2017年度も例年同様多数の応募をいただき、誠にありがとうございました。去る11月20日・21日の2日間にわたって厳正に審査を行い、全国最優秀賞、TDY総合リモデル賞、および各部門の上位入賞作品を決定いたしました。審査員の講評とともに発表いたします。
インパクトある写真が目を引く
回を重ねるごとに力作が増え、ここ数年で作品の質のレベルアップが感じられる「TDYリモデルスマイル作品コンテスト」。「より良いシートづくりを目指し、全国各地の店会で開催している勉強会がますます盛んになっているので、その成果が応募作品に表れていると言えるでしょう。私たちも講師として伺うことがありますが、勉強会に参加された各社の秀作が審査会で多く見られたのはうれしいことです。また、入賞常連店さんだけでなく、新規店さんが数多く上位入賞を果たしたことも印象的。その点でも応募店の裾野が広がり、コンテストがさらに価値あるものになってきたことを強く感じました」と審査員の竜口隆三先生。西岡麻里子先生も「コンテストに応募することは、テクニックを磨く良い機会にもなります。実際に、過去の上位入賞店のプランニングやシートのまとめ方の優れた点を研究・吸収し、自社作品に活かしてレベルアップを実現したお店も見受けられます。その姿勢も大切ですね」と話されます。
このようなシートのプレゼンテーション力は、特に写真の撮り方や全体の構成に表れています。お施主様の暮らし方が伝わってくるワンシーンや、インテリア雑貨をコーディネートした空間のカットなど、インパクトのある写真が増えています。また、シートへの写真の配置の仕方も重要。写真がより映えるメリハリの効いた構成、シート全体に色をしいたり、文字の色使いなどにも気を配った作品が目を引きました。説明文については、ポイントを絞って簡潔にまとめることが大切です。「全体的に書き込みすぎて内容過多のシートは文章が読みづらく、写真の扱いも小さくなりがちなので、シート見栄えの点でどうしても損をします。内容をよく整理してアピールポイントが目立つように工夫すると良いと思います」と、お二人は提唱されます。
プランニングにおいては、家事がしやすい回遊動線、黒板として使える壁やモザイクタイルのあしらいなど素材の使い方、おしゃれな色使いなどが浸透した感があり、魅力的な空間づくりが光る作品が多く見られました。「今後は、お施主様に喜ばれる細かい配慮や斬新なアイデア、粋な遊び心を盛り込むなど、さらにステップアップしたプランニングを目指していただきたいですね」と竜口先生。
その点で注目したのが今回の全国最優秀賞作品。2階の一部を解体して吹き抜けにしたり、玄関にバイクを置ける広い土間を設けたり、寝室・畳敷きの書斎・ウォークインクローゼットを回遊動線でつなぐなど、斬新なプランニングが光ります。「お施主様のライフスタイルに寄り添いながら、独自の工夫を盛り込み快適な空間を実現しています。シートもポイントを押さえてきれいにまとめられています。お施主様の暮らしぶりが伝わる写真も秀逸です。総合力でまさにナンバーワン」と、お二人は絶賛されていました。
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西岡 麻里子 先生 一級建築士。アトリエ楽 一級建築士事務所主宰。埼玉県生まれ。日本女子大学住居学科卒。どこの家もふだんは散らかっているし、家族の会話は不足がち。だからこそ楽しい暮らしができる家づくりを日々模索している。著書に、吉田桂二氏らとの共著「暮らしから描くキッチンと収納の作り方」(彰国社)、女性建築技術者の会名義での「家づくりのバイブル」(三省堂)など。
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竜口 隆三 先生 西日本工業大研究センター客員教授・博士(人間環境デザイン学)。東陶機器㈱(現TOTO㈱)にて長年水まわり設備機器・福祉機器を中心としたバリアフリー化の研究・開発業務に従事し、2002年同社内に設立されたUD(ユニバーサルデザイン)研究所の初代所長に就任。現在は西日本工業大学で教鞭を執るほか、国際標準化「ISO」の日本代表委員等も務めている。