2025年度から名称を新たにした「TDYリモデルデザインアワード」。
多数の作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。
宇野悠里氏に加え、古谷俊一氏、八久保誠子氏を新しく審査員にお迎えし、
11月21日、厳正なる審査を実施し各賞を決定いたしました。
審査を終えられた皆さんに、今年度の応募作品について傾向や感想を伺いました。
――今年度の応募作品の印象はいかがでしたか?
宇野:建築コストの高騰もあり、断熱や耐震をしっかり改修して住み続けていこうというリモデル需要の高まりを感じました。二世帯や、高齢のご両親と娘さんの同居など現代の家族像が映し出されている作品も多く見られたのではないでしょうか。家族構成の多様性に合わせて生活の距離感に配慮するなど、丁寧に練られたプランが増えているような印象を受けました。
古谷:今回、初めて審査に参加しましたが、お施主様と真摯に向き合う皆さんの姿勢に感銘を受けました。日本では傷んだら解体して新築するというパターンを選択しがちですが、使える部分は活用しながらお施主様のニーズを融合して生まれ変わらせるというリモデルの実現に向けて尽力されている。コンテストの場ではデザイン性やセンスに目が行きがちですが、さまざまな視点で提案されていることをしっかりくみ取りながら審査する必要性を感じました。

八久保:応募作品に目を通してみて、既成概念にとらわれない、プランの多様性が印象に残りました。ひと昔前なら、間取りを増やして家族の個室をいかに確保するかという発想が王道でしたが、最近は廊下など仕切りをなくしてフレキシブルな空間を創出し、そのスペースをどのように活用するかというプランに変化しています。各部屋の役割をステレオタイプに考えるのではなく、玄関だったら土間を広くして収納を兼ねたり、トイレも広くして居場所のひとつとして考えたり、お施主様らしい使い方を追求する方向性に進化しているように思います。
――上位入賞した作品のポイントを教えてください。
古谷:お施主様のニーズを超えた提案ができている作品は高く評価しています。お施主様と信頼関係を築き、要望を引き出し、理解した上でプラスアルファのリモデルを実現することは大変なことなので、それができている作品は上位に推したいですね。実例シートの見せ方、分かりやすさも大事。どんなに質の良いリモデルでも、紙面のレイアウトが良くなかったり、文章が読みにくかったりするのは致命的。自社の作品の良さを表現する力は、営業促進の観点でも必要不可欠です。
八久保:どのような課題があって、どのように解決したのか、そのポイントが分かりやすく示されていることが重要です。断熱性能や空気環境など写真と図面だけでは伝わりにくい部分は、お施主様のコメントで実感している効果を引き出せると良いかもしれません。「きれいになってうれしい」というだけではなく、実際に住んでどう感じているか、コメントから具体的な感想が伝わる作品が入賞しているように思います。
――次回に向けて、応募作品へのアドバイスなどがあればお願いします。
宇野:マンションリモデルは、全国最優秀賞を受賞した施工店さんがアイデアに富んだひとつのスタイルを作り上げているような気がします。戸建については優れた作品も数多くあるのですが、インパクトに少し欠ける気がしていて、外観なども盛り込んだプレゼンテーションがあると幅が広がるのではないかと思います。最近は減築するケースも多く見られますが、戸建ならではの自由にできる部分、例えば2階を取り払って勾配天井にした空間がどのようになっているのか、断面的な様子が見えずに気になることがあります。戸建はポイントが多く、焦点が曖昧になり伝わり切らないこともあるので、ぜひ実例シートへの表現にも力を入れていただきたいです。
古谷:インテリアに終始している作品が多いので、庭との関係性なども伝わると良いですね。建築単体としてだけではなく、地域の中でどのような存在になっているのかという面にも興味があるので、そのような要素も多少入ってくると戸建の魅力が増すように思います。
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宇野悠里 先生 建築家。㈱仲建築設計スタジオ共同代表。
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古谷俊一 先生 建築家。造園家。古谷デザイン建築設計事務所 代表。京都芸術大学客員教授。明治大学兼任講師。
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八久保誠子 先生 株式会社LIFULL「LIFULL HOME'S PRESS」編集長兼「LIFULL HOME'S 総研」研究員。




