ、同社に多く見られる3パターンのテレワークスペース事例として、「リビングの一角」「家族とシェア」「個室」をご紹介します。各事例の発想やアイデアを、わが家のテレワーク・リフォームやリノベーションにも参考にしてはいかがでしょうか。
在宅勤務に「リビングの一角」を有効活用
住まいの中でも、もっとも広いスペースのあるリビング。その一角にカウンターやデスクを置いて、テレワークスペースを確保することは、多くの家庭で実施しやすいプランかもしれません。WEB会議に対応する必要があまりない場合に向いています。仕事中も家族と同じ空間に身を置くことができ、お子さんの様子を見ながら仕事をこなしたり、コミュニケーションがとりやすいというメリットも。
日常生活と一体になった
カウンター
写真は、リビングダイニングの一角に、カウンターを造り付けた例です。振り向くとすぐにダイニングテーブルがあり、双方を作業机としても使っています。あえて家事動線上に設け、仕事以外の家事スペースを兼ねられるのもメリット。料理の準備や、バルコニーから取り込んだ洗濯ものをたたむなどの作業もこなせます。
趣味にも活用できる
小部屋スペース
一方、リビングから距離を置いた玄関横には、ご主人専用の"こもり部屋"も用意。主に趣味などのグッズを置き楽しむ場所です。こもり部屋の前の玄関ホールは、ご主人の趣味であるDIYの作業場にも。壁面にはアパレル関係に勤める奥様がディスプレイを楽しむ棚が設置されました。仕事の場と趣味の場を別々に設けることで、メリハリのあるライフスタイルが実現します。
「家族とシェア」するテレワークスペース
限られた空間の中で個人専用の個室をつくろうとすると、どうしても最小限の狭苦しい部屋になってしまいがち。でも、夫婦や親子でシェアするスペースとして計画すれば、比較的ゆったりとした広さを確保することができます。
ほどよくつながり、
ほどよく仕切る
写真の例では、既存の個室をリビングダイニングに一体化させたうえで、バルコニーに面した場所を夫婦共有のワークスペースとして区切りました。ポイントは、リビングとの間仕切りに設けた窓。バルコニーからの自然光をリビングダイニングまで届け、明るく開放的な雰囲気にしています。リビングダイニングのお子さんの様子も目に入ります。
テレワークスペースはリビングダイニングよりも一段低くなっており、カウンターの前に座ると自然と視線が窓下の壁に向かい、視界が周囲と遮られることで集中力が高まります。バルコニーからの通風・採光にもすぐれ、快適に作業できる空間になりました。
リビングとの間にはドアはあえて設けず、家族や愛犬も気軽に回遊できる場所に。リビングと並ぶ、家族の第2のコミュニケーションの場としても機能しています。将来は、子ども部屋への転用も想定しています。
※3話取材協力/坂本 桂祐さん(リノベる。設計パートナー)
集中力を重視した
コンパクトな「個室」
勉強や執筆なども含め、集中力を必要とする仕事の場合には、音や人の気配を遮れる個室タイプのテレワークスペースが最適です。ただし、既存の限られた生活空間の中で個室を確保しようとすると、どうしてもコンパクトな部屋となる傾向があります。そこで、プランニングの段階で収納計画を立てたり、内装のカラーリングを配慮して壁の圧迫感を軽減したり、といった工夫が求められます。
収納と内装の工夫で狭さを軽減
写真の例では、ご主人が資格試験の勉強に集中したいという要望があり、リビングから距離をとった寝室横を間仕切り、2畳弱の個室を配しました。判型の異なる参考資料をすっきりとおさめるため、壁面には可動棚を設置。デスクも造り付けにして空間を有効利用しています。
壁はブルーグレーの塗装を施して落ち着いた雰囲気に。主照明はダウンライトのみにし、作業に応じてデスク用スタンドを併用するなど、ご主人が明るさを自由に調整できるようにしました。なお、この部屋にはあえてドアはつけていません。リビングからの生活音をほどよく伝え、家族から孤立するのを避けるためです。
このような個室なら納戸程度の面積があれば実現可能。WEB会議なども頻繁に参加する人にはうってつけのワークスペースです。
在宅勤務を経験して、自分に向くワークスペースのつくりや、暑さ、寒さ、音など室内環境の課題まで見えてきたのではないでしょうか?大がかりなリノベーションでなくても、家具や建材を配置することで空間が生まれたり、暑さ、寒さ、外部からの騒音の問題には内窓を取り付けるなど、部分的なリフォームでも快適なワークスペースづくりに効果を発揮します。お悩みはぜひ一度、全国のTDYショールームにご相談ください。
ワークスペースづくりに役立つ
商品ラインナップ
自宅内に快適な仕事スペースを実現する商品シリーズです。
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DAIKEN スタイリッシュファニチャー ミセル
たっぷりの収納やマグネットのつくホワイトボードを使って机の上もすっきり。スライドカウンターにはプリンターなども収納できます。
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DAIKEN システム収納 フィットシェルフ
ギャラリーのようにディスプレイを楽しみながら収納できる棚です。写真は間仕切りシェルフプラン。
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DAIKEN 格子間仕切
空間の一体感を保ちながら、視線はさりげなく遮ります。圧迫感の少ない、ゆるやかな間仕切りです。
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DAIKEN 室内窓 マドモ
室内の壁に窓を設けることで、住まいの奥にまで光と風を届け、さりげなく家族の気配も伝えます。
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YKK AP マドリモ
内窓 プラマードUいまある窓の内側に新しい窓を取付けて二重窓に。簡単施工で窓の断熱性・気密性が高まり、室外からの騒音対策にも効果的です。
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YKK AP アルミインテリア建材
スクリーンパーティション室内に風と光をやさしく取り入れ、開放的でスタイリッシュな住空間を演出するアルミインテリア建材です。
※この記事内容は、2020年6月25日時点での情報です。ご了承ください。
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