第10回ペットのお悩み解消!人とペットが楽しく暮らせる
空間づくりのコツ

飼い犬、飼い猫は家族も同然。お互いにストレスなく一緒に暮らしたいですね。
そんな空間をつくるコツについて、ペット共生住宅を数多く手がけてきた建築家2組に聞きました。
回答してくれたのは、前田敦計画工房の前田敦さん、ジャムズの仲條雪さんと横関和也さん。
飼い主が悩みがちなペットによる汚れや臭い、鳴き声の対策、
そしてペットが安全にかつ自由に動けるような空間の工夫などについてアドバイスをいただきました。

室内の汚れや傷を防ぐには
手入れしやすい素材を選ぶ

猫は爪をとぐ習性を持ち、犬は主に走っているときに足の爪などで床や壁を傷つけます。また抜け毛や粗相などの汚れは、いつの間にかハウスダストやしみになってしまったりします。見た目にも、衛生面でも好ましくありませんね。リフォームのときは傷つきにくいだけでなく、手入れしやすい建材を探したいもの。

猫の爪とぎ対策では、壁や床などに爪の入りにくい素材を使うことがポイントです。一方で、あえて爪を研ぎやすい木や布などの素材を施したスペースを設けたり、専用のグッズを置いておきます。
「爪が引っ掛かりにくいのは、つるりとして固い塗装仕上げのものやメラミン化粧板などのパネル建材ですね。固い広葉樹系の合板パネルも繊維の目が詰まっているので、爪が入らず諦める。そのうえで、猫用の爪とぎグッズなどを用意すれば、そちらで自分からガリガリやってくれます」(仲條さん)。

犬は尻尾を振り回したり、身震いしたりするので、室内は床だけでなく壁も汚れやすい傾向があります。そのため、いずれも汚れを拭き取りやすい建材や塗装を選ぶと掃除が楽になります。

また、犬で汚れ防止のポイントになるのは散歩からの帰宅時。足を拭けるように、玄関近くのシューズクローゼットや玄関土間を広めに確保したり、そこに足の洗い場を設けたりすると室内に外の汚れを持ち込みません。土間の近くに散歩道具置き場をつくるとより便利に。
「衛生管理の視点から、体臭や抜け毛のケアのために、体も適切なタイミングで洗ってあげたいですね。洗い場としても活用できるように、玄関付近に専用のシャワースペースをつくれればベスト。玄関や廊下などを通らず、外から直接、浴室へ入れるような勝手口の裏動線を用意するのもいいですね」(前田さん)。「犬はじっとしていてくれませんから、片手で水を止められるストップボタン付きのシャワーヘッドやシングルレバー式水栓が便利です」(横関さん)。

フローリングにガラス系のコーティングを施し、汚れや傷を防ぎます(写真/前田敦計画工房)
フローリング全体にガラス系のコーティングを施し、汚れや傷を防ぎます(写真/前田敦計画工房)
柱に爪の引っ掛かりやすい縄を巻き、ここのみで爪とぎをするよう工夫。(写真/リビタ)
(上)柱に爪の引っ掛かりやすい縄を巻き、ここのみで爪とぎをするよう工夫(写真/リビタ)

(右)屋外から直接入れる愛犬用シャワールーム。壁面にはリード用のフックを設置しました(写真/前田敦計画工房)
屋外から直接入れる愛犬用シャワールーム。壁面にはリード用のフックを設置しました(写真/前田敦計画工房)

臭い対策のカギは
トイレの配置と換気の配慮

ペットのいるお宅に伺うと気になってしまう、独特の臭い。臭いの許容範囲は人それぞれ異なりますし、来客への配慮のためにもなるべく抑えたいものです。犬も猫も同様に重要なのは、臭いの発生元となるトイレスペースの場所。「人間用のトイレや洗面室にペット用のトイレを配置すると、リビングから距離が離れるので臭いが気になりません。また換気設備があるので、リビングなどの生活の場に流れることなく、臭いを屋外に排気できます」と前田さん。

ジャムズの横関さんは「周囲に使用する建材も気を付けるべき」と指摘します。「犬のトイレスペースは尿が周囲に飛び散りやすい。床から腰壁の高さほどまで、汚れをふき取りやすい塩ビシートなどを継ぎ目なくひと続きに貼ったりするといいですね。もしくは人間のトイレ用に汚れが落ちやすく、臭いを防いでくれるような建材を使い、そこにペット用のトイレを一緒に置く手も」(横関さん)。

ペットのトイレスペースのほか、部屋の内装材に調湿性のある珪藻土のような左官素材などを用いると、湿気とともに臭いの成分が吸収されやすくなります。「犬の体が触れて汚れるので、壁や天井などの高い位置に使うのがおすすめです」(前田さん)。

