TDYリモデルスマイル作品コンテスト

審査の様子

2019年度も多数の作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。去る11月19日・20日、2日間にわたり厳正なる審査を行いました。審査を終えた西岡麻里子先生、竜口隆三先生の講評とともに、全国最優秀賞作品、TDY総合リモデル賞、および各部門の上位入賞作品を発表いたします。

生活者の視点とオリジナリティーが重要

年々、着実にレベルアップが感じられるTDYリモデルスマイル作品コンテストですが、今回はそれが明確に表れたコンテストとなりました。常連店が強さを発揮する一方、上位入賞は初となる店舗も台頭し、非常にハイレベルな競いに。「各部門とも上位入賞作品は甲乙つけがたく、審査に苦労しました」と竜口先生。西岡先生は「例年は地域による差を感じることがありましたが、今回は緩和されたように思います。これまでは上位入賞店の層がやや薄い印象のあったエリアも健闘していました」と話されます。

全体的なプランニングの傾向としては、インテリア性やデザイン性の高い作品が増加。古民家風、北欧風、ナチュラルテイストなど、お施主様の要望をセンス良くまとめたテクニックが目を引きました。シューズクロークやクローゼットなどの収納の工夫、スムーズな家事動線も数多くの作品に取り入れられています。「たとえば女性設計者の活躍など、生活者の視点をしっかり持って設計できる人材がリモデル業界に増えてきたことの表れとも言え、喜ばしいことだと思います」と西岡先生。お子さんと楽しく暮らすためのアイデアや、高齢者が安心して生活できる配慮など、家族のライフスタイルに合った、遊び心やオリジナリティーある工夫が施された作品も。「昨年と比べると、より自由な発想で空間づくりをしている作品が多く見られました。今後も独創的なアイデアで、お施主様を喜ばせるワンランク上のリモデルを目指してほしいです」と、竜口先生も今回の応募作品を高く評価されていました。

実例シートにおいては、写真や紙面のレイアウト、文章のまとめ方まで、レベルの向上が顕著に感じられました。一方で、家具などが一切なく人の営みが感じられない殺風景な空間など、リモデルによるお施主様の満足感が伝わりづらい写真がまだ散見されたことは非常に残念でした。また、中には情報過多でポイントが絞り切れていない作品も見受けられました。「言いたいことを的確に伝える文章力が重要。これは、お施主様とのコミュニケーション力など通常の業務の中でも大切なスキルですから、ぜひ磨いていただきたいですね」と西岡先生も話されていました。

新部門の充実が印象的

今回、テーマ別部門には「家族の想いを動かすリモデル」を新設。リモデルに踏み切る決め手となったアプローチや提案など、お施主様をリモデルに導いた過程が評価のポイントに。それだけに、リモデルのプランニング力、実例シートのプレゼンテーション力ともに優れた作品が数多く寄せられ、全国最優秀賞もこの部門に応募された作品から選出されました。古民家をお施主様の生活スタイルに寄り添ってリモデルした作品で、既存の構造材や建具を活かしたLDKのデザイン力が見事。色のバランスや直線を多用した空間構成からは、凛とした美しさが感じられます。「写真の完成度はもちろん、文章もポイントが押さえられていて、総合力で全国最優秀賞にふさわしい作品」と、お二人とも高く評価されていました。

「リモデルは、既存の材料を再利用することで廃棄物を減らすなど、環境面にも貢献できるメリットがあります。これからも需要はますます高まると思いますので、皆さんもより一層質の高いリモデル提案に邁進してください」と西岡先生。竜口先生も「店会などでも勉強会が盛んになっていますが、このような機会を通してよりよい実例シートづくりを追求してほしいですね」と話されていました。

  • 西岡 麻里子 先生 一級建築士。アトリエ楽 一級建築士事務所主宰。埼玉県生まれ。日本女子大学住居学科卒。どこの家もふだんは散らかっているし、家族の会話は不足がち。だからこそ楽しい暮らしができる家づくりを日々模索している。著書に、吉田桂二氏らとの共著「暮らしから描くキッチンと収納の作り方」(彰国社)、女性建築技術者の会名義での「家づくりのバイブル」(三省堂)など。

  • 竜口 隆三 先生 西日本工業大研究センター客員教授・博士(人間環境デザイン学)。東陶機器㈱(現TOTO㈱)にて長年水まわり設備機器・福祉機器を中心としたバリアフリー化の研究・開発業務に従事し、2002年同社内に設立されたUD(ユニバーサルデザイン)研究所の初代所長に就任。現在は西日本工業大学で教鞭を執るほか、国際標準化「ISO」の日本代表委員等も務めている。