ご自身も猫を飼っている、ジャムズの仲條さん。「猫の尿は臭いが強いものの、基本的に決まった場所でしか排尿しないので、やはりトイレスペースの配置と換気に留意すると気にならない」といいます。
「ただし、毛づくろいをした後、飲み込んだ毛玉を吐き戻すことがあります。床材は臭いの元となる汚れが入り込まない平滑なシート状で、汚れを拭き取りやすい素材がいいでしょう。フローリングは継ぎ目にコーティングを施すと汚れが入り込みにくくなります。こうした床材の配慮は、犬のよだれ対策にも有効です」(仲條さん)。

中庭の周囲に大きめの磁器タイルを巡らせ、ドッグランに。磁器タイルの目地やフローリングの継ぎ目はコーティングして汚れを入り込み防止(写真/ジャムズ)
床、壁とも板材に汚れ防止のコーティングを。身震いした時のハネは広範囲にわたるので、板材は人の身長程度の高さに(写真/前田敦計画工房)
(上)中庭の周囲に大きめの磁器タイルを巡らせ、ドッグランに。磁器タイルの目地やフローリングの継ぎ目は、コーティングして汚れの入り込み防止。ジャムズによる事例(写真/2点とも中川敦玲)

(左)天井付近に左官素材を利用。床、壁とも板材に汚れ防止のコーティングを。身震いした時のハネは広範囲にわたるので、板材は人の身長程度の高さに(写真/前田敦計画工房)
洗面所の下に猫のトイレを設置。バスルームの換気扇で臭いを屋外に逃します(写真/ジャムズ)
洗面台の下に猫のトイレを設置。バスルームの換気扇で臭いを解消します。ジャムズによる事例(写真/後藤徹雄)
犬用のトイレを置くスペース。凹みの上部に換気扇を取り付け、臭いを屋外に排出(写真/前田敦計画工房)
犬用のトイレを置くスペース。凹みの上部に換気扇を取り付け、臭いを屋外に排出(写真/前田敦計画工房)

鳴き声や騒音が響かないよう
二重窓や断熱材で遮音性を高める

ペットの鳴き声や生活音は、飼い主には気にならなくても周囲には迷惑に感じられることがあります。外にあまり響かないように配慮しておくと安心です。
「犬は"無駄吠え"をしないよう、まずきちんとしつけることが大前提。そのうえで可能であれば、リフォームのときに壁に断熱材を巡らせると断熱性とともに遮音性も向上します。そこまで大掛かりな工事ができない場合には、窓を気密性の高い商品に交換したり、内窓を設置すれば音が外に漏れるのを抑えることができます」(前田さん)。
内窓は、熱の出入りが一番多い窓の断熱性を高める効果もあり、夏・冬ともに快適な室温を保ちやすくなります。人やペットの健康維持にも寄与し、省エネにもつながります。

また犬は家の外であっても、近くを通りかかる他の犬や人などの気配を察知すると、吠えてしまうことがあります。「それを防ぐため、犬の居場所となるスペースは通り沿いを避けて設けると、留守中も安心ですね」(横関さん)。

仲條さんによれば、猫のほうは、屋外を歩く外猫が視界に入ると、縄張りを守ろうとして興奮して騒ぐことがあるのだとか。猫は窓辺で外を眺めていることが少なくありません。塀や道路が見えるような低い位置に窓を設けるのは、なるべく避けたほうがよさそうです。

また猫の場合、夜間に室内を歩き回るので、階下に歩行音が響いて困るという声をよく聞きます。「2匹以上いると、猫は相当のスピードで追いかけっこすることもあります。猫はなかなかしつけられないですから、防音対策として床材に防音フローリングを選んでおくといいですよ」(仲條さん)。飼っているのが犬でも猫でも、戸建てで2階にリビング、1階に寝室があるときは、2階の床下に断熱材を入れておくと静かに休むことができます。

リビングの窓は高い位置にある腰高窓にして、猫が窓辺にいても外猫と直面しないようにしています。ジャムズによる事例(写真/新建築社 写真部)
マンションのリフォーム。既存の窓の内側に窓を出して二重窓に。(写真/前田敦計画工房)
(上)リビングの窓は高い位置にある腰高窓にして、猫が窓辺にいても外猫と直面しないように工夫。ジャムズによる事例(写真/新建築社 写真部)

(左)マンションのリフォーム。既存の窓の内側に窓を加えて二重窓に(写真/前田敦計画工房)

犬や猫の習性を見越して
活動しやすい空間づくりを

犬の場合、歩く・走る、がほとんどの移動手段です。通常のフローリングだと足が滑りやすいので、股関節などに負担がかかり、ヘルニアのような病気やケガにもつながりかねません。「同じ素材でも犬種や体型によっても滑りやすさは異なります。床材は、磁器タイルやクッションフロア、カーペットタイルなどのサンプルを取り寄せて、施主の方々に実際に試してもらってから採用しています」(前田さん)。
階段もダックスフントのような脚が短く胴長の体型の犬にとっては、上り下りの際に腰などに負担となる場合があるので、段差の高さを吟味する必要があります。前田さんは、蹴上げは15cmを目安にしています。「階段は誤って滑り落ちるなど、基本的には犬にとって危険なもの。安易に昇降しないように、侵入防止のゲートを付けることをおすすめします」(前田さん)。

また、犬は家族と一緒に過ごすのが大好き。ケージやクレート(運搬ケース)の置き場はリビングの周囲に配置して、人の視線や気配を感じられるようにしてあげましょう。

猫の場合は気分によって窓辺に行ったり、暗がりに隠れたり、自由に歩き回ることを好みます。「室内を巡回する動線を確保するため、建具や間仕切り壁に専用の小さな出入り口を設けてあげるといいでしょう。部屋の出入り口を引戸にして、少し開けておくようにする程度でもかまいません」(仲條さん)。

猫は犬と異なり、高いところで活動したりくつろぐのが好き。梁や窓際にキャットウォークをつくってあげると喜びます。ただし万が一の落下時のため、下にソファを置くなどの安全対策も忘れずに。

犬が駆け回りやすいよう、緩いスロープにカーペットタイルを敷き込んでいます。爪が引っ掛かかってしまうため、毛がループ状になっているタイプは避けました(写真/前田敦計画工房)
(左、上)犬が駆け回りやすいよう、緩いスロープにカーペットタイルを敷き込んでいます。爪が引っ掛かかってしまうため、毛足がループ状になっているタイプは避けました(写真/前田敦計画工房)
猫がいつでも出入りできるように、部屋の入り口には引戸を採用。適度な幅を開けておきます。ジャムズによる事例(写真/新建築社 写真部)
猫がいつでも出入りできるように、部屋の入り口には引戸を採用。常に適度な幅を開けておきます。ジャムズによる事例(写真/新建築社 写真部)
間仕切り壁の天井付近に、キャットウォークを取り付けました。窓辺の本棚などを経由しても上に上がれます(写真/リビタ)
間仕切り壁の天井付近に、キャットウォークを取り付けました。窓辺の本棚などを経由しても上に上がれます(写真/リビタ)

安全で動きやすい空間にすると、犬も猫も、そして飼い主も無理せずのびのびと暮らすことができるようになります。プランニングの際には、内装材、建具、窓など空間全体で配慮したいもの。TDYのコラボレーションショールームでは、TOTOの水まわり、DAIKENのフローリング・内装ドア、YKK APの窓・玄関ドアなど、3社の商品をチェックできます。愛犬、愛猫との楽しい暮らしのために、ぜひご活用ください。

ランキングでご紹介した商品ラインナップ

  • TOTOエアインクリックシャワー ホース付きTHYC49H

    TOTOエアインクリックシャワー ホース付きTHYC49H

    節水しながら、たっぷりの浴び心地が味わえるシャワー。シャワーヘッドにボタンがあり、片手で止水などの操作ができます。

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  • DAIKEN デザイン壁材/シート化粧壁材 ハピアウォールハードタイプ

    DAIKEN デザイン壁材/シート化粧壁材 ハピアウォールハードタイプ

    ペットの爪による引っかき傷が付きにくい特殊強化化粧シートを採用しています。

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  • TOTOハイドロセラ・ウォール

    TOTOハイドロセラ・ウォール

    耐傷性や防汚性といった陶磁器が本来持つ卓越した素材特性を活かした、大判サイズの陶器製壁材です。壁材に飛び散った尿から発生する嫌な臭いの発生を抑え、快適に。しかもお掃除もラクに。
    ※人間の尿に対するTOTOでの試験結果です。

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  • DAIKEN クリアトーン12SⅡ

    DAIKEN クリアトーン12SⅡ

    高い調湿性能で住まいを快適に暮らせる湿度に保ちます。消臭性能、吸音性能も併せ持ち、気になる反響音も抑えます。リフォーム時、クロスの上から施工も。

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  • YKK AP かんたんマドリモ 内窓 プラマードU

    YKK AP かんたんマドリモ 内窓 プラマードU

    既存の窓に内窓を取り付けて二重窓にできます。1窓あたり約60分の簡単施工で窓の断熱性、防音性などを高められます。

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  • 高性能樹脂窓 APW 330

    高性能樹脂窓 APW 330

    国内最高基準の断熱性をもち、高い省エネ効果を発揮します。樹脂のフレームとLow-E複層ガラスにより高い断熱性を実現。

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  • ワンラブオトユカ45Ⅱ(147幅タイプ)

    ワンラブオトユカ45Ⅱ(147幅タイプ)

    小型犬の歩きやすさと、歩行時の沈み込み感に配慮したマンション用防音床材です。引っかき傷やペットのよだれ、おしっこ汚れにも強く、お手入れが簡単です。

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  • DAIKEN ワンラブフロアⅢ

    DAIKEN ワンラブフロアⅢ

    小型犬の歩きやすさに配慮し足腰のことを考えた床材です。引っかき傷やよだれ、おしっこにも強く、お手入れが簡単です。

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※この記事内容は、2020年3月19日時点での情報です。ご了承ください。

